PCOSは流産の場合非PCOSよりも染色体異常の割合が高くなる | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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PCOSは流産した場合、非PCOSよりも染色体異常の割合が高くなると言う内容の論文です。
多嚢胞性卵巣の場合卵子の取れる数が多いものの中々良い胚が出来ないという問題があります。その理由が判り得る内容です。
 
この下の表は流産した絨毛を調べていますが、三倍体、1倍体、モザイクなど色々な異常が認められていますが、PCOSの方が非PCOSと比較すると染色体異常の割合が高いのが分かります。
61.3% vs. 47.8% 有意差あり。
この下の表は多変量解析をして調べていますが、PCOSだと流産組織に有意に染色体異常の割合が高くなる事がわかりました。その他の因子は有意差は有りませんでした。
1.957 (95% confidence interval, 1.067–3.590) 
2.008 (95% confidence interval, 1.038–3.883)
 
この結果から言える事
多嚢胞性の場合、胚の染色体異常が出やすい事が分かります。多嚢胞性は子宮内膜が厚くなりすぎたり採卵数の割に良い胚盤胞が出来ないなどと色々難しいケースがあります。今回の報告では胚そのものに異常が出ているのではと指摘しています。これはとても納得できる結果だと思います。論文ではどうしてこの様なことが起きるかはわからないとしています。
この結果をもとにPCOSの場合どうすれば良いかですが、現在日本でも認められているPGT-Aを行うことは一つの対策であると思います。
 
Fertility and Sterility® Vol. 111, No. 5, May 2019 
Higher chromosomal aberration rate in miscarried conceptus from polycystic ovary syndrome women undergoing assisted reproductive treatment