都心で喫茶店に憩う | ごんたのつれづれ旅日記

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バスや鉄道を主体にした紀行を『のりもの風土記』として地域別、年代別にまとめ始めています。
話の脱線も多いのですが、乗り物の脱線・脱輪ではないので御容赦いただきまして、御一緒に紙上旅行に出かけませんか。

大学時代は、外食と言えば、友だちと主にファミレスを使っていた。
あまり食事をした記憶はないけれど。
コーヒーおかわり自由を活用しながら、語り合ったり勉強したり……長時間粘ったものだった。

店員さん、ごめんなさい。

昔は、ドリンクバーなどというものはなく、ホットコーヒーだけがお替わり自由だったのだ。
そんな中で、「ジョナサン」が、初めてアイスコーヒーのお替わりを自由にしたときには、快哉を叫んだものだった。
昭和60年代の終わりか、平成のごく初めの頃だった気がする。
友達と「ジョナサン」ばかり行ったものだった。



社会人になってからは、もっぱら、喫茶店を愛用するようになった。

妻が寝坊して朝食が間に合わなかった時などは、職場の隣りにある喫茶店でモーニングを楽しむ。
職場の近くには、「NEWYORKER'S CAFE」や「EXCELLCIOLE CAFE」、「グッドモーニング・カフェ」、「BECK's Coffee shop」、そして「ルノアール」がある。
始業前にできるだけのんびりしたいから、平日ならば午前7時から開店する「EXCELLCIOLE CAFE」、「グッドモーニング・カフェ」、「BECK's Coffee shop」を選ぶことが多い。
「ルノアール」と「NEWYORKER'S CAFE」は7時半開店である。
同系列の企業らしいから、当たり前か。
土曜日はどの店も7時半開店、日曜日はお寝坊で8時開店と、横並びになる。

トーストやサンドイッチで400~500円というのは、関西などに比べれば決して安くないのかも知れないけれど、何となく、朝の区切りになるような気がするのだ。
眠気も覚めないうちに出勤してきても、コーヒーを飲んでくつろぐ間に、仕事に行く気分が湧いてくる。
気持ちが、おうちモードから仕事モードに、シャキッと切り替わる感じがいい。

毎朝、大抵、同じ顔の常連さんが揃っている。
席もほぼ定位置を湿られている。
たまに、見かけない人が僕の定位置に座っていたりすると、僕が、他の常連さんの定位置に座らざるを得ず、ちょっぴり気まずい思いをすることがある。

中には患者さんもいたり……(オイオイ)。
入院中に病棟から抜け出して、喫茶店で心肺停止した、やんちゃな患者さんも実在する。

店員さん、ごめんなさい(こればっか)。
あの患者さん、無事に蘇生できて、今も元気ですから。

最近は、病院とコラボする喫茶店が多い。
僕の母校の大学病院は、玄関に「ドトール コーヒー」がある。
東京の某最高学府の付属病院には、「エクセルシオール」と「タリーズ」が入って、賑わっている。

日曜日の朝には、妻と近所の喫茶店に出かけることもある。
まったりと、休日気分に浸るために。
平日なら、そそくさと出勤するはずの時間である。
妻と、時間を気にせず、喫茶店でのんびり過ごせるなんて、この上ない至福なのだ。
今日1日、休みなんだ、とワクワクする。

僕にとって喫茶店とは、飲み物や軽食を摂るだけではなく、雰囲気を楽しむ貴重な場所なのである。

買い物に疲れて喫茶店に立ち寄ることも多い。
けれども、デパートの中にある喫茶店は、高くて騒がしくて、どうも落ち着かない。

大型書店のジュンク堂に入っている喫茶店は、ナイス・アイデアだと思う。
一定額の本を購入すれば、コーヒー無料券が貰える。
買ったばかりの本のページを、少しばかりめくってみたり。
妻と来たときは、お互い、どんな本を買い求めたのか語り合ったり。

リッチな雰囲気を味わうなら、ホテルの喫茶店が筆頭だろう。
絶対に高いこと間違いないけれど。
大阪の学会に行った時、国際会議場に隣接したホテルのロビーにあった喫茶店。
周りに店舗が殆んどないビル街だったから、他に休める場所がなかった。
着物姿の女性が渡してくれたメニューには、なんと、コーヒー1杯1000円と書かれていた。

ええっ、コーヒー飲んだだけで、お釣りなしでお札が飛んでくのか?

と、マジで仰天した。
おごそかに出されたのは、小さな一口サイズのケーキつきのコーヒーだった。
うまかったかどうかは、覚えてない。
このケーキいらないから、せめて800円にしてくれないかなあ。
そんなケチなことばかり、考えていた記憶がある。

この20年くらいで、東京の喫茶店事情は大きく変わったように感じる。
ドトールやスターバックスなどの、全国チェーンのセルフ式コーヒーショップの増加が顕著である。
特に目立つのは、いわゆるシアトル系チェーン店の、大々的な進出だろう。
スタバ、タリーズ、エクセルシオール、ベローチェ……。
マック・カフェもシアトル系だ。

繁華街を少し歩けば、大抵、どれかが目に入ってくる。
複数の店が、ひしめいているところも少なくない。
エスプレッソをベースにしたカフェラテなどが主力商品だから、メニュー上は、どこも際立った違いがない。
ただ、格調高さで差別化を図った店はある。
例えば、スタバは、お洒落な街にしか展開しない、など。
でも、スタバも方針転換したらしく、今はどこにでもある。

僕が学生時代を過ごした大井町は、工場地帯や、競馬場・競艇場が近くて、どちらかと言えば下町の雰囲気が漂っていた。
コーヒーショップはドトールがあったくらい。
そこに、JRの駅ビル・東急の駅ビル、そして駅前ロータリーと、スタバがいきなり3つも出店した時には、たまげたものだった。
スタバ、どうしちゃったの?って感じだった。
地方にもどんどん進出してるスタバ。
喜ばれているらしい。
おらが町も、スタバが来るくらいの都会になったか、と思うのであろうか。
僕の故郷にスタバができた時には、そう思ったから。

ただ。シアトル系の喫茶店は、和みの雰囲気が乏しいように、僕は思う。
セルフ方式で、簡易的な椅子とテーブルが並ぶ店内は、画一的である。
あの椅子の構造は、客が長時間居座るのを防いで、客の回転を良くするためだと聞いた。

そんなの、喫茶店の趣旨に反してるのではないか?

やっぱり喫茶店というのは、ゆったりとくつろげて、気持ちを癒す空間であってほしい。

さすがに最近、ゆったりしたソファーを置くセルフ店も見受けられるようになった。

僕が最も愛着を感じるのは、学生の頃に、街に1つや2つはあった、個人経営の喫茶店だ。
古くさいけど、ふかふかのソファーに身を沈め、ヨレヨレの読み古された漫画をテーブルに重ねて、時を忘れる。
しかめ面の、コーヒーに一家言ありそうなマスターが、時間をかけてドリップする、コクと深みのあるコーヒー。

でも、そんな喫茶店は、全国チェーン店に駆逐されてしまった感がある。
または、マスターがリタイアすると同時に、消えてしまう場合もあるかもしれない。

昔は、いつかは今の仕事を辞めて、喫茶店を開いてマスターになりたい、などという人、結構いたように思う。
パイプくわえながら、コーヒーを入れる。
『タッチ』の南ちゃんのお父さんである。
最近は聞かなくなった。
友だちが

『あの店のコーヒー、ホントうまいんだぜ』

と、連れ立って電車に乗って行った店もある。
ビルの谷間の小さな店だった。
サイホンがたくさんカウンターに並んでいたものだった。

あのレトロな雰囲気が、本当に懐かしい。

ごくたまにしか行かなかったけれども、大学のあった街の商店街の一角にあった、個人開業の喫茶店が、今、どう検索しても見つからないのが、とても寂しい気がした。

だから。

そんな昭和の喫茶店に、やや近い味わいを残す『ルノアール』が、今の僕のお気に入りなのだ。
昔はオジン臭くて、絶対入らなかったものだが。

セルフではない。
テーブルの間隔が広くて、ゆったりした造りの店内である。
座席もまあまあ。
シアトル系よりは、格段にくつろげる。

『ルノアール』のゆったりした店内は、銀座で1号店を始める時に、資金不足でテーブルや椅子が充分買えなかったことが由来だという。
それが、逆に、くつろげると人気を呼んだらしい。

値段は、シアトル系より高いのだが、エディで払えば1割引きなのだ。

あああ。
『ルノアール』が好きなんて、僕も歳をとったんだなあ……と思う。

喫茶店王国、名古屋から東京に進出したコメダに、ちょっぴり期待する、今日この頃である。

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