凍結胚を移植する際にHRT周期において黄体ホルモンに関しては時々報告がありますがエストロゲンに関してはあまり報告がありません。
今回HRT周期においてエストロゲンの値がどの位だと妊娠率が高いかを調べている論文がありましたので紹介します。
ホルモン補充療法における凍結胚移植周期において、黄体中期の血清エストラジオール(E2)レベルが最適な黄体中期の血清プロゲステロン(P4)の患者の生児出産率(LBR)と関連しているかを調査することとしています。2020年1月から2022年11月までに単一胚盤胞移植を行ったHRT-FET周期の412人の女性を対象としています。
継続妊娠と相関するベストの血清E2レベルは292~409pg/mL(1,070~1,500pmol/L)。
E2レベルがこの範囲内の患者のLBRは59%(60/102)、
292pg/mL未満(1,070pmol/L未満)の患者では39%(101/260)、
409pg/mL以上(1,500pmol/L以上)の患者では28%(14/50)と有意に低下しました。
ロジスティック回帰分析では、移植日当日の血清P4レベル、BMI、年齢、凍結胚盤胞の5日目または6日目、胚盤胞スコアを調整した場合、E2レベルが292pg/mL未満(1,070pmol/L未満)の場合、LBRの補正リスクは0.21(-0.32~-0.10)、E2レベルが409pg/mL以上(1,500pmol/L以上)の場合は0.31(-0.45~-0.18)でした。最適なE2レベルを持つ患者は25%程度でした。
ベストのP4レベルが保たれたHRT-FETにおいて、血清E2レベルと結果との間に有意な関連があることが示されました。
黄体中期のE2レベルはHRT-FET周期におけるLBRと関連しており、E2レベルは高すぎても低すぎても良く無いことがわかりました。
結論
血清E2レベルが適切な範囲にあることが、HRT-FET周期における生児出産率に大きな影響を与えると言えます。E2レベルが高すぎても低すぎても成功率が低下するため、適切なE2レベルの維持が重要です。
Fertil Steril® Vol. 121, No. 6, June 2024
Midluteal serum estradiol levels are associated with live birth rates in hormone replacement therapy frozen embryo transfer cycles: a cohort study