初回の採卵でたくさん取れた方がその後の出産率が有意に高くなる | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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今までも採卵数が上がると出産率は有意に高くなるとの報告は多数有りました。今回の報告では初回の採卵でたくさん取れた方がその後の2回目、3回目の採卵においても出産率が有意に高くなると言う論文です。前の治療周期の結果が次の治療に際してどの程度生まれるか予測する事が出来れば参考になるのではと言う内容で興味深い結果です。

 
 
この表は年齢別((35歳未満、35-40歳、40歳以上)の初回採卵、2回目採卵、3回目採卵、4回目採卵の採卵数での出産率を見ています。
どの年齢でも採卵数が多い方が出産率が高い事が分かります。
また年齢が上がると出産率は低下する事も分かります。
例えば初回の採卵数を1-3,4-9,10-15,15超えで出産率を比較すると35-40歳の年齢でみてみると採卵数と比例して出産率が10.7, 22.9, 28.2, 33.3と高くなります。
この表は初回の採卵数別の2回目と3回目の出産率の補正オッズ比です。
初回の採卵数0から3個を1とすると
4から9の場合1.18 (2割程度増し)
10-15 の場合1.45(4割程度増加)
15以上の場合1.63(6割程度増加)
となり、やはり初回に沢山取れるとその後の採卵(2,3回目で)で出産する可能性が飛躍的に上がる事がわかります。
 
この表は初回と2回目の合計採卵数から3回目の採卵で年齢別の出産する可能性をみています。この意味は初回と2回目の採卵で生まれない方に対して3回目の採卵に際してどういう風に考えれば良いかを示す事が出来ます。
初回と2回目の合計採卵数と年齢別の出産率を示していますが、最初の2回の合計の採卵数が上がると3回目の採卵での出産率も上がることが分かります。
 
この結果から言える事として
「前の治療周期の結果が次の採卵に際してどの程度生まれるか参考になる」と言う内容で興味深い結果です。
前回の採卵では残念ながら結果が出なかったけど次回はどの様になるか?
採卵数は多い方が良いのか?それとも刺激をしない方が良いのか?この様に疑問を持つと思います。
今回の結果からも言えますが、やはり刺激をして卵子が取れた方が明らかに出産率は高まります
「とにかく刺激は好ましくない」と言い切るのではなく、この様なエビデンスも患者さんに示してインフォームドチョイスを行うべきと言えます。
 
Human Reproduction, Vol.34, No.1 pp. 171–180, 2019
Cumulative live birth rate prognosis based on the number of aspirated oocytes in previous ART cycles