東京はすっかり変わった。

戦後77年。世界の中の日本。

コロナ禍のなかの国葬・統一教

会で迷走する自民党、岸田内閣

は何処へ。

 

 

八重洲中央口前(交差点)の東京

 

妖怪がはびこる世の中に、一服の清涼

剤を。戦後のフィクサーと呼ばれた児

玉誉士夫。

かれの自伝での余談。青春時代の初恋

にまつわる男と女のこの時代の物語。

以下自伝による。

 

「ほんとうの恋」

これまで、木石ならぬじぶんは友人た

ちと廓にも足をはこび、待合にあそん

だこともしばしばあった。

が、これまで異性にたいして、心底か

らうちこんだことは一度もなかった。

ほんとうの恋愛でない場合は、すぐに

手が出、そこに異性間の肉体的な交渉

がはじまるわけだ。

したがって、恥ずかしいことのようだ

が、ほんとうの恋とは、愛情とは、ど

んなものであるかも、まるで知らない

じぶんだった。

 

「真実の恋」

そのわたしが、はじめて異性に目を

ひらき、ある種の悟りを得た。

真実の恋のばあいは、肉体的なこと

など枝葉末節で、おたがいが顔をみ、

なんとはなしに語りあうだけで満足

なのであった。

そのころわたしは、生まれてはじめ

ての恋をおぼえ、しかも最高潮にた

っしていた。

 

「恋の相手」

じぶんがはじめて恋を感じた相手は

安都子。

こんなことをいうと、惚気ばなしの

ように聞こえるかもしれぬが、それ

が真剣であり、まじめであるほど、

相手の女性はあまりにも気高くおも

われ、容易に手だしなど、できるわ

けのものでない。

歌人・与謝野鉄幹のうたえる「妻を

めとらば才長けて、みめうるわしく

情けあり…」の、この歌を愛唱しつ

づけたじぶん、かの女をじぶんの妻

となるべき女性と形づくっていた。

 

かの女と誉士夫「桜田門」

はじめて恋をしたその相手。

昭和16(1941)年、誉士夫30歳)

は恋の相手の安都子と結婚。

妻はまだようやく20歳。

じぶんが警視庁に出頭する朝も桜田

門のところまで見送り「行っておい

でなさい。どんなことがあっても、

じっと待っています」といいきった。

 

児玉誉士夫「真実の恋」

はげしい動乱の渦中に身を投じ、

殺伐なななかで生き抜いてきたじ

ぶんだが、真実の恋をするときは

通常の人とかわりがなかった。

むしろ、第三者からみれば、他愛

のない弱虫だったかもしれない。

 

妻・安都子

妻の安都子はすぐる昭和35(19

60)年6月、交通事故の奇禍に遭

って、40歳の若さでなくなった。

安都子はわたしにとって、まさし

く理想の女であり、妻たるにふさ

わしかった。

彼女の不慮の死は、一瞬にしてじ

ぶんを最大の悲運においこんでし

まった。

彼女は、わたしみたいな日本一の

我ままの伴侶となり、その後20年

の歳月を文字どおり、倶に苦労し

きったのであった。

 

児玉誉士夫「その頃」

そのころ、昭和26(1941)年の

児玉。

児玉誉士夫は汪兆銘政権樹立のた

めに参謀本部嘱託として上海にお

り、日本に戻り、松岡外相と面談

し、数日後日本政府は国外に汪兆

銘南京政府を発表。

5月突然帰国命令が下る。

この年、元首相の平沼騏一郎男爵

を狙撃する事件が起こり、この拳

銃が児玉誉士夫のもので取り調べ

をうけるが、かつて大陸で渡した

もので、事件の容疑者となるが、

のち容疑晴れ釈放される。

この間の頃にふたりが結婚する。

そのころ、生まれてはじめての恋

をおぼえ、しかも最高潮に達して

いた。と誉士夫は記す。

 

 

 

児玉誉士夫「自伝」(昭和49(1974)年発刊)

 

 

児玉誉士夫(1911-1984)

昭和4(1928)  年   児玉誉士夫(天皇直訴・11月入獄)

昭和5(1930)  年  8月出所、11月急進愛国党入党(←建国会) 

昭和6(1931)  年  全日本愛国者共同闘争協議会(1931.3)

           錦旗革命(国会ビラ撒き・3月入獄)

昭和7(1932)  年  2月出所。五・一五事件、10月事件・入獄

昭和10(1935)年  (殺人予備罪4年6ヵ月判決・府中刑務所)

昭和11(1936)年  二・二六事件、4月出所、二月会に入党。

昭和14(1939)年  参謀本部秘密命令(捧皇隊:汪兆銘)

昭和15(1940)年  南京国民政府(-1944)

昭和16(1941)年  東条英機内閣出現(10.17) 

           児玉機関誕生

           第二次世界大戦開戦

昭和18(1943)年  軍需省新設11月・岸信介就任(次官)

昭和20(1945)年  終戦

 

 

 

 国会議事堂(永田町)・霞が関・桜田門・皇居

 

 

2022.8.31

児玉誉士夫(「日支事変」)ー新東京物語(85)

2022.8.31

児玉誉士夫(「大東亜戦争前」)ー新東京物語(86)