体外受精で生まれた場合10歳までの医療費は有意に高くなる | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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体外受精で生まれた場合10歳になるまでの医療費が高くなることを報告している論文です。

イギリスからの報告です。以下長い論文なので要点をまとめます。

何も問題なく生まれた子供は治療を受けた子供と比較すると10歳までの医療費は有意に低下しました。

体外受精で生まれた子供は自然妊娠の子供と比較し1歳になるまでの入院医療費は著しく高くなりました。£307 (95% CI: 153, 477)

同様の結果が治療まではしていないが時間がかかったカップルや排卵誘発を使用して授かった子供にも認められました。

 

この論文から言えること

今までも体外受精で生まれた子供は疾患のリスクが若干高まるとの報告はありました。しかしこのように具体的にどの位医療費が増加するかなどの報告はありませんでした。

体外受精の治療を受ける夫婦に対して子供が10歳になるまでの医療費が高くなる可能性を伝えておくことは大切だと言えます。

Human Reproduction, 2023, 38(12), 2507–2515

Long-term healthcare utilization and costs of babies born after assisted reproductive technologies (ART): a record linkage study with 10-years’ follow-up in England