2024年正月元旦。

あけましておめでとうございます。

古くは、おめでたいときに祝い物

として出版されていた艶本。

 

艶本『艶本多歌羅久良』

「多歌羅久良(たからぐら)」は滝

沢馬琴82歳の生涯の只ひとつの艶本

で、寛政12(1800)年正月に刊行

される。挿絵は喜多川歌麿が描く。

作蔵と娘

作蔵は浅草寺の鐘の音に驚き家に帰る。

このとき向こうより十七八の大振袖の

娘があり、絶世の美人。

作蔵傍へ寄り聴くと娘は供のものと離

れ「途方にくれております」という。

作蔵「橋場なら川向う。ちょっと私の

庵(別荘)にお休みなされ」と連れ込

む。

作蔵の庵の隣は遠くにあり、庵にはひ

とは居ず。

是はむたいな。なにをなされます。

アレ、およしなさい。むたいな。

モシ、こふなるからは、かくしはせぬ

が、わたしゃ初めてでござります。

しずかになされて下されませ。

といわれて、

作蔵、可愛さまさり、唾とろりとあん

ばいして、左手で弱腰を抱きしめ押し

込めば、「アゝ、もふどうも」と足を

七の隋までからみつけてくる。

アゝもう、よくて 〱、いっそ息がは

ずみます。どうも 〱。

 

 

 

 

はじめての女にしては至極巧者の大よ

がりし、作蔵はついにだく〱と末期の

水を吐き出す。

娘は帯しめるその所へ供の者が探し当

て、娘は何くわぬ顔して礼を述べて帰

っていく。この娘の名をおいくという。

その後娘・おいくは、ひと夜おきに作

蔵の別荘にたずねにくる。

かえでと幾太郎

この間作蔵の本宅では、妻のかえでは

従兄の幾太郎と不義をかさねている。

 

物語の終末(稲荷)

幾太郎は狐に変じ、「我、作蔵の妾と

なり、かえでの密夫となる。双方差し

引き出入りなし。さらばさらば」とい

い、消えていく。

これは作蔵の屋敷の稲荷が姿を変じて

現れ、夫婦の邪淫を戒めたまひしと聞

こへし。

 

艶本『富久寿楚宇』

北斎の『富久寿楚宇』は文化12(1

815)年春に刊行。序文に「初春の

戯れ」にとあり、春先に咲く福寿草

を懸けた艶本。

 

 

若者

おさねさん、お前とこのやうにゆつ

くりとするの初めてだな。

この間からたまりきつているから、

気がいきづめだわ

私もお前に逢いたくって 逢いたく

ってもうどうにも我慢できなかった

から、やっとのことで都合をつけた

わな。決して 決して わたしのこと

を見捨てないでおくれよ。

ハアハア スウスウ フウフウ

 

 

 

正月

2023.12.31

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