今回は「シャドウ オブ ウォー」のレビューを!
【評価】※各5点満点
―――――――――――
5 グラフィックス
4 サウンド
4 ユーザビリティ
5 ストーリー
5 ボリューム
―――――――――――
総合的には95点てとこかな(^-^)
◆ 良いところ
・圧倒的に美麗なグラフィック
・壮大な世界観と物語
・多数なアクション
・進化したネメシスシステム
・ゆるく気軽なオンライン要素
・適度なオープンワールドの扱い
・まさかのオークガチャ笑
・闘技場が何気にハマる
・豊富すぎるボイスバリエーション
◆ 悪いところ
・指輪物語を知らないと面白さが半減
・おもったより使い回しのオーク達w
・メニューの繋がりの煩雑さ
・実は結構大味なバトル
・状況によってはPSがあっても詰む
・敵の突然の近距離ポップ
・毎回ウザすぎる口上
・流暢すぎるオークの会話w
・ロードが若干長い
注意
・四肢切断などのゴア表現あり
―――――――――――
ストーリー ・・・
ロード・オブ・ザ・リングの世界観の中、映画「ホビット」と「ロード・オブ・ザ・リング」の中間の戦いを描いたストーリーとなっている。
尚、映画に出てきた登場人物で今作に絡んでくるのはゴラムとサウロンとナズグルとケレブリンボール程度。フロドとか映画の主人公達は出てこない。
大きな流れとしてはサウロン軍に妻子と自分を殺され復讐心を燃やす主人公が、指輪を作った張本人であるエルフの幽鬼に憑依されることで不死者として復活し、敵軍のボスであるサウロンを倒すことを目的として立ち上がり、オークの軍を支配して操り指揮しながらサウロン打倒を目指す。前作の10年後の話でいよいよ今作で完結(?)する。
今作のストーリー自体は指輪物語を知らなくても理解できるであろう作りになっていると思うが、映画を見ていれば繋がりなどの想像も膨らみより楽しめる。
尚、ゲーム内でもある程度の解説は読めるようになっている。
最終的には主人公がオークたちを蘇生させる力を得たり、死霊を操る存在にまで昇りつめるサクセスストーリー笑。
ネメシスシステム ・・・
これが今作のメインであると言って良い。幽鬼と指輪の力により様々な効果を得ていき、オークを操り、仲間に引き入れたり、軍隊を指揮させたりと出来るのが特徴だが、オークにも性格が有り裏切ったり、得意分野があったりと様々な種類の個体が登場する。もちろんオークのレベルを上げたり、スキルを覚えさせたりと育成もできる。そうやって強化し組織したオーク軍で攻城戦ができるのが今作の大きなポイント。これが非常に盛り上がる!
ワラワラとオークたちが戦場を駆け巡り、ドレイクに乗ってが空から火を噴いたり、グラウグが岩を投げつけるなど、熾烈な戦いが繰り広げられる。
オークにもクラスが多種あり、それぞれにスキルも数多くある。レア度も存在し、ノーマル・エピック・レジェンドとあり、レア度が高いほど強いスキルを有している。
仲間に入れる小隊長クラスのオークは倒しても新たに登場し、強く/弱くなっていたり、二つ名が突いてスキルが変わったりする。主人公が倒されると倒したオークのレベルが上がり小隊長の地位があがっていき、やがてはレジェンドになる。レジェンドを倒すと良い装備がドロップしたりするので、全てを支配するよりワザと同じオークに負け続けて敵をレジェンドに育ててから倒すといったやり方もできる。
名もないザコに倒されるとそのオークに名前がつき小隊長に昇格するので、気に入った形のオークが居たら昇格させて育てるのもアリだ。
そして、自分がプレイしていない地域でも小競り合いがあって自軍と敵軍が戦っていて、その勝敗によってオーク達の中でも地位が変わったりして常に変動いていくのがネメシスシステムだ。自軍の砦の首領が負ければ落とされて敵の砦になってしまうし、取り返すこともできる。
すごくザックリ説明すると、シミュレーションの三国志をアクションにした感じで、オークを仲間に引き入れ軍隊を作り、国盗りゲームをやるというもの。強いスキルを持ったオークを仲間にしたら自分の護衛として呼び出したり、砦の首領にしたりできる。
尚、小隊長は何度倒し(殺し)ても、そのうちまた同じやつが出てくる(二つ名やスキルは変動)ので、倒したからと言ってゲームからいなくなるわけではない。同じクラスからドロップする一式装備もあるので同じやつを狙うというやり方もある。
ただ、微妙な点もあり、中つ国の全体マップは各地域で別れているのだが、遠く離れた地域で同じやつが出現したりする。ワープしたのか?わざわざ攻めてきたのか?という感じでちょっとリアリティを感じられないところもある(^ー^;)
バトル ・・・
基本主人公の体力は高くなく、何も知らずに戦ったら割りとすぐ死ぬと思って良い笑
レベルが上がると敵も強くなる上、実はステータス的には自分は強くなっていない。装備で強化していても下手すれば2~3発食らったら死ぬ。敵アーチャーやハンターのエイムもかなり正確で常に動き回らないと視界外からガンガン食らう。ドレイクに乗って飛行しているときでも通常の動きでは落とされるバランス。敵陣を攻める場合は基本ステルス行動で見つからずに敵を減らし自軍に有利な状況を作り出してから暴れるのが常套手段かなと。
主人公は基本的にレベルアップ自体では強くならず、ステータスは装備によって強化されるので、どんなにレベルが高くても装備が弱ければHPも低いし攻撃力も弱い。装備をドロップする敵は決まっているので、探して良いスキルがついたドロップ品を入手するのも重要な要素だ。
またレベルアップやイベント攻略によってスキルポイントが入手でき、ポイントで主人公がスキルを覚えることが出来る。どのスキルツリーから覚えていくかを選択出来るので、プレイヤーによって育て方が変わるところだろう。
バトルの操作感はアサシンクリードに似ている。そちらのシリーズをプレイしているならすんなり入れる。ただ、今作は非常に多くの操作コマンドがあり、それぞれが結構重要できちんと使い分ける必要があるので、覚えるのが大変かもしれない。
某無双系のようにボタン連打して敵をなぎ倒しゲージ溜まったら奥義ぶっぱみたいな感じでは勝てない。小隊長クラスは弱点があり(ない場合もある→後述)、如何に弱点を突くかがポイント。なので相手の弱点を調べたり覚える必要が出て来る。同じオークの名前でも登場する度に弱点が変わったりするのでザコの兵種以外は情報を入手して調べるのが攻略の鍵となる。
強いオークは仲間にすればすごく心強いので、ぜひとも引き入れるためどうやって戦うか考えるのも楽しみのひとつではある(^ー^;)
ここで悪い点としてあげた詰みについて、小隊長クラスにはランダムでスキルがつくため、まれにめちゃくちゃ好条件のキャラが登場してしまう。例えばオークに「遠距離無効、凍結防御、炎防御、毒防御、正面からの攻撃カウンター、処刑無効、呪い武器持ち、ハンター引き連れ、爆弾持ち、何でも怒る、致命的な弱点なし、弱みもなし、ひるまない」みたいな勝ち目がないやつも出て来る。さらに同じ攻撃を続けていると「見切り」が発生し、通用しなくなる場合もある。こうなると手に負えない。一応必殺技で削ることはできるが周りのザコ倒してゲージを貯めるのも一苦労で、ゲージ溜め用に装備に付け替えたりする場合は手間もかかる。結局逃げがOKの戦いなら逃げたほうが良いという場合もある(;´Д`)
こうした個体には軍隊を指揮してもキツイため、バランスはちょっと考えてほしかったなーと。
このスキルとこのスキルは同時には付かないなどね。大体は敵軍の方が多い状況になるので周りの相手もしなければならなくなるという理不尽な状況になる。
オログであればスキができるので勝ち目はなくもないのだが、オークの場合は単体同士ではまず勝てないと思われる場合が存在する・・・これがいわゆる詰み状態だ。
あと、突然真後ろに小隊長がポップすることがある。何もないと思って移動していたら、急に襲われるといったことがしばしばあるのでいつも気が抜けない。
尚、ワザと死にまくって全部の敵小隊長の地位を限界まで上げまくった場合に、勝てないくらいヤバい状況になるのかどうなるかは試していない(^ー^;)
ボイス ・・・
今作は日本語音声があり(英語にも出来る)人間はもちろんのことオークやオログたちも喋る。それはもう喋る喋る。これでもかと言うくらいバリエーションが用意されている。同じオークでも対峙する度に異なる口上を述べる。一体のオークに何種類用意しているんだと思うくらい喋る。その辺にうろついているオーク達も世間話をしていたりするので立ち聞きするのもまたおもしろい。
ちなみに、偏見かもしれないがものすごく流暢に喋るやつもいて、何かイケボイスで会話してるやつとかもいて、オークっぽくなく感じて不自然なところもあって笑える
ただ、ボイスにも不満点がひとつあり、小隊長と対峙したときの口上はスキップができず、どんなに長い口上であっても延々と聞かされる。下手すれば1人で30秒くらい喋ってるやつもいる。それと、敵がアンデットの場合、作品上の設定により喋れなくなるのだが、本来流れるであろう音声が無音になっただけっぽく尺はそのまま再生されるので、これが長い口上が選択された場合は意味がわからない無音が続く(^ー^;)
口上は何度も聞くし、複数の小隊長が集まってきたときなど一気に5~6回再生されるので飛ばせないのはストレスにしかならなかった。流石にスキップできるようにするべきでしょう・・・
プレイアビリティ ・・・
操作がかなり複雑な分、使いこなせればかなり多彩なバトルが楽しめる。
操作は最適化されているが同時押し系はカスタマイズできると好ましいと感じた。特に□+△、×+○は咄嗟に押しづらい、スキル系はL1+○×△□とかにできたら良かった。
エイムと通常のカメラワークの操作が同じ感度なのはいただけない。エイムではドット単位で操作するため緻密な操作、通常視点は素早く振り向くため早い操作など個別に設定できたらよかったなと。
常によく使用するマップは前作の方が見やすく、今作は大まかな程度にとどまっている、敵の位置はミニマップのみに表示されるようになった。
それと、完全オートセーブなので、やり直すということはできない。どうしてもやり直したい場合はセーブデータをバックアップしておく必要がある。
他にはロードが若干長い程度でそこまで不満は無いが、ガチャはまとめて開封できるようにしてほしかったな。
攻城戦 ・・・
オンラインとストーリーと2種類あるが、内容はどちらも同じで、首領を倒す攻撃側と城を守る守備側のプレイとなる。オンラインの場合はリアル対戦ではなく、相手側は軍団だけ設定しておき後はCPU操作となる。
攻城戦は二章のある程度までゲームを進めるとプレイできる。これが出来るようになってから格段に面白くなる。とにかく如何に強いスキルを持ったオークを配置できるかや、弱点を突けるかにかかっていて、敵プレイヤーのオークも仲間に引き込めるのでどんどんプレイしようと思い楽しくなる。攻城戦自体もハチャメチャなバトルが楽しめる。ドロップ品目当てのハクスラっぽい要素もさらなるモチベになる。クリアすると戦歴が加算されていきランクが高くなるほど城が強くなったりする。とにかく攻城戦が楽しい!
実はこの攻城戦にはオチがあり、首領がドロップした品は入手できない場合がある。首領とは玉座の間で戦うのだが、攻城戦が終わると玉座の間には入れず、ドロップした状態で取りにいけないという状況になる。通常は首領は強く良い装備品をドロップすると考えられるので当然狙うわけだが、首領を倒すと同時にリザルトへ移行するため、拾う時間がないというのが罠となっている。そこでドロップ品を接触するだけで自動で拾うスキルを覚えていると拾うことが容易になるのだ。
ただ、遠距離攻撃などで距離が離れている状態で倒した場合は入手は難しいので、倒すときは近距離で倒すのが必須だ。苦労して倒した上にレジェンド品を取れなかったときの悲しさは半端ない(;´Д`)
※参考実況プレイ [1:03:00]あたりから攻城戦
復讐戦・・・
一度的に倒されるとオンラインに登録されるシステムがある。これは自分だけではなく他プレイヤーの復讐戦としてイベントがランダムにマップに出現する。これをクリアすると他のオークと同じように仲間にできたりアイテムをドロップしたりする。野良戦とも言うべきかフィールド上でのお尋ね者的なクエストだ。
ボリューム・・・
エリアごとのオープンワールドとなっていて5つのマップがあるが、それぞれが適度な広さで全拠点を制覇したらいわゆるクリアとなるが、イベントはひっきりなしに沸き、オンライン要素で攻城戦も無限に遊べる、闘技場でレベル上げやドロップ品を狙うのもよし、ストーリーが終わってもゲームは続けられる。どんどん自軍を強化していく楽しみは続くので相当長く遊べると思われる。
サウンドは・・・
正直印象に残るものはなかった。なんというか自然に溶け込んでいる感じで、壮大な映画音楽って感じだろうか。この曲が好みとかはないが雰囲気に合っていて良いと思う。攻城戦のBGMは盛り上がる。
ゴア表現・・・
苦手な人はご注意。とにかく切断!切断!切断!の嵐。敵がオークなだけに容赦なく切り落とすし吹き飛ばす。血の色は黒となっているが、切断部は見えちゃったりする。小隊長を倒すときはズームアップされたりもする。
「オークを完全に殺すには首を斬るしかない」とゲーム内でとあるオークが教えてくれるが、首を切り落としたとしても何度でもリスポーンしてくるゲームシステム上の矛盾が存在したりするw
装備品・・・
剣、短剣、弓(手斧)、鎧、フード(マント)、指輪(グラ上では見えない)の装備品はハクスラ要素があり、それなりの種類が存在しセット装備などもあったりするが、割りと地味で見た目があまり変わらない。今作は装備品にレベルがあり、入手したときの自分のレベルに合わせた強さとなるため、同じ装備品でもレベル差が存在する。そのため、種類が多いように感じるが同じ見た目でレベル違いだったりもする。まぁ種類によってある程度見た目は変わっているのはわかるのだが、重厚な鎧甲冑の世界観には合わせているためか派手なのはなく、個人的にはイマイチおもしろみに欠けた。もっとカッコ良いケレン味のある装備もあれば良かったのになーと。
あと、短剣は投げたりステルスキル用の装備の扱いだが、設定上は「二本背負っているロングソードの片方が折れたモノ」となっているので、投げるには無理があったりと設定上おかしい部分もある。
5本同時に投げたりするスキルもあるけど設定上矛盾しすぎだろ的なw
装備品にはレア度がありランダムでスキルが付くのでハクスラ要素もある。強いスキルはレア度、強い威力はレベルに影響される仕組みとなっているので、最終的に最強を目指すならレベルをカンストしてからのハクスラとなる。
難易度・・・
良くも悪くも洋ゲーらしいと言える。
イージー、ノーマル、ハードと選択できるが、イージーでも結構難しいかなと。前述した無茶なスキル持ちのオークが敵に出てしまった場合の厳しさもあったり、特に後半はきちんと弱点をついた装備品のスキルを厳選しないとクリア自体が難しいのと、ナズグルとのバトルではアクションにそれなりの反射神経や忙しい操作が必要となる場面があるので、それに対応できないと厳しいと思われる。様々なアクションを的確に使用するといったことに慣れる必要があるので、初心者に手放しでオススメできるほどではないが、アクションが苦手でなければ挫けず慣れていけば大丈夫ではないかと思うレベル。
装備品のレベルとレア度は別扱いなので、レベルが低くても良スキル持ち装備が入手できるとかなり楽になる。
ガチャ ・・・
オンライン要素のひとつとして装備ガチャとオークガチャがある。
ゲーム内で入手したお金で購入できるようになっていて、エピックまでは確定で入手できるが、レジェンドは確認できなかったので相当確率は低いと思われる。このガチャがあるおかげで、敵を倒さなくても仲間を増やせるのだが、お金を貯めるには敵を倒して入手した装備を解体するか、イベントミッションをクリアする必要があるので結局敵は倒さなければならない(^ー^;)
ちなみにガチャで入手したオークはゲーム内の軍団に組み込む前なら保管して別のセーブデータに引き継ぐことも可能だ。アイテムもチェストを購入して開けずに取っておけば引き継げる。この部分はオンラインIDで管理しているようだ。
周回要素 ・・・
正直、ストーリーが変わるわけでもないので、周回に意味があるかはわからないが、ニューゲームで幾つかの要素を引き継いでゲームを開始できる。
最後に思いやり・・・
開発半ばでガンで亡くなったプロデューサーMichael David Forgey氏がDLCとしてゲーム中に登場するようになることが公表されていて、そのトレーラーが真エンドのラストに流れる。
なんとも粋なはからいである。
※こちらは事前に公開されているトレーラーでゲーム内で再生されるものとは一部異なる。
Forgey Forever
―――――――――――
◆ 総評 ◆
原作ファンにはもとよりオススメ。
そうでない人にもフルローカライズされているし、日本語音声もあり、グラフィックも相当綺麗だし、とにかくおもしろいネメシスシステムはプレイしてみることをオススメしたい。
洋ゲーってことでとっつきにくいかもしれないが、アクションゲームでありながらも、如何に仲間のオークを育てるかも楽しめ、軍団を指揮したシミュレーション的な要素も楽しめる。自分が関わっていない場所でもイベントが進み常にオークたちの上下関係が変動するネメシスシステムはよく出来ていて、まだ進化しそうな感じもする。
これがいくら倒しても復活できるオークの扱いと上手く相まっていて、人間だったら中々ここまではできなかったのではないかと思う。
見た目が醜いオークでもだんだん可愛く見えてきそうな気さえする。
いや、可愛くはないけどね。
ボリュームもたっぷりなので値段分以上は楽しめると思われる。
正直、こんなにおもしろいと感じたゲームは久しぶりだ。