こんにちは、かぜのこです。
本日も短めの雑記記事です。
スターウォーズにはメインテーマやインペリアル・マーチなど、非常に印象的な曲が多いですよね。
個人的に最近よく聞いているのが「Anakin's Betrayal(アナキンの裏切り)」という曲です。
というわけで、本日はこちらの曲についてちょっとした雑談をしていこうと思います。
映画の中でこの曲が流れる最も有名なシーンと言えば、EPⅢ「シスの復讐」でオーダー66が執行される場面です。
乗り手ごと撃ち落とされたボーガの悲痛な叫びから始まる一連のジェダイの死、そしてジェダイ聖堂の陥落は、プリクエル三部作の中でもとりわけ印象深い場面の一つですよね。
ジェダイの粛清は、アナキンがダークサイドに転向したことによってもたらされた数々の悲劇の中でも、とりわけ象徴的な出来事の一つです。
この象徴的な出来事を描いた場面のBGMとして、「アナキンの裏切り」というこの曲のタイトルはまさにふさわしいものと言えるでしょう。
またこの曲はEPⅢ終盤、ムスタファ―でパドメがアナキンに最後の説得と懇願を試みるシーンでも、再度流れます。
「ジェダイは僕を裏切った。君は違うだろう?」という、アナキンのパドメに対する(やや恫喝めいた)糾弾に呼応してBGMが切り替わり、その後パドメが自分を裏切ったと誤解したアナキンは激高のあまり彼女の首を絞めるのですが…。
この場面で最愛の人からの信頼や愛情を裏切っていたのは、他ならぬアナキン自身であったということが、曲名から示唆されているように思えます。
このように、劇中で二度使われた「アナキンの裏切り」ですが、一度目は彼の裏切りがもたらした悲劇の大きさに焦点が当てられたのに対し、二回目は彼自身の悲劇性に焦点が当てられており、同じタイトルでもそこから想起される感情がまるで異なるものとなっています。
愛する妻の命を救うため、自分が守ると誓った価値観や所属していた組織を裏切ったアナキンですが、それらを裏切ることは最愛の妻からの信頼と愛情を裏切ることに他ならなかった…という、アナキン自身の悲劇的な運命を象徴するかのような、悲壮感漂う楽曲。
プリクエル三部作を代表する屈指の名曲だと、私は思います。
さて、曲の解説はこのくらいにして、ここからは「アナキンの裏切り」という楽曲を効果音との関連から見ていきましょう。
先述の通りこの曲が流れる場面として最も印象深いのがオーダー66のシーンなのですが、効果音と楽曲の関係性という観点から見ると、この一連の場面がいかに完成度の高いものかという点に気づかされます。
曲を聞いていると、実際の劇中で使われた効果音――ボーガの鳴き声やブラスターの発砲音、ウォーカーの足音やファイターの風切り音など――が空耳で聞こえてくるような気がしませんか?
そう、この場面においては効果音の一つ一つがさながら楽曲を構成する楽器の一つと言っても過言ではないくらい、効果音が楽曲の一部となって溶け込んでいるのです。
これと同じ手法は、EPⅠのダース・モール戦でも用いられています。
モール戦の背後で流れるのはプリクエルを代表する名曲として名高い「Duel of Fate」ですが、ライトセーバー同士が激しく火花を散らす際の効果音もまた、この場面をより一層盛り上げるのに一役買っています。
私自身は音楽の素人なので、ここからはあくまで憶測に過ぎないのですが、こうした効果音とBGMの調和の取れたシーンを作り上げるというのはかなり骨の折れる作業なのではないでしょうか。
効果音がBGMの一部を織りなすためには、双方が不協和音を奏でることのないよう、効果音のピッチを細かく微調整していく作業が求められると思います。
まさにクリエイターの忍耐と惜しみなき労力が求められる、そんな作業ではないかと思います。
こうしたこだわりがジョージ・ルーカス監督のものなのか、それとも前回紹介した動画の中で言及されていたサウンド・デザイナーのベン・バート氏のものなのかはわかりませんが、
ルーカスの作り上げてきたスターウォーズの世界では、随所にこうした効果音への並々ならぬこだわりが感じ取れます。
そんな効果音関連でもう一つ話題を取り上げると、スターウォーズでは特定の人物(ドロイドを含む)や宇宙船との固有の結びつきを持った効果音が非常に多く存在します。
プリクエル三部作に登場したもので例を挙げると、
ドロイデカの転がる音やブラスターの発砲音、ナブーの侍女たちが使うブラスターの音、ジャンゴのブラスターの音、スレーブⅠのブラスター砲やサイズミック・チャージの音、LAAT/iガンシップのエンジン音などなど。
他にも探せば山ほど出てくると思います。
オリジナル三部作で登場したものは、今さら例を挙げるまでもないかもしれません。
前回取り上げたライトセーバーの起動音や、ダース・ベイダーの呼吸音などはSWを代表する効果音ですし、他にもR2-D2のビープ音、TIEファイターをはじめとする各宇宙船ごとのエンジン音やブラスター音などなど。枚挙に暇がありません。
これらはいずれもキャラクターやスターファイターを象徴し、かつそれらと不可分といえる効果音です。
スターウォーズにおけるBGMの用法に、ライトモチーフというオペラの手法が用いられているというのは有名な話です。
ダース・ベイダーが登場するシーンではインペリアル・マーチが流れるというやつですね。
特定の人物と深く結びついたテーマ曲の存在によって、たとえ画面上にその人物が現れなくとも、テーマ曲が流れれば観客はその人物の登場を予期するという手法です。
これと同じ手法は効果音においても用いられていると言えるのではないか、と私は思います。
つまり、特定のキャラクターと結びついた効果音を使用することで、画面上には映らなくても観客はそのキャラクターの登場を予期する、というわけです。
この手法が効果を発揮した場面…というと、ベイダー卿の呼吸音ぐらいしかあまり思い浮かばないですが。(笑)
それ以外でいくつか例を挙げると、EPⅡでオビ=ワンがジオノーシスから発信した通信(発砲音に続いてドロイデカが現れる、強敵・困難な状況のイメージ)や、本編映画ではないもののローグ・ワンでXウィングがAT-ACTを撃破するシーンなどが挙げられるでしょうか。
(最後のダース・ベイダーの登場シーンといい、ローグ・ワンは効果音をかなり有効に使っていましたね。)
そして、この手法をオリジナル三部作の頃から積み上げてきたからこそ、「シスの復讐」のエンディングにおけるVウィングのエンジン音(TIEファイターのものと同じもの)を聞いたとき、
私たちは「歴史がつながった」という感慨を得られたのだと思います。
いかがだったでしょうか?
前回・今回と二回にわたってスターウォーズの効果音について取り上げてみました。
普段何気なく耳にし、とくに気に留めることもなく聞き流していることも多いですが、改めて注目してみると、スターウォーズの世界観を作り上げるうえで欠かせない要素であることが再認識できたのではないかと思います。
私自身も「アナキンの裏切り」を聞くようになったのをきっかけに効果音に興味を持ち始めたのですが、名場面に名効果音ありと言っても過言ではないくらい、映画にとって欠かせない要素なのだと認識を改めました。
ただ雑然とした広がりを作っても、そこにリアリティは宿りません。
スターウォーズの銀河の懐の広さとは、細部に至るまでの作り込みによって支えられているのだと私は思います。
効果音について考えることで、そんな細部を作り上げていくクリエイター達のこだわりと苦労の一端を垣間見ることができたような気がします。
前回の記事で紹介した動画も、スターウォーズの効果音について興味を持って調べている中で偶然発見したものです。
できればスターウォーズの効果音についての特集記事などがあれば読んでみたいのですが、なかなか見当たらないんですよね…。
また興味深い記事や映像などが発見できれば、このブログでも取り上げたいと思います。
それでは、本日はこんなところで。^^ノ