クラインフェルター症候群 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

クラインフェルター症候群について


男性の染色体異常で、男性の性染色体にX染色体が一つ以上多いことで生じる一連の症候群。男性不妊(精子形成不全、無精子症)、特徴的身体所見などを示します。千人に一人の確率で生まれます。


身体的特徴:

きゃしゃで手足の長いヒョロっとした細身の体形

①手足が長い高身長

身長よりも指極長(指から指までの距離)のほうが長くなります

②女性化乳房(50%)

③睾丸が小さい

④ひげが薄い

⑤腋毛、恥毛が薄い

⑥声変わりしない

⑦筋肉が付きにくい

⑧運動能力が低い

⑨知能は正常

(ただ軽い精神発達遅滞があらわれる事もある。X染色体の数が増えるほど精神発達遅滞の程度が高くなると言われています。)

⑩外性器、内性器は通常の男性


精液検査無精子症 、高度乏精子症


ホルモン検査:

FSH↑、LH↑、テストステロン↓

染色体検査47,XXY

48,XXXY、46,XY/47,XXY等のモザイクを示すものもあります。モザイク例に関しては造精機能が認められる事があり、自然妊娠例も報告されています。

性腺モザイク例:末梢血は47,XXYであるが、精巣の細胞構成が46,XY、47,XXYの例が報告されています。


治療

①男性ホルモンの補充

②手術:他の無精子症と比較し、MD-TESE により比較的(60%程度)精子が見つけやすいと言われています。