少し本部柄の覆面が剥げてきた彼にさらに言いたい事を。



『私は店に爆弾が欲しいと言った。確かにハード面での目玉が欲しいって事がメインだったけど、残りの少しにソフト面、つまり本部と言うかOFCの【気迫】とか【ここを目指しましょう】てのも欲しかったんですよ。君達も売上の一端を担っている。君達が(売上向上を)諦めたら終わりなんですよ。MGの交渉もそうだし、OFCの巡回もチェックと伝達。極めて事務的にやってるだけ。そこに売上を上げようって気持ちは無いんじゃないですか?本部の気持ちも爆弾の一つですよ。縮小均衡しか気持ちに無いのなら、この時点でハッキリと辞めます!』


理屈っぽく、すぐ反論してきていた彼が珍しく黙っている。



『正直、私は今やる気がない。前回の更新時は小さい夢があり少しやる気が増したが、それもお互い一時だけで私も本部(OFC)も何も変わらなかった。更改すぐに計画した改装話もそう。希望を聞いておきながら、私が提案したり要望したことはことごとく予算の都合とやらで却下。だから終いにはこちらから改装を断った。その時点でね、本部に熱い気持ちがないと思ったし、俺の気持ちからも続けて行こうって気が失くなった…』




その言葉を聞いてMGは



えっ?
って顔をした。



こちらからも解るくらい、目が変わった。
昔、ある本部の人が
「OFCとSVは違うんだよ。OFCはオペレーション・フィールド・カウンセラー、つまりオーナーの話を聞いてより良い方向に指導する。単なるアドバイザーじゃないんですよ」
って言った。



本部からの一方的な指示指導だけじゃなく、オーナーの不安を聞いてそれを取り除くように努力したり、家族のこと生活のこと…オーナー業以外のことも聞いたり…それでお互い気持ち良く仕事が出来るようにする、そんな役割ですよと言うような意味の話をしていた。







OFC。
本来の意味は上記とは違っているかもしれないし、その人の思いだったのかも知れない。



現在と過去では本部の姿勢も違うのかも知れない。




私にはOFCやその上のMGの理想像がある。
甘い事かもしれないが、彼等が私達に求める理想のオーナー像と同じ気持ちだと思う。






だから、そのあまりにもあり過ぎる理想像とのギャップに

『あなたも最近までOFCだった。今、MGになったばかりかも知れないが、上(本部や上司)を見すぎていませんか?書類の都合上、いつまでに答えをくれとか…報告や書類だけが仕事ですか?店を見ましたか?何回見ましたか?競合店見ました?あなたもOFCだったなら店や(商)環境やオーナーの人と成りを見なくて何も言え無いのはわかりますよね?私もあなたの事はまったく知らない。よくそんな状態で書類一つで続けるか辞めるか聞けましたね!そんな姿勢も辞めたいと思った一因ですよ!』



と、MGに対し一気にまくし立てた。



彼は案外簡単に
「何も調べず、一回程度しか会わず、それで契約期間の関係だけで紙一枚持って行って答えを求めた事は反省しています。申し訳ありませんでした」
と謝罪した。



彼の被っている本部柄の覆面が鼻くらいまでめくれたように見えた。
MGと話し込むと、本部としてとかチェーンの方向性とかはなんとなく理解できた。




簡単にまとめると、

インフラや仕組みの整備が本部の仕事。

既存店を救う手立てはない。

売上が減少したら、廃棄・人件費の2大悪(本部から見た…)を減らせ。

君達は耐えるしかないよ。


と言うことのようだ。






確かに本部は低日販だろうがオーナーに収益がなかろうが、加盟店が有る限りロイヤリティが入る。

利益の出ない店のオーナーが辞めてもオーナー交代だし、たとえ閉鎖があってもまた新たに店を作れば最低限のロイヤリティは確保される。

それはフランチャイズビジネスの本部としては真っ当な考えかも知れない。
が、
オーナーを本部のお客様として見たフランチャイズ商売として、それで良いのか?と疑問に思いMGにぶつけてみることにした。



それに、
MGの本部柄の覆面を被っている下にある素顔も暴きたいし。



当初、早く話をまとめようと思っていたが、トコトン話てみることにした。