仕事のストレスは様々な病気の原因となります。
今回の論文では「仕事に対して制御できるかどうかと妊娠までの時間」を調べている興味深い論文です。今月号に掲載されています。
職務コントロールの低さ(職務の独立性と意思決定の自由)と妊娠までの時間を評価しています。
低い職務コントロールはストレスとなり心血管疾患から早死にまで様々な健康上の悪影響と関連していますが、生殖への関連についてはあまり研究されていませんでした。
この研究では、米国とカナダで妊娠を希望しているカップルの前向きコホート研究であるPregnancy Study Onlineのデータを使用しました。
参加者は21歳から45歳で、登録時(2018年から2022年)に妊娠試みの期間が6サイクル以下と報告しました。
主な調査項目は妊孕性でした。3,110人の参加者の中で、職務の独立性が低いことは妊孕性の低下と関連していました。
最も職務の独立性が高い第4四分位と比較して、最も低い第1四分位、第2、第3四分位の妊孕性(95% CI)はそれぞれ0.92(0.82–1.04)、0.84(0.74–0.95)、0.99(0.88、1.11)でした。
結論
職務コントロールの低さは、妊娠までの時間に悪影響を与える可能性があります。職務コントロールは労働条件の一つであり、労働者の健康、そして生殖能力を改善するための労働条件の改善が求められます。
この論文の言いたいこと
仕事での自立性や意思決定の自由が低いことは、妊娠に至るまでの時間を長くする可能性があるということを示しています。
この研究は、職場のストレスが生殖健康にも影響を及ぼすことを示唆しており、労働条件の改善が、労働者の健康全般、特に生殖能力に好影響を与える可能性があることを強調しています。
Fertility and Sterility® Vol. 121, No. 3, March 2024
Association between job control and time to pregnancy in a preconception cohort