EDENSZERO第257話『レナード』感想 | ルーメン・イストワール

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EDENS ZERO/Mashima HERO'S/FAIRY TAIL/RAVE

四煌星の秘密を知ったピーノ。しかし突如、気を失ってしまい…!?


前号までのあらすじ…マザーを救うため再び始まった"ユニバース0"での冒険。エデンズゼロ一行は四季大宇宙を巡り、ついにマザーへの道標を解放。惑星ミルツを飛び立ち、終着点のマザーを目指しシキたちは未開の宇宙を航海する。そして、エデンズワンとの最終決戦に覚悟を決める魔王四煌星だが、ジギーにより消された彼女たちの記憶の謎は残ったまま。ピーノだけがその真実を知るが、突如気を失ってしまい…!?


扉絵

扉絵は、今回の主役の1人と言えそうなウィッチ

今回はバニーガールの格好で不思議の国のアリスのようなモチーフだと感じました。

「魔法の世界」というよりかは「マジックの世界」

デフォルメして可愛い感じの絵が新鮮。


ピーノに何が起きたのか

前回気を失って倒れたピーノ

今回はそんなピーノが医務室のベッドで診療を受けてるところから始まります。

てっきり自分としては情報量が許容オーバーしてシステムがシャットダウンしてしまった的な状態かと思ってたのですが、こんなタイミングなのと、少し大袈裟に扱われてる感じ的にそんなちょっとした話ではなさそう…?

「何!?」とシスターも目を見開いて驚いていて、もしかしたら大事なのかもしれないという予感もありました。

今回はそんなシスターがピーノの気を失った原因について「分からねぇ…システムに異常はねぇみてーだが」と原因を分かっていないようで、それもピーノの身に起こってる事が異常事態なんじゃないかと思わされました

システミに異常がないとしたら、もっと特別なピーノにだけ関係するような影響?

魔王四煌星の秘密がピーノの記憶とイコールなら、ピーノも二万年前の世界から来た元人間である可能性があります。

失われていた記憶を思い出した事で、かつての姿に戻ろうとしているとかそういう変化もあり得るんでしょうか。

前回は情報量が許容オーバーしてショートした的な事情で、メタ的な見方をすれば魔王四煌星の真実が知れる過去編突入の前フリの意味だけかと思ったんですけど、今回を読むとそれとはまた少し違う別件な気がしてきました。

個人的に最終章の重要人物だと考えているピーノ。

マザーのいる宇宙に来た事で何かが変わろうとしているのか?


ドラゴンの襲来

そんな時突如艦内に鳴り響く警戒アラート。

「ウィーンウィーンウィーン」という音が鳴り、ウィッチが「緊急事態発生!!!!後方より大量の熱源反応!!総員戦闘に備えて下さい!!」とウィッチがアナウンスしました。

マザーのいる宇宙は現実世界の宇宙だと考えてる自分としては、この宇宙でファンタジー的存在はそう簡単に出てこないと思っていました。

簡単に出しちゃうとこの世界が現実世界の宇宙であるという説得力を失うと考えたからです。

エデンズワンとの最終決戦はあるにしても、もう少し引っ張ってから出すと思ってました。

だから最初は「緊急事態発生!!!!後方より大量の熱源反応!!」という時点で、この世界だからこそ状況が異質に感じ、一体何なんだ?と読んでて惹き込まれた

その正体は「ドラゴン」…なんだけど、ちょっとデザイン違うくない!?こんなんだったっけ!?


無数のドラゴンが映ってるシーンなんて少なくて比較対象があまりないけど、1番手前にいるドラゴンなんか首の装甲がこんもりしてる気がする。

他のドラゴンは細い首に鎧を纏ってるかのように対して、このドラゴンはゴリゴリの筋肉が露出してるかのような。

そいつが真前にいた事でそう錯覚したのかもしれない。

というかドラゴンって全員同じ姿じゃなく、それぞれが少しずつマイナーチェンジいてる個体差のあるデザインだったの?

確かによく見るとこのページに出てきたドラゴンだけでも微妙に皆違うフォルムになってる。

てっきり機械的に作られた同一個体だと思ってたけど、意外にバリエーションがあるのか。まるで本当の生き物かのようにそれぞれ違った姿をしている。

「ドラゴンの群れ!!?」という襲来を知って「ゴッド・アクネラなれば!!!」と即座に反応するホムラ。

アクネラの存在に真っ先に気付くのがホムラなの良いですね〜

ホムラと言えば戦乙女九五式に乗り、エデンズクルーで最もドラゴンと戦った相手。

竜特攻エーテルは遠距離より近接武器の方が良いと考え、ホムラが戦いました。

その時以来の因縁があるので、そこを回収したアクネラ。

些細ですが、良いなと思った描写でした。


どうやってこの宇宙に来たのか

「どうやってこの宇宙に来たの!?」と疑問に感じるハーミット。

「まさかつけられた!?」と可能性を挙げるワイズですが、それについてハーミットは「そんなハズはない…何重にも予防線を張っていた…」と返答していました。

その疑問に答えるようにアクネラが「ドラゴンの嗅覚を見くびるな」と言っていましたが、ドラゴンの嗅覚でエデンズゼロの居場所が見つかったのでしょうか?

自分にはそれだけじゃない意味がありそうに感じました。

ハーミットが「そんなハズはない…」と言い切る程、何重にも予防線を張って、対策は完璧だった。

それがこうも簡単に対処されるとあまり思えません。

ただ単に「ドラゴンの嗅覚を見くびるな」という説明だけならともかく「そんなハズはない…何重にも予防線を張っていた…」という状況がわざわざ説明されたのが不可解なんです。

ドラゴンを操るアクネラすげぇって話じゃなく、それ以上に特別な理由があるんじゃないかと勘繰ってしまった

加えて、今回の話の冒頭から現れる唐突さ、四季大宇宙からマザーのいる宇宙に簡単に到達してる不自然さに違和感を感じます。

前者は話の都合上もあるかもしれませんが、妙に唐突感を強める構成になってる気がしました。

本来であれば、話のラストで強襲という読み味になりそうなものなのに今回はそうしてない。

まるでこのアクネラが幻覚なんじゃないかと思えるくらいあっさり出てきた印象を抱きました。

マザーのいる宇宙もそう簡単に移動できるものではありません。

来る為には、惑星ミルツでマザーエーテルを完成させる必要性がある。

そしてそのミルツ自体も6900個のダミーがあり、本来発見に数年かかるんです。

それをどうやって見つけたのか、そもそもマザーエーテルを完成させたのかどうか。

本当に「ドラゴンの嗅覚」だけで解決できる問題なのか気になります。

もしマザーのいる宇宙に来た経緯に更なる意味があるなら、自分としてはピーノ=エデンズワン説を疑ってしまいますね…。

これも自分の中では有力視してる仮説なんだ。


ヴァルキリー出陣

「さあ我が子たちよ 狩りの時間だ」と言ってドラゴンに襲われるエデンズゼロ。

前の世界では撃退できたものの、この世界ではまだ「竜特攻エーテル」がありません。

前の世界でまずホーリィ隊が作り、それをヒントにハーミットも作った対ドラゴン用エネルギー。

アクネラの使役するドラゴンはドラゴンフォールにいるものより強く、通常の射撃は通用しません。

竜特攻エーテルがないと歯が立たないんです。

その為、この世界でもそのエーテル制作に取り掛かるハーミット。

その間にシキ達が食い止め時間を稼ぎまず。

そこで特別名乗りを挙げたのはヴァルキリー

「アクネラを倒せばいいんだろ?任せとけ」と言って、出陣しました。

まるで楓大戦の戦乙女九五式を彷彿とする展開。


あの時はホムラがヴァルキリーを模したナイトギアで戦い、今回はヴァルキリー本人が戦いに出向きました。

真島先生もここは意識的にリンクさせてそうで、ループモノ故の面白さが出ていますね。

ヴァルキリーと言えば、葵宇宙での戦いでも単騎で帝国艦隊を一掃していて、その強さは身に染みて実感してました。

宇宙はヴァルキリーの庭と言わんばかりに頼もしさを感じる騎士。

しかしそんなヴァルキリーの前に行く手を阻む敵が出現。

ヴァルキリーの行く末をその身一つで遮るような巨漢・ブリガンダイン

魔王四黒星の一人であり「エデンズの鎧」

今回本人も言ってる通り「ヴァルキリーの上位互換機」です。

前の世界では「かつて"無敵の剣"と呼ばれたヴァルキリーとまみえる事が叶わぬのは無念」と言っていたブリガンダイン。

この世界では念願の戦いを実現できた事になります。

自分としてもヴァルキリーvs.ブリガンダインは見てみたかったので熱い展開…!

「剣」と「鎧」…対を成す存在として特別感を感じるマッチアップ。

かっこいい武人の戦いを期待したい。


ヴァルキリーvs.ブリガンダイン勃発

「我は魔王四黒星ブリガンダイン 貴様の上位互換機だ」と自己紹介しても「あ…そう」とだけ言って全く意に介してなかったのもヴァルキリーかっこよかったですねー!

ブリガンダインの方は「対を成す存在」であり「上位互換機」としてヴァルキリーと戦う事に固執してるけど、ヴァルキリーの方はそうじゃない。

むしろ興味ないぐらいで、違う土俵で戦ってるのがヴァルキリーに格の高さを感じます。

「あ…そう」なんてクールな返し方でイカしてて、女性だけど男らしさを感じました。

ヴァルキリーの容姿ってちょっと洋画に出てくるボーイッシュな女性っぽくて好きです。

ロックが好きで皮肉めいた言い回しも言えそうなそんなスタイリッシュさに憧れを抱く。

しかしそんなヴァルキリーの心の余裕とは裏腹に刃はブリガンダインの鎧を通さず、頭突きからの蹴りからの斧で一太刀くらいます。

「こいつ…」とその強さを見せつけられるヴァルキリー。

楓大戦でホムラを苦しめた強さは伊達じゃありません。

魔王四黒星はレベッカやワイズですら勝てなかったので、今でもその特別な強さは印象付いてます。

もちろん銀河六魔将レベルには匹敵しないけど(シキには1割の力で敗北したし)、これまで出てきた敵幹部としては破格の強さ。

その為、楓大戦でホムラがブリガンダインに勝てたのも話の都合や主人公補正の側面を強く感じたんですよね。

本来ホムラが勝てるレベルの相手ではなかっただろと思ってる。

あの戦いは、ヴァルキリーの剣を受け継いだホムラが勝つ事でブリガンダインの上位互換性を否定するというテーマを尊重した決着だったと思います。

まず勝てる強さの相手じゃなかったけど、そこは有耶無耶になった感。

もちろんあの戦いはだからこそ好きではあるんですが、今回に関してはヴァルキリーが苦戦を強いられるのもそりゃそうだよなぁと思いました。

ホムラでさえ正統法で勝ててない(描写上勝ってますが)。とすると師のヴァルキリーが苦戦するのも必然

ここは良い意味で敵の強さを際立たせてくれたのが良かったです


ウィザードの襲撃

突然エデンズゼロが襲われる緊急事態。

ハーミットが状況を分析してると、艦内でも異常事態が発生。

船の中で異常な電磁波を検知し、何者かの侵入者がいる事が確認されました。

最初は船の電波をジャックするような妨害に見えて、ハーミットと同じプログラマーのキラーかと思ったんですが、その正体は「ウィザード」

船の防衛を任されているウィッチの背後に「ビィッ」と電撃が走り、背後に姿を現した魔術師。

ヴァルキリーにおけるブリガンダインと同じように、ウィッチにとっての「上位互換機」です。

あちら同様、ここでも前の世界では実現されなかった戦いが勃発しました。

魔女vs.魔術師

この二人は同系統の能力を使う人物でもあります。

システムを乗っ取るような行動はキラーだと思ったんですよね。

前の世界同様システム面で苦しめるのはキラーの行動だろうと。

真島先生が意図していたかどうかは分かりませんが、自分としてはその正体がウィザードである事に意外性があり、掻き乱されました。

突如の敵襲なんて真島作品で何度もあり、慣れた読み味ではあるんですけど、こういう意外性があるとまた違った面白さがあります。

ウィザードは「ウィッチ・リグレットだな」と相手を確認し「おまえを破壊する」と言って敵意を向けました。

こちらもブリガンダイン同様、対となる存在を倒す事で上位互換性を示したいという思いがあるのでしょう。

言わば、生み出された使命を果たそうとしているのかもしれない。

この二人、今回の話ではかつて恋人だった事も仄めかされ、そんな相手を破壊しようとしているのは悲しい戦いにも感じます。

何があったのか具体的な事は分かりませんが、かつての自分達じゃ望まない事をしようとしているんじゃないでしょうか。

本人達にそんな意識はなく、それを断片的に知り始めてる読者としては居た堪れない気持ちになる。

この勝負、勝っても負けても悲しい戦いになりそう


レナード

前回急に時間が飛んだ「二万年前」

今回から過去編に突入というわけではなく、再び現在に戻り、ラストで再度二万年前に立ち返り情報を小出しにするジギーの真相明かす時と同じ手法。

ガッツリ過去編でも自分は構わないんですが、同時進行でエデンズワン勢力とも戦い、少しずつ明かす謎で読者のバイブスを上げる意味もあるんですかね。

ラストで再び描かれた「二万年前」。

時系列は前回の続きで「リグレット」というウィッチ似の女性から電話を受けたユナ。

「リグレット」とは、ウィッチのセカンドネーム。

本編でそちらの方の名前が取り上げられた事は一度もない気がしますが、以前のEZキャラ徹底解剖Fileで本名が公開されれます。

ある意味死に設定と言えそうだったウィッチのセカンドネーム(シスターとヴァルキリーに関しては本編でフルネームで呼ばれた事があったかな)。

それはウィッチの「本当の名前」として回収されそう。

イヴリィ(シスター似の女性)の見舞いに行くぐらい親密な仲であるリグレット、ユナ、そしてリグレットの隣にいるスーツを着た男性。

そこはハーミットかと思いきや、別の男性がいました。

「ん?この男誰だよ?」とブリガンダイン似の男性が聞き「レナード リグレットの婚約者だよ」と判明。

少し分かりずらいですが、ウィザードと同じ容姿をしていると思われます。

目を閉じてる事で印象がガラッと変わっていますが、元々楓宇宙編で描写されたウィザードの記憶の中で出てきた人物がこの男でした。


魔王四煌星と魔王四黒星がかつて知り合いだったと判明した最初のタイミング。

その名は「レナード」「リグレットの婚約者」

前述の通り、これから戦う相手が「かつての婚約者」だと分かるのはつらいな…!

どうか悲しい決着にならないようにと祈るばかり。


リンクする現在と二万年前。そして四煌星と四黒星。ついに始まる総力戦、その行方は…!?

第258話『星の形』へつづく

「星の形」…で彷彿としたのは、先日考えたマザーのいる宇宙=現実世界の宇宙説。

この仮説の根拠として、この宇宙の星は四季大宇宙にある星とは見た目が違うのではないかと考えた。

四季大宇宙にある星はその土地の特徴がデフォルメ化して描かれてるんだよね。

この宇宙では今のところそういう星はない。

もしかしたらその違和感にシキ達が気付くのかもしれない。