すふ第4位
「神は見返りを求める」
日本の映画監督で好きな監督ベスト3に入る吉田恵輔監督作品。昨年は「空白」、「BLUE/ブルー」を鑑賞しましたがどれも好きで特に「BLUE/ブルー」は運動をある程度ガッツリやった事がある人は色々と感じる部分があるのではないかと思われ、自分も凄く響きました。
ですが、この作品の“いま”を切り取った感と主演2人が素晴らしく、着地点もかなり好みだったのでこちらの作品がランクインとなりました。
まず、ムロツヨシさん、岸井よしのさんが素晴らしかったです。「さがす」の佐藤二朗さん同様、いつものムロさんではない顔を見せてくれます。そして最近絶好調といっても過言ではない岸井さん、途中からの無茶苦茶嫌なヤツは凄かった。ただ、この2人に負けず劣らずの存在感を見せてくれた若葉竜也さん、本当にサイコーのクズ野郎をサイコーに演じておりました。
作品そのものの昨今の動画配信におけるモラルだったりエスカレートしていく様だったり怖さだったり、多少誇張している部分もあるかもしれませんが、ここに映されるトラブルめいたものってありそうだなと思ったり、人と人の繋がりもちょっと色々考えさせられたり、ポスター等のビジュアルから想像つかないところに連れていかれます。割と「BLUE」や「空白」が吉田監督にしてはストレートに来た感が強かったので、今作はあぁ、いつものやつだーみたいな感じを強く感じました。
あまり軽く人には薦められない吉田作品です。
楽しい映画、ハッピーエンドが好きな方、スッキリ終わる作品が好きな方は鑑賞を控えてください。
本当に毎回期待を超えてくる監督さん、次回作も楽しみです。
第3位
「マリグナント 狂暴な悪夢」
ジェームズ•ワン。
この名前にピンときた方はホラー好きかなと思います。
「ソウ」「死霊館」を作った監督です。
この2大ホラーシリーズを作っただけでも凄いのに、「ワイルド•スピード SKY MISSION」「アクアマン」まで監督して今や超ヒットメーカーの1人
そのワン監督が、デカい作品を任されるし作る事ができる彼がまさかB級感満載のホラーを撮るなんて思ってもみませんでした。
「ソウ」の方がB級感ないくらい、無茶苦茶B級感満載、B級テイストの作品です。
ただ、その中に今まで作ってきた作品で培ってきたものを取り入れ、尚且つ観た事ない新しいものをぶち込んでくるという流石の手腕。彼への信頼度は増すばかりです。
多分、この作品に関してはジャンルとしてはホラーになるとは思いますが、苦手な方でも観る事ができるのではないかと感じました。
このジャンル、と分類するのが難しい作品です。
それと作品中、恐怖の象徴である“ガブリエル”をちょっとカッコいいと思ってしまったり、応援してしまったりするので怖さは薄れるかなぁと思います。
ただ、グロさはしっかりあるのでそういうのが苦手な方はちょっと厳しいかもしれません。
新感覚の作品なのに既視感が感じられる不思議な作品。
面白い体験をしたい方は是非!
第2位
「THE FIRST SLAM DUNK」
あの名作バスケ漫画をあの井上雄彦先生が自ら監督として映画化。
上映前は色々あったものの、蓋を開けてみれば大ヒット。
自分は原作は読んでいますがTVアニメは見ていなかったので全く違和感なく観る事ができました。
予告で最初観た時は、なんかゲームみたいだな、みたいな感想を持ちましたが、観てビックリ、本当の試合を観ているかのような臨場感。これから先、スポーツをアニメにした時、ここが基準にされたらちょっと作る方は堪らないと思います。その作品にあった作画というものがあるとは思いますが、アニメファンだけではない人間の脳裏にこれが刷り込まれてしまったというのは結構な事件だと思います。
そして井上先生の思う現在の「SLAM DUNK」をそのままスクリーンに映したんだろうなという感じのストーリーと作画。
オープニング、あの面々が描かれていき動き出す場面でもう大興奮、その後対戦相手のあいつらが歩いてきて更に興奮。
その興奮のまま本編へ。
あのオープニングの手描きと本編の3Dの対比。
モーションキャプチャーを駆使して描いた試合シーンは鑑賞前の心配がバカみたいと思えるほどリアル。
ここは賛否分かれる部分だと思いますが、自分は全く違和感なくクライマックスまで観る事が出来ました。そのクライマックスの原作を読んでいる方ならどうなるだろうと誰もが思うであろう場面。
映画館で息を止めたのはあまり記憶にありません。
ただ、リョータの回想シーンがちょこちょこ入る事で試合の流れが止まってしまったかなぁというのは鑑賞中から感じしまいました。
必要な部分ではあると思うので、最初と真ん中にまとめるとかがいいのになぁ、と思いながら観ていました。
そのくらいでしょうか、不満に感じたのは。
今までにない新しいものを観せてもらった感が物凄く強く、おそらく映画やアニメが専門ではない井上先生が製作したからこその完成形だと思います。
彼の頭の中スクリーンに映し出したような本作。
オープニングの興奮、実際の試合のような臨場感、そしてクライマックスの静寂、これは自分以外の人が存在する映画館で味わってこそだと思います。
是非、劇場で!