今年度の報酬改定で障害者支援施設と介護保険サービスの相互利用が可能になりました。そして、障害者就労支援施設B型で通称・障害者作業所では工賃支給額により報酬の格差がつけられました。介護保険では生産性が求められています。
「■広がる別世界
そうした障害福祉の世界から、介護保険制度が 中心に置かれた高齢者福祉の世界に転じてみる と、全く異なる景色が広がっていました。 高齢者福祉では、介護の社会化を目指した介護 保険制度の導入により劇的にサービス量が拡大 し、国際比較では評価される制度だとされていま す。しかし、市場原理が幅を利かす中で高齢者は 「消費者」となり、福祉の視点は後景に追いやられています。現場の職員一人一人は福祉の心で頑 張ろうとしても、制度に押しつぶされかねない状 況です。
県内のある会合で、要介護5の若年性認知症の 妻を自宅で介護している男性の講演がありまし た。ある介護事業所に利用を申し込んだところ、 職員が自宅にやってきましたが、玄関先で部屋から漏れてきた妻の大声を聞くと、「うちでは対応で きませんと言って」妻に会いもせず帰っていきました」とのこと。男性は「せめて会ってくれでも いいのでは」と嘆きました。 介護事業所も人手不足や経営難で、助けたくて も助けられないという事情があったのかもしれません。あるいは、手のかかる利用者は避けたい、 経営効率の良い、お客、を選びたいと考えたのか もしれません。
要介護5の状況では、介護保険の枠がすぐ一杯になる人もいます。必要な追加サービスは全額自己負担になり、男性は「お金がなければ介護できないj と訴えました。お金あっての消費者です。 福祉とは何か、障害者の尊厳や基本的人権とは 何かを、応、能負担と応益負担という視点から問い 掛けた「基本合意」の精神からは、かけ離れた世界です。」(「第4回 障害福祉について、いま、考えること 一地域共生社会の行方 熊谷和夫 神奈川新聞編集委員」日本障害者協議会「すべての人の社会」2018年4月号)
高齢化社会だから社会保障にお金がかかると消費税を上げると喧伝されてきました。しかし、介護保険と障害者福祉の今年度予算は5兆円ほどです。防衛費は5兆円を超しています。何のためにお金を使うかが問われています。マスコミの消費税増税支持は、かつての小選挙区にすれば政治資金はクリーンになるとしたマスコミの責任と似ています。
