オーバードライブした地球。その姿は……!?
前号までのあらすじ…マザーを救うため再び始まった"ユニバース0"での冒険。シキはついに冒険の終着点・マザーの元へ辿り着く。彼女は、シキを待っていたと語り、"二万年前の契約"という二択を提示。困惑するシキに対し、宇宙の女神マザーは自身の正体が「地球」と呼ばれる星であったことを明かす。そして二万年前の地球、エーテルが枯渇し滅亡へ向かう中で、ジギーが降り立つ。そこで目にしたのは、地球のオーバードライブで……!?
扉絵
扉絵は、サブタイトルの『四煌星誕生』に対して、四煌星からシスターのみが登場!
全員いる方が話としては似合ってる気がしますが、作画コストが高いか…?笑
このシスターは「自画像」のようでいつもと絵のタッチが違う。
これ自分で描いたとしたらめっちゃ絵上手くない!?
マザーの起源
地球がマザーになる瞬間に立ち会った臨場感ヤベェ…!!
前回ラストの時点でマザーと思わしき顔面が出てきて、これがジギーがマザーと会った瞬間なのだろうと分かっていましたが、あれはほんの一瞬でしかない。
マザーの顔が見えたと思ったら次の瞬間にはマザーの全身が創造されていき、そのスケールの大きさが半端ないです。
マザーを過去一間近でお目にかかってる。
ジギーもちょうど地球にいた事でこの大きさで見る事ができましたね。
真島作品で話の1ページ目と言えば、前回ラストページの繰り返しみたいな事が多いのでそういう意味で毎度最初は軽い気持ちでページをめくるのですが、今回ばかりは最初からとんでもない絵面が飛び出して開幕から引き込まれました。
本当にジギーは地球がマザーになる瞬間に立ち会ったのだなと実感します。
前回ラストに出てきたマザーは見返すと半透明ですが、今回は完全に実体化している。
旅の目的にして最も壮大な存在だと思ってたマザーの起源に立ち会えてるの感慨深いです。
「まさか…これがワシの探していた…マザーなのか!!?」と言って、ジギーにとってはマザーに到達した瞬間でもあるんです。
ジギーと言えば、その正体がシキだと分かったものの、かつてマザーを目指したシキの目指すべき憧れの存在でもあり、そんなジギーのかつての冒険の終着点が今回描かれたんですね。
壮大な出会い方過ぎる。
すぐにマザーだと気づけたのは特徴的なあの姿からなのでしょうか。
読者にとって最も特別な星・地球から派生したのも衝撃的な光景。
口を開くマザー
「地球がオーバードライブし私が誕生しました」と話しかけてきたのも意外。
いや、マザーになったので喋る事ができるとも思いますが、つい一瞬前まで地球だった存在なので、そもそも自我すらあるのか疑問でした。
星に思考する機能があるわけないし、地球が姿を変えマザーになったとは予想しつつも、人間らしく振る舞うには時間がかかりそうなイメージだった。
しかもめちゃくちゃ自分の状況を理解できてるんですよね。
自分が「地球」だという事も「オーバードライブ」という現象も「私が誕生した」という結果も。
すぐに「私はマザー 宇宙の母」と名乗り驚きました。
もっと不自由で全能を司るような存在ではないと思っていたけど、姿が変わった瞬間一瞬で「マザー」なのか。
これはもしかしたら時喰みに時を喰われたけど、時間が遡ったのは姿だけで、意思や心のようなものは二万年を過ごしたマザーとして健在のままだったんですかね。
本来は時喰みに時を喰われたら意思や心だってかつての時間に戻ると思うけど。
しかしここまで流暢に話せるのは"慣れ"を感じるんですよね。特有の名前と自分の役割を知ってるのは流石に多くを知りすぎな気がしますから。
ループしているマザー
気になるのは、ジギーの言った「いや…おかしいぞ マザーは大昔からいると聞いた なのに今誕生したというのか!?」という疑問。
自分はむしろマザーがマザーになる前の時代にジギーが来ている事が原因だと考えていました。
だって描写として明確に「二万年前」と言われていたから。
確かにその読み方自体は間違っていない。だってそう描写されているから。
しかし、振り返ってみるとそれは地球に降り立った時に説明された事で、あの星のみ「二万年前」だと今となっては解釈できますかね。
「それは時喰みに触れられたせいでしょう 時喰みは私の時を二万年も喰い地球だった頃に戻しました あなたはそこに降り立ちマザーへと変わる瞬間に立ち会ったのです」。
言われてみたらそれがあったけど、意外と盲点かつ1番シンプルな答えでした。
ジギーは時喰みに二万年分時を喰われたマザーにいた。
今までこの宇宙、この時代そのものが「二万年前」だと思わされていたのは良いミスリード。
言われてみたらあの星だけが「二万年前」だとも解釈できるんです。
これだけ何度も物語に関わってる存在なのに全く発想になかった。
一つの星が姿を変える前まで時を戻されるなんてイレギュラーな事態過ぎた。
確かに「星」だけど、それはマザーにも該当すると思わなかったです。無意識に選択肢から外していた可能性だった。
しかし「二万年」もの時を奪ったという事は、ジギーが訪れた時点で意外と最近の話だったのでしょうか。
ちょうど二万年前の地球がマザーに変わったのでベストタイミング過ぎます。
更に時を奪われていたらただの地球に訪れて出て行っただけだったかもしれないけど「二万年」という時をジギーが訪れる直前に奪ったから数奇な因果が成立した。
フィクションにこう言うのも野暮ですが、こんな事があるものなのですね〜〜〜〜。
要は、地球→マザーになる→二万年の間に伝説の存在になる→"星"だった為時喰みに時を奪われ地球に戻る→マザーを探していたジギーが到着→地球がマザーになる瞬間に立ち会う。
「マザーは大昔からいる」と「マザーの誕生に立ち会う」が唯一成立するシチュエーション。
「0」なのに「1」みたいな、ループモノらしい構造の面白さが際立ってます。
単に世界が繰り返してるとかじゃなくて、時喰みという最初期から存在してた設定で説明されるのもめちゃくちゃ面白い。
二万年前の契約の真相
「しかも一人の赤子を連れ出した」と話はシキに焦点が当たります。
「本来ならその赤子は地球のおばードライブと同時に死ぬ運命でした しかし私が時喰みに触れ…二万年前の地球にあなたが降り立ちその赤子は生きる運命となった」と状況を説明するマザー。
「どれだけの確率の上でその赤子は生きていると思いますか?それはもう奇跡としか思えない確率です」と言うマザーですが、マザーはジギー=シキだとは流石に知らないんですかね。
確かに「奇跡としか思えない確率」で生存したシキなのですが、これは「奇跡」ではないんです。
いずれ成長して、二万年後の世界で機械となったジギーがこの場に来ている以上、シキが生存するのは確定していたんです。
いくつもの偶然の重なりは定められた運命に導かれていたに過ぎないんです。
そう考えると凄く特別で、ある意味自分を宇宙に旅立たせたのは自分自身と言えるんですよね。
何も知らずそう行動していたジギーに不思議な感覚を抱きます。
何食わぬ顔で何も知らないけど、かつての自分自身を助けてるんですよね。こういうループモノ構造大好き。
「地球で唯一生き残った者が今…そこにいるのです」と事態の特別性を主張し「宇宙の未来をその子にかけてみる気はありませんか?」と問いかけるマザー。
「どういう事じゃ!?」とジギーが問うと「その子の決断に全てを委ねてみるのです」と返答。
「私にはいくつかの力があります 一つは地球を復活させ宇宙のエーテルの源となる事 今すぐには無理ですが十数年もすれば力が溜まるでしょう もう一つはその子が幸せな道を歩めるようなユニバースを与える事 しかしこの場合私の力はやがて尽き宇宙からエーテルが消えて行きます」。
つまりシキに託した二万年前の契約の全貌がこれなのでしょう。
こう聞いてもやっぱり「ではマザーを救えば良いんじゃないか」と思ってしまいますね。
この説明を聞いてると、ウィッチやヴァルキリーの死が確定する理屈が分からない。
ここでそんな代償は示されていないように思うのですが。
よく分かりませんが、宇宙からエーテルが消える事の方が深刻な気がします。ユニバース0が不確定な世界なら誰かの死も確定はしていないんじゃ…?と思ってしまいますが、どうなんでしょう…。
マザーが選ばない理由
何故マザー自身がそれを選ばないのか、そこもジギーは突っ込んでくれました。
「自分では決められぬのか?」とジギーが聞くと、マザーは「私は星です 選ぶ力はありません」。
「星」というのは人々が生きる為の土台でどうするかを選ぶ力はない…という事なのでしょうか。
オーバードライブした事で意思を持ちましたが、それでも根本は「星」。
その主役は「生きる人々」で自分からどうこうする気はないマザーの第三者感の正体はこれだったのかもしれません。
宇宙の超越者のように全てを俯瞰して見ていたけど、それは一つの"星"としての視点だったという事。
選択を強いるわりに自分でどうこうしないのは少しけったいですが、理屈は分かります。
マザーに辿り着いていないと言っていた理由
マザーから「この子が宇宙の未来を…」と言われた瞬間、エデンズゼロの中に飛ばされたジギー。
「確か目の前にはマザーが…」と辺りを見渡すジギーですが、何も見当たらず「あれは…幻だったのか…?」と感じています。
その後も特にマザーに対して言及がなかったジギー。
もしかしたら「幻」だと解釈したのが「マザーに会ったのに周りには到達できなかったと話していた」事の真相なのでしょうか。
ずっとジギーはマザーに会っていたっぽいと思っていましたが、そう話してない理由が謎でした。
その記憶を失っているのかもとか思っていましたが、それだとシキに感じた重要性も覚えていない事になるので引っ掛かっていた部分です。
あまりに夢か幻か分からない景色だった為、ジギーは「幻」だと片付けてしまったんでしょうか。
赤子のシキを拾って来ているのは事実なので、疑いようがない気もしますが。
ここはちょっと無理くり感感じる気持ち半分、食い違ってた部分の説明に納得できて面白い気持ち半分ですかねー。
幻なわけないでしょとツッコんでしまいますが「幻」と片付ける反応も気持ち分からなくはないかなーという気分。詳細な事実の説明としてギリ受け入れられます。
あと個人的にジギーは「シキが宇宙に旅立つ為にあえて"マザーには出会っていない"と嘘をついてる」可能性もあるのかなーと思いました。
ジギーには「あえてシキが外の世界に興味を抱くよう仕向けていた」と感じていたんです。
1話冒頭で外の世界の話をしていたのとか特に。
そりゃあんな風に話をされたら外の世界が気になるだろうと思うし、実際宇宙を変えるジギーの望んだ未来に導かれたと感じます。
そういう文脈で読むと、あえて「出会っていない」と嘘をつく意味はある気がしました。
シキといえばニーテルS4戦で「そっか…じいちゃんにもできなかった事があったんだな」と"じいちゃんにもできなかった事"がモチベーションを高める理由にもなっていたので、これを狙ってやっていたなら意味を成しています。
次回あたりそういう描写があればさらに綺麗だけど、どうだろう。
四煌星誕生
人間の赤子の育て方が分からず「母親代わりのアンドロイド」の制作に着手するジギー。
「父親」の方は「エデンズワンのAIに任せるとして」と委ねます。
ジギー、それーー!!
本来一緒にいるはずだった四煌星と四黒星を別離させた判断それーー!!
黒幕に強力な仲間を作らせてしまった原因それーー!!
四煌星に対する「父親代わり」は分かるけど、サラッと大きな間違いが描かれてて笑っちゃうな。
その軽い判断がどれだけの強敵と望まぬ悲劇を生んでしまったか。
ジギー自身深い理由があってああしてるわけではないので、その行動を改めてもらえないかと自分がタイムトラベルして言いたくなってしまいました。
シームレスに悲劇の伏線が貼られ過ぎてる。
最初はうまくいかなかったようで、何度も調整し、問題だった「記憶」を埋め込み、完成。
「よし…君たち四人を魔王四煌星と名付けよう」と培養液のポットに入れられた4人が出てきました。
魔王四煌星の誕生が分かったものの、彼女達はどうジギーと旅したのか、外宇宙には痕跡が一切ないのか謎でした。
その理由も今回発覚。
「設定」という名の「偽りの"記憶"」。
「ウソでもいいから"記憶"を与えないと四煌星型アンドロイドはうまく動かなかったらしいです」とピーノは言います。
これも少し興味深い。
「記憶」というのは少しだけキーワードだと自分は感じていて、ジギーは「記憶」がないから自分の正体を知りたくてマザーを目指したし、ピーノは「記憶」がないから1から物事を吸収し次第に自分らしさを獲得していったし、魔王四煌星は「記憶」がないから最初は上手く動かなかったんですね。
機械生命体にとって、思ってた以上に重要なのは「記憶」。
ジギー、ピーノの例で言えば「記憶」こそ「自分らしさ」を獲得していく道のりの出発点なのでしょうか。
四煌星にとって「記憶の有無」がどれだけ重要だったのか気になります。
四煌星誕生と自身の出生。二万年前の真実を知り、シキの決断は…!?
第276話『シキの決断』へつづく
もうシキは決断してしまうのか、と感じました。
二万年前の契約に対する答えが1番のクライマックスだと感じていたので、何となくそれはヴォイドとの最終決戦以降かと。
もしかしたらこの決断は"一先ずのもの"なのかもしれませんね。
重要な事なのでそう簡単にベストな答えが出ると思えないし、一先ず答えるけど、ヴォイドに邪魔されるとか、やっぱり変えるとか、まだ1番のクライマックスには早い気がします。