My Little Loverのある曲がずっと不思議だった。
たとえばこんな歌詞がある。
青い海の先 飛沫シブキが跳ね上がり
行こうと 船がうなりをあげてる
息を吐き出して 少しこらえたなら
いつか全ての 気の力を吸おう
小林武史によるスピリチュアルな雰囲気漂う名曲「深呼吸の必要」の歌詞の一部なのだが、僕にはこの部分の指し示す立ち位置がどうしても掴めないでいた。
けれど、いま、ハッキリと言える。
この曲は、映画「深呼吸の必要」の脚本のごとく構成され、登場人物のセリフのように物語を語っていたのだ。
この映画は、詩人長田弘の詩集『深呼吸の必要』にインスパイアされた関係者が立案・企画したと言われている。
脚本・長谷川康夫。
監督・篠原哲雄。
映画を観終わった僕は図書館へ行き、詩集『深呼吸の必要』を探してみた。
運良く、詩集はあった、、
が、
、、、、なんて言うんだろ(笑)
僕は、まるでキツネにつままれたような気分に陥ってしまった(^◇^;)
詩集のタイトル作品「深呼吸の必要」には、映画で描かれた沖縄の青い海も、サトウキビ畑も一切書かれていなかったのだ!!!
いや、そればかりか、
詩の本編には、
深呼吸の一文字さえ無い!!
wikiから映画の概要を引用する
おじいとおばあの耕作するサトウキビ畑に、期日までにサトウキビの収穫を終わらせるため、若者たちがアルバイト「キビ刈隊」として集められる。過酷なアルバイトの毎日に、垣間見えるそれぞれの過去、悩み、希望。そんな若者たちの間におこる、出会いと葛藤、心の交流が、沖縄の美しい自然の中でさわやかに描かれている。
ここには、いかにも青春映画にありそうな事が並べられているが、
果たしてそうなのか?
女性(香里奈、長澤まさみ、金子さやか、久遠さやか)
男性(大森南朋、谷原章介、成宮寛貴)
七人のメンバーは、たしかに何かしらの重い過去を引きずって沖縄の小島にやってきた。
けれど、カメラは彼らの過去を深く追うこともなく、無事に仕事をやり遂げた七人のその後を追う訳でもない。
青々としたサトウキビ畑が広い広い野っ原になるまでの数週間、いくつかのトラブルはあっても全てを破綻させるような重大な事故も事件もなく、期待された男女間の恋愛もない。
つまり
これは
そんな映画ではないのだ!
たしかに彼らは、ひと夏を沖縄の小島で過ごす事で何かを得て自分の場所へと帰っていく。
しかし、大事なことはそれではない。
大事なのは、
硬く冷たかった長澤まさみちゃんの顔に
いつしか笑顔が戻り
暗い目をしていた成宮くんの瞳に
再び光りが宿っていくこと!
そして、
なにより、その場に
僕たちが
居合わせたことだ!
広大なサトウキビ畑で最後の一本を刈り取り、
それぞれの道へと散っていく彼らの、その静かな旅立ちをぜひ見届けてほしい。
きっと
この映画そのものが深呼吸
沈黙の中、自分の人生へ戻っていく七人の姿に、もしあなたが、息を凝らしていたら、、、
あなたにも、
深呼吸が必要な時だったのかもしれません。
素敵な映画です
※この映画レビューは、かつて存在していた某大手SNSの映画レビューサイトに投稿していたものを記憶を辿りながら再現したものです。
投稿から既に7〜8年の時間が経過していますが、出来るだけ当時のままでお届けしております。
サスケ٩( ᐛ )و