ゴルフは、最後まで何が起こるか

わからない。

これはゴルフだけに限らない。

 

彼女と一緒にゴルフに出かけた。

コースの白い木蓮が目をひき、山

桜がよく咲いていた。

 

 

ハーフを終え、レストランにいく

壁には「三分の侠気」と書かれた

額の書があり、ひとには気が要る

もんだと妙に納得している自分が

いた。

 

今日の彼女は、妙に違っていた。

ラウンドしていても、リラック

スしていた。彼女は上下、真っ

白いウエアで、決めていた。

何かいいことがあったのか、い

つもと違っていた。

 

 

 

彼女は、いつも「逃げることはし

ない」と言う。

これは、すべてに通じる彼女のポ

リシーであった。

ゴルフもそうで、グリーン200ヤ

ード手前にある池のホールで、ふ

つうなら、謝ってアイアンなどで

刻み、それからグリーンにのせて

いくところなのに決してきざまな

い。

 

最終ホールにやってきた。

ひとには性分(しょうぶん)とい

うのか、これを依存症と呼ぶのか、

不思議なところがあるもんだ。

彼女もそのひとりで、賭けるのが

好きで、彼女の賭けに応えた。

 

 

19番ホール。

ゴルフを終えたあとホテルにゆく。

19番の部屋だった。

飲めないかの女は、一口だけとワイ

ンを飲む。「甘く、飲めるは」とい

い、何杯も飲んでいた。

酔いがまわり、気をゆるしたのか、

「じつは、…」と話しをはじめた。

ストーカーの被害にあった彼女。

あったときに際し、かけていた保険。

人にすすめられ入ったストーカー保

険。そのお金、全額5000万円がお

りたという。

二、三年前にはいり、口数も記憶な

く保険の全額がおりてくることもわ

からなかった。と、いうのを耳にし

驚いた。

 

何が起こるかわからないのがこの世

だ。

真っ白い肌の木蓮が目をひく。

白い肌は、何のせいか、ワインのせ

いか、うっすらと紅く染まる。

その肌に触れる手を下へすべらせて

ゆく。うすい毛に包まれた奥の花芯

はすでに熱く濡れていた。

もっときつくと、揺れ動く端正な

上品な彼女の顔を仰ぎみる。

 

いつもと違っていたかの女。

何が彼女をそうさせたのか。幾度か

繰り返し、朝方、関空飛立つ一番機

を見、再度、ベッドのなかで温かい

肌を感じ、夢のような夢をみていた。

こうして、白衣の女医が部屋(19番

)に来て、「今日はどんな夢を見ま

したか」と、性依存症のぼくに尋ね

てくれた。

 

 

 

 

「百人一首」の撰者

2024.3.27

Enjoy藤原定家(「来ぬ人を」源氏物語)男と女の物語(633)

 

「源氏物語」のモデル

2024.3.28

河原左大臣(源融「みちのくの」光源氏)男と女の物語(634)