季節は移りゆき、時代はかわった。

今は梅雨、天候が不順でうっとしい日々

がつづき、眠れぬ夜がつづく。

朝方、夢枕をみて目が覚め「らんまん」

をみた。

 

「らんまん」のタキ

万太郎の祖母・タキ。

土佐の酒蔵で知られた豪商の峰屋をこれま

でよく守り抜いてきた。

万太郎は祝言を終えてお色直しのときに、

これから嫁の寿恵子と新しい道へ向かうこ

とを一同に言う。

そして、峰屋の跡継ぎの綾には井上竹雄を

婿にとるという。これに竹雄は「謹んでお

受け申します」と応える。

ついでタキは番頭の市蔵は隠居し、定吉が

これから番頭じゃといい、一同に、もう時

代がかわったのじゃという。

これに分家の者らが怒りをあらわにし、

「誰じゃ、本家と分家を区別してきたのは

!」、「わしら分家を見下してきたのは!」

「これまで、本家の顔色、おばんをみて、わ

しらはやってきた」と、タキに怒りをぶちま

ける。

タキは「ほうじゃの、わしがそうさせてきた。

ときはかわった。この先は、本家と分家は上

下の分け隔てなく、一緒に商いに励んで欲し

い」と頭をさげる。

 

 

「女性(四季)一生」

先のことはわからないが、花のごとく移ろい

やすいのは女性の一生もしかり。

ヤマザクラの花言葉は「あなたに微笑む」とい

うそうだ。

担当女医が回診に来て、「どんな夢をみました

か」と性依存症のぼくに尋ねる。ぼくは月岡雪

鼎の『四季画巻』とこたえる。

ひとりの女性の一生を花に喩え、春の椿・梅に

始まりから冬の葉先が枯れ、香気がただよう水

仙の花に移りかりを描く。男と女の姿にあわせ、

春夏秋冬の花の絵の位置が重なり、これが妙に

艶っぽい。

艶女医微笑んで言う。「順調よくすすんでいま

すね」といい、再度、夜に往診に来ていただく

という夢枕を夜明けにみる。

 

春・夏

春の椿と梅、若い娘と男。

夏の花菖蒲に成熟した女性。

 

 

秋・冬

秋の菊の花と夫人の女性。

女性のときの流れを表す冬の水仙。

 

 

「らんまん」のタキ

タキは万太郎夫婦と綾夫婦を連れて、呉服屋

の桜の樹を訪ねる。タキは言う。「お久しゅう

ございます、天寿ありますけんど、おたがい、

精一杯生きてきました」と。

万太郎は、治すことはできんけど、さし芽を

した苗木は大きく育っていく。と聞く。

「いつか、この桜が咲きほこるか」とつぶや

き、峰屋の大黒柱だったタキは、「らんまん

じゃ!」という。ひとつの時代の終わりを告

げるときであった。そしてタキは、この世か

ら去った。

 

 

 

参考(メモ)

作:長田育恵

主題歌:あいみょん「愛の花」

 

(土佐酒藏「峰屋」)

祖母槇野タキ  :松坂慶子

主人・槇野万太郎:神木隆之介

母・槇野ヒサ  :広末涼子

姉・槇野綾   :佐久間由衣

番頭・市蔵   :小松利昌

妻・女中頭ふじ :石村みか

番頭息子・   :志尊淳

職人      :赤木悠真

(酒藏「峰屋」の分家)

紀平      :清水伸

紀平の息子・伸治:阪口涼太

 

(土佐呉服商「仙石屋」)

義兵衛:三山ひろし

手代:小野大輔

医師鉄寛    :網島郷太郎

(東京「白梅堂」)

娘・西村寿恵子(浜辺美波)

母・西村まつ(牧瀬理恵)

叔母・笠崎みえ(宮澤エマ)

菓子職人・文太(池内万作)

(東京「大畑印刷所」)

大畑義平:奥田暎二

妻・イチ:鶴田真由

娘・佳代:田村芽実

 

 

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