盛夏。

季節は移りゆき、ひとは歳をかさねても、

過去の記憶と現実には境目がなく、男と

女は夢のような景色を追い求めつづける。

 

映画「透光の樹」

映画「透光の樹」は、2004年10月公開映

画で、原作者の高木のぶ子は第35回谷崎潤

一郎賞を受賞する。秋吉久美子は、女の性

(さが)、激しい愛を男の永島敏行と演じ

る。これが凄い。

物語は石川県鶴木町を舞台に描かれる。

25年前に取材のために出かけた地に再度

訪ねることになる。

 

今井郷と山崎千桐「雲」

郷(永島敏行)と千桐(秋吉久美子)。

郷は千桐に「あなたを憶えている?高校

生の頃を」と尋ねると「六郎杉の樹で写

真を撮ってもらった」と憶えていた。

 

千桐は「ちょっとおはいりなさいません

か」と父・山崎火峯にあわせる。

「この方今井さん」といっても、借金と

りが来たとおもい、話がかみあわない。

郷は家の神棚の上に「雲」と書いている

意味をたずねる。「何もかも水に流され

る」という土地の慣わしがあり、ひとの

知恵だという。

 

千桐と郷「六郎杉」

六郎杉の場所に案内し、ふたりはこの間

のことを語り合う。

千桐は、子どもを産んだあと、夫と離婚。

いまは12歳になる娘を育て、父を介護し、

寿司屋に勤めている。

郷は息子が2人おり、映像制作会社の社長

をし25年ぶりに訪ねた。

千桐は華やかな仕事で「いいめをされてき

たでしょ」というと、「その通り」とこと

わり、まともな暮らしをしているものはな

く、先のものより目の前の牛丼に目がいく。

という。

千桐から「父は借金払えばかり言う」と聞

き、お金がいるときに声をかけてください。

といって別れる。

 

郷と千桐「カタクリ」

東京の郷のもとに一通の葉書が届く。

東京は春いちばん、白山の平泉寺ではカタク

リの花が咲き見所です。という千桐の誘いの

葉書だった。

 

 

平泉寺の近くの従妹の屋敷で、郷は千桐と食

事をとり、屋敷に泊めてもらう事になる。

カタクリはいい味がし、苦みもあるそうだ。

郷のカバンにはお金がはいっていた。

かの女は、お借りしたかわりのものを差し上

げるはずが、むさぼるように郷のからだを求

めた。こうして、ふたりは初めて結ばれた。

 

 

千桐と郷「逢瀬」

その後ふたりは逢瀬を重ねる。

千桐は、もう、止まらない。

(仏壇・神棚の前)

郷もそうだ。千桐の家に悔やみにいき、郷と

千桐は激しく仏壇の、神棚のまえで求めあった。

 

 

 

(ベッド)

 

 

郷「寿命」

郷は医者の手術を拒み、かの女と一体に

なることを選択いた。

会社を辞めることを決めた郷。

かの女は東京の郷に逢いにやってくる。

千桐はポスターの女性に千桐のCの文字で

切りとった。かの女ははじめて嫉妬する自

を知る。

郷は、Cの字にGと書き加えて言う。

ここで、ふたりはむすばれているという。

その晩、ホテルで求めあった。

 

 

 

郷と千桐「半々」

随分遠くまで来た。思い残すことはない。

「お体の具合悪くない?」と問われ、「

あなたが欲しくなった」といい、二人は日

本海の宿屋にやってきた。

 

 

 

浴衣の下に白く透けたシミーズで、部屋に

入ると、郷はむさぼるように千桐のシミー

ズを脱がせる。千桐は、「はじめから郷さ

んの娼婦になるって心にきめていた」と、

激しく口づけをかわし、ふたりは上下にい

れかわり求めあう。

 

 

郷と千桐「駅」

郷は千桐と停車場で別れる。が、郷の列車

に乗り込む千桐。「あなたは、とまらなく

なる女性だ」これに「夕べの私ですか」と。

「困らすなよ」に「短い時間でも。ききわ

けなくわがまなに一緒に生活したい」とい

い、次の駅で別れる。

 

 

郷と千桐「六郎杉」

半年後の秋。郷がなくなった報せが届く。

千桐は「もう生きていけん」と思い、やっ

てきた六郎杉のところに来る。ここで終わ

りたいと決めていた。ふと六郎杉の幹を見

ると、Gが刻みつけられている。「わたし

のために郷さんがここを訪ねてくれていた」

と千桐は、「郷さんとは半々のからだで、

わたしは一緒に生きているんだ」と思いなお

す。

 

 

15年後平成16年春。

年老いた千桐。縁先で、こわれかけた体に、

「右の乳房はぼくの右胸」とつぶやく。

娘・眉は、母・千桐が自分とは違った幸せを

感じているようにみえるのだった。

 

 

「透光の樹(生と性)」(感想)

セックスシーンが凄いドラマ。

季節の移り変わる草花や、食事などが、

生や性と懸けて、描かれている。

まさに「生は性なり」と思う。

 

参考(メモ)

2004年10月公開映画

監督:根岸吉太郎

原作:高木のぶ子

脚本:田中陽造

 

山崎千桐:秋吉久美子

今井郷:永島敏行(映像制作会社の社長)

山崎火峯:高橋昌也

 

 

 

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