体外受精をお休みする際に自然妊娠のため何かしておいた方が良いことは? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

体外受精で妊娠しないため精神的なストレス、金銭的な面も踏まえステップダウンをしたいと思います。体外受精を一旦お休みを考えております。自然妊娠し易くするために何かしておいた方が良い事があれば教えてください。


この様な質問が有りましたのでお答えします。

 

不妊治療ではステップアップと言う方法が一般的です。

ステップアップとは、タイミング療法を半年、人工授精を半年、そして妊娠しない場合は体外受精へとすすむ方法です。

つまり最初は自然な方法でトライして、それで結果が出ない場合はより人工的な方法へ治療内容を変えていく事です。


しかし時にはこの方法とは逆にステップダウンが好ましいケースもあります。

ここでのステップダウンとは体外受精から人工授精、タイミング療法へ治療内容をより自然な方法へと変える事を意味します。


どのようなケースにステップダウンが有効か実際に説明したいと思います。

例えばステップアップして体外受精を行っていてもなかなか良い受精卵が出来なくて苦労するケースがあります。つまり数回採卵してもなかなか胚盤胞まで到達しない、こういうケースがあります。

もし両側の卵管が通過していて、精液所見がそれほど悪くないのであれば、ステップダウンして人工授精やタイミング療法に戻してみる事も一つの方法と言えます。

 

つまりより自然の環境での妊娠を再度挑戦すると言う事です。

人によっては体外受精が合わないケースもあり得ます。つまりその人の卵が体外培養や顕微授精に不向きと言う事もあり得ます。

以前の記事でも触れましたが、現在の培養方法、培養液は必ずしも完璧ではありません。

人によっては、また胚によっては現在の培養環境が不向きと言う事もあり得ます。

そういうケースでは体外受精よりも人工授精やタイミング療法の方が向いているかと思います。

 

ステップダウンする際に行っておいた方が良い事としては腹腔鏡検査が最適です。

自然妊娠を狙うため卵管や卵巣を可能な限り綺麗にしておきピックアップ障害になる癒着は剥離しておく事がお勧めです。

以前の記事でも掲載しましたが、治療を断念した後に自然妊娠する方の特徴として卵管の通過性が良い事が挙げられています。

自然妊娠する方の特徴は