295.Melon Water
ブルースロックを継承したかのようなギターソロに、隙間のない緻密なリズムを構築している緊張感あるサウンドのオープニングが印象的なロックナンバー。
聴いて行くうちに高揚感あふれる音作りも含めてオープニングナンバーらしくワクワクさせられる展開に思わずニンマリとしてしまう。
'80年代の安全地帯の作品のような、粘っこく艶やかなスタイルの玉置さんのボーカルも曲の持つ雰囲気にフィットしていてたまらない。
序盤から、やや張り詰めたような緊張感から、中盤のコーラスワーク辺りから、一気に開放感溢れる展開になる辺り、聴いていて玉置さんのメロディーメーカーとしてセンス、才能の凄さを改めて感じさせられるナンバーだと思います。
緊張感と開放感、この両面を兼ね備えたオープニングナンバーらしい一曲とも言えるかも知れませんね。
296.シェルター
’70〜'80年代のAOR的な要素を取り入れてのサウンド作りが印象的なミディアムナンバー。
立体的な感覚のサウンドに合わせるかのような、曲の出だしのひと言ずつ噛み締めるような玉置さんのボーカルスタイルから、メロディアスで流れに乗せるかのようなサビでの展開を聴いていると、サラッと流しているように難なくこなす玉置さんのボーカリストの幅広い一面を感じさせられる。
前曲"Melon Water'から続けて展開される、どことなく密閉感を醸し出しながら、作品として緊張感を演出しているような展開は、アルバムとして聴いていく上で、ある意味重要かつ、見逃せないポイントなのかも知れませんね。
前曲"Melon Water"同様、安全地帯として開催された40th Anniversary Live "Just Keep Going"や、故郷楽団から発展して故郷BANDとして開催された'23年のツアーのような複数のドラム、パーカッションなどを交え、ワイドなリズムを構築しているライブで、密閉型のリズムからどのように進化を遂げるのか一度体験してみたいと感じさせられるナンバーだとも思います。
資料1.ドラム&パーカッションなどを加えてワイドなリズムを構築した'23年8月〜11月に開催され大好評だった"故郷BAND〜田園’ツアーでは、玉置さんがドラムを叩くパフォーマンスも披露された。
297.延長戦
今作"PRESENT"から本格的に東京において音楽活動を再開させた玉置さんですが、軽井沢時代のような安藤さと子さんのピアノも、どことなく素朴な一面を感じさせながら、軽井沢時代とは、また少し違った、オシャレな清涼感を感じさせられるオープニングが印象的なアコースティックロックの流れを取り組んだナンバー。
ドライな感覚で小気味よい安藤さと子さんのピアノのオープニングから、淡々と語るようにしながら、強弱をつけたボーカルスタイルで、独特の雰囲気を感じさせられるナンバーを構築している辺りは何度もリピートして聴いてしまう。
気持ちを前向きにさせられる松井五郎さんの描く世界観が伝わってくる歌詞も、サウンドと上手く融合していて妙に心地よく感じさせられる。
続けて聴きたくなるような展開の見過ごせない一曲と言えるかも知れませんね。
資料2.アルバム『PRESENT』の持つ、素朴な一面と少しオシャレな清涼感の二面性も感じさせられるという点において、"延長戦"は見過ごせない一曲だとも感じます。
289.いつもどこかで
アルバム『PRESENT』リリースの前年'05年にリリースされた、瑞々しい感じの安藤さと子さんのキーボード、中盤の'80年代のブリティッシュ・ロックのようなスケールの大きなギターソロが印象的な大作バラードナンバー。
ストリングスとの絶妙にフィットしている玉置さんのボーカルも聴きどころのナンバーとも言えるかと思います。
概初曲をそのまま収録した形になる作品ですが、アルバム『PRESENT』のオープニングから二曲続けて密閉感あるナンバー、次に開放感をやや感じさせられるナンバー、そしてこの大型バラードとくれば、この"いつもどこかで"の持つ楽曲としてスケールの大きさがよりクローズアップされていて、アルバム前半のクライマックスという位置付けの一曲というように感じさせられる。
アルバムに収録されたという事で、一層、曲の持つスケールの大きさを感じながら楽しみたいナンバーだと思います。
298.虹のラララ
最近の玉置さんの音楽活動となると、毎年アルバムをリリースするというパターンから、年にオーケストラとアコースティック編成からの2パターンのライブ活動と、他のアーティストへの楽曲提供がメインになってきたように思います。
楽曲提供となると'23年には同じ北海道出身の大泉洋さんに"あの空に立つ塔のように"を提供されて話題になりました。
玉置さんのメロディーメイカーとしての才能にも近年注目が集まってきているように感じます。
この"虹のラララ"も今や毎年、紅白でトリを務め、国民的歌手になったMISIAさんに提供された作品。
MISIAさんのバージョンは発表当初の’04年に洗顔クリームの"花王ビオレ"のCMとしても起用されたので印象に残ってらっしゃる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
資料3."虹のラララ"のオリジナルバージョンは、MISIAさんのボーカルが朝の清々しさというイメージとピッタリだったためか、花王ビオレのCMのインパクトが強いナンバーとも言えるかも知れません。
アルバム『PRESENT』での玉置さんのセルフカバーは、聴き心地よく、春の暖かさを感じるアコースティックサウンドに、玉置さんの丁寧に、そして一層優しさを全面に出しながらも強弱も交えながら曲の起承転結を表現しているようなボーカルが印象に残るテイクに仕上がっていると思います。
ある意味ストリングスなどなく、玉置さんのボーカルのみで、ダイナミックな表情の曲に仕上げている辺りは、地味な作品ではありますが、玉置さんのキャリアを振り返って聴いている過程では、見逃せない一曲ではないでしょうか?
MISIAさんのテイクとは、また違った清々しさを感じながらじっくりと聴き込みたいナンバーだとも言えるかと思います。
293.Lion (Album Ve.)
先行シングルとしてリリースされたナンバーですが、アルバムバージョンとして、曲の冒頭にワンコーラスも用いて、シングルとは違うアプローチを試みた仕様で収録されている。
'80年代は、シングルをより長尺にした12インチシングルを多くリリースしたり、CDがメインになった'90年代は玉置さんの作品でいうとスリープケースや3Dジャケットなど、特殊パッケージで他のレコード会社と差別化を図ったソニーレコード。
この"Lion"のアルバムバージョンは、同じ物を何度も作品としてリリースするのではなく、新鮮な状態の作品として、リスナーに届けたいというソニーレコードの戦略を感じさせられる。
アルバムに手を加えたバージョンは、楽曲の持つイメージを損ないかねない中、魅力的なバージョンに仕上げた"Lion"のアルバムバージョンは、レコード会社の差別化が功を奏した代表的な例ではないでしょうか?
資料4.海外ロケで開放感あるMV。こちらはシングルバージョンで収録されています。
299.ヒトリゴト
さまざまなジャンルを吸収しながら、音楽制作をしている玉置さんですが、初めての試みだと思われるレゲエのリズムを主体に制作されたナンバー。
聴いているレゲエの持つ、楽曲の熱さ、切なさ、メロウな感じなど、巧みに取り入れながら玉置さんならではの世界観を構築している辺りが聴きどころのナンバーと言えるかと思います。
メロウな感じのメロディーに合わせるかのように甘く囁くような玉置さんのボーカルも曲の雰囲気にうまくマッチしていて、玉置さん流レゲエの独特の個性、存在感を感じさせられる。
激しくもなく、ゴージャスでもなく適度なバランスを保つナンバーで、アルバム全体を通して聴いてみると、さまざまなタイプな楽曲の橋渡し的な一面もあり、アルバム全体を通して外せないナンバーで侮れない作品だとも感じます。
今回も目を通して頂きありがとうございました😊
次回はアルバム『PRESENT』の後半の楽曲を振り返ってみたいと思います。
またお時間のあれば読んで頂けると嬉しいです☺️
引き続きよろしくお願いします🥺
https://open.spotify.com/album/5DBtyg4NORYnT9kUAYq3ek?si=O9sbKOaFQoSVcBHGZ9I1ew