精液所見は色々なファクターの影響を受けます。以前の記事(精子が減る原因 、精液所見に影響を与える因子 )も参考にして下さい。
特に睡眠、運動、食事、ストレスの影響を受けると言われています。
精液所見とストレスに関して調べている論文は余りありません。
今回これに関して調べている論文がありましたので紹介します。
対象
生活のストレスレベルと精液所見との関係について、744名の子供がいる男性を対象にして調査検討しました。
質問内容として過去3カ月以内に以下の出来事があったかどうかを尋ねました。
①本人、配偶者の解雇、②本人、配偶者の病気や外傷、③近親者の死、④離婚、⑤経済的な問題、⑥その他の困難な出来事
結果
生活上のストレスが(2+)と報告した群においてはWHOの基準以下の精液所見を有するリスクは上昇し、ストレスが2未満の群と比較すると精液にかかわるリスクのオッズ比は
精子濃度では2.06、(95%IC 1.18-3.61)
精子運動率では1.54、、(95%IC 1.04-2.29)
精子形態では1.93、(95%IC 1.02-3.66)
以上の様になりいずれも上昇しました。
生活のストレスが2+群においては
精子濃度 (log scale, beta = -0.25; 95% CI, -0.38, -0.11)、
精子運動率 (beta = -1.95; 95% CI, -3.98, 0.07)
以上の様になり、低下を見る割合は高い結果となりました。
その一方精子形態への影響は少ないものでした。
結論
すでにお子さんがいるといった妊孕性が確認されている男性においても、生活上のストレスは精液所見の低下をもたらす可能性がある事が示唆されました。
心理的なストレスを経験する事は特発性の不妊を引き起こす事もあります。
またこのような因子は改善可能な因子と言えます。
この結果から言える事として、
ストレスにより精液所見が悪化している事がわかったため、可能であればストレスを少なくする生活習慣に変えることでより良い精子が作られる事になります。
Semen quality in fertile men in relation to psychosocial stress
.Gollenberg AL et al. Fertil Steril. (2010)Mar 1;93(4):1104-11.