障害者差別解消法や自治体の差別禁止条例などで規定する合理的配慮とは何なのか。三原氏は次のように述べています。
「合理的配慮とは何か
結論を先取りすると、合理的配慮とは社会的障壁の除去を通じて、障害者の不利を解消するための方法である。元々は「reasonable accommodation」の訳であり、宗教差別と関連して登場した経緯があるが、障害者分野の歴史としては1973年のアメリカの「リハビリテーション法504条」が始まりである。ここでは行政機関や連邦政府との契約者などが障害を理由に差別を行うことを違法と定めるとともに、合理的配慮の提供を義務付けた。その後、
1990年に「ADA法(障害をもつアメリカ人法)」が制定されることで、レストランやホテル、工場など民間事業者や商業施設などが対象となった。
こうした合理的配慮が日本に「輸入」される直接の引き金は国連障害者権利条約だった7。合理的配慮について、2006年12月に国連総会で採択された国連障害者権利条約第2条に以下のような定義がある(外務省の訳文)。
障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
7 障害者差別解消法の成立を受けて、政府は2014年1月、国連障害者権利条約に批准し
た。」(「合理的配慮」はどこまで浸透したか 障害者差別解消法の施行から2年 生活研究部 准主任研究員 三原 岳 ニッセイ基礎研究所)
例えば障害者を取り囲む車いす使用者にとっては段差・聴覚障害者にとっては音声情報などがありますが、知的障害者・精神障害者などにとってはさらに個別性が高いように思います。知的障害者はIQを基礎に手帳の判定がなされますが、IQ以外の生活困難度は他の障害者よりさらに個別的ではないでしょうか。合理的配慮そのものが対話を求めています。法自体が「対話→調整→合意のプロセス」を関係者に期待しています。根気よく対話をしていくにはどんなことが必要なのでしょうか。
