奈良盆地の南の端にある吉野。
この吉野という場所は、歴史的に重要な人物が集まってきた場所です。
そもそも、この一帯は飛鳥時代に修験道の始祖と言われる役小角(えんのおづぬ)が根拠地としていた所です。
金峯山寺の創始は「役小角」と言われています。
紀伊山地は、熊野もそうなのですが、歴史的に山岳信仰の重要な場所だった訳です。
それだけに、歴史上色々な人物が吉野に参詣にきます。
歴代の天皇が行幸されることも珍しくありません。
天皇家ではありませんが、大掛かりなもので言えば、秀吉が関係者5000人を引き連れて、桜の時期にここ吉野で花見をしています。
あるいは、深い山中だけに、追手から逃れるために、吉野に隠れに来る人もいます。
例えば…
大海人皇子(おおあまのおうじ・後の天武天皇)
源義経
後醍醐天皇
といった、有名人の名前が上がります。
この中でも、特に有名なのが後醍醐天皇。
というのも、足利尊氏の追手から逃れて、吉野に至り、吉水院に御所を置くことにします。
その吉水院もまた元々は、この金峯山寺の一部だったのです。
それが今の「吉水神社」なのです。
この吉水神社の奥からは、金峯山寺の蔵王堂(ざおうどう)がよく見えます。
そして、この場所からちょうど北向きに門があり、それが京都の方角。
後醍醐天皇が京都への帰還を近い、日々この場所にいたとか。
結局、それは叶わずに、数十年に渡って、京都に北朝、吉野に南朝が並び立つ時代が続くのです。
由緒ある場所だけあって、鎌倉時代以降を代表する文物がこの吉水神社には残っています。
何せ、義経・後醍醐天皇・秀吉たちの遺物だけでなく、時代が下って江戸時代の国学者である、水戸光圀や本居宣長の直筆が残っていたりと、鎌倉時代の文化史の話をしようと思ったら面白い文物が残っている場所なのです。
吉水院の中を見るのに、600円必要です。
それだけの歴史的な価値があるものが、ここに残っているのです。
吉野は自然環境としてはかなり過酷だと思います。
奈良盆地から見ても一段と寒いです。
実際に訪れた12/30に寒波が入り、やたら風が強い日だったのもあり、見物していてもやはり寒いのです。
(地元の人曰く、風が強いだけで、さほど寒くないとのことですが…)
それだけに人も少なく、過去の信仰が残りやすい場所だったのだろうと思います。
吉野は、やはり歴史的に見る場所が多いです。
できれば気候のいい時期に訪れると、回りやすいのではないでしょうか。
2020年12月現在、近鉄・吉野駅前に山上に向かうケーブルカーがありますが、運行している日が金土日月の週4日です。
運行していない日については山上までの代行バスがあります。
天気のいい時であれば、ケーブルカー乗り場の脇の「七曲り」を歩いて行き来することもできます。
できることなら、週末の方が動きやすいとは思います。
あと、よかったら、観光列車「青の交響曲」に乗ると趣があって、より良いかと思います。
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