(その3からの続き)
では、その他の思いついたハナシを…。
*時には「戦術的後退」も
ある要衝に展開しているとき、そこが敵から見ても要衝だとしたら、敵からの圧力も強まります。
敵が優勢であれば、そのうち味方は全滅してしまいます。
もしその要衝が圧倒的に有利な位置で時間が稼げる場合や、あるいはその要衝こそが陣地だとすれば、なんとしても踏みとどまって戦ったほうがいいのですが…。
そこまでの重要度でもないような場所に拠っている場合は、是非とも後退して再挙を図りたいもの。
なぜなら、敵を倒すのは人であり、場所が敵を倒してくれるわけではないからです。
とはいえ、サバゲでまとまって後退するというのは容易ではありません。
理由はいくつかあって、もともとサバゲでは後退に後退を重ねるというシーンがまずない。
あとは、サバゲは交戦距離が実際の戦闘に比べて短く、一度交戦してしまうと敵からはバッチリ見えてしまい、敵に背を見せると簡単に撃ち据えられてしまうからです。
他には、フィールドそのものが狭くて、前進・迂回・後退ができるような余地がないということもあるかもしれません。
というか、そもそも定例会のフラッグ戦では、その前にフラッグを獲られてしまうということになりがち。
とはいえ、もし広めのフィールドで、一部隊をいて要衝を確保している時に、数倍する敵の圧力が加えられたら。
要衝の地形を利用して圧倒的有利な状況で敵を撃ち減らせるのであれば、なるべく踏みとどまって敵を減らした方がいいでしょう。
または、後方にうまく脱出できる場所が存在しない場合も、死守しかありません。
しかしもし、例えば連続する森の中などであれば、戦術的後退というのは不可能ではありませんし、有効です。
戦術ではなく戦法のレベルで言うと、何人かがメチャクチャに敵方に連射を加え、その隙に主力が下がり、次は主力がメチャクチャに敵方に連射を加え、しんがりの兵が退く、ということを繰り返すのですが、これがまたタイミングが難しい。
ですが、うまく戦術的後退を繰り返して(=遅滞行動)敵の主力を足止めして時間を稼ぎ、自軍の主力が敵の本陣を突くことができれば勝利は得られますし、あるいはこちらの後退に吸い込まれるように前進してきた敵を、側面から叩くこともできるかもしれません。
成功させるには、もうカンとタイミング、あとはメンバー同士の呼吸しかないと思いますが、もしゲームの合間に練習ができるのであれば、後退のトレーニングをするのも新鮮で面白いかもしれませんね。
ちなみにこれは戦術というより戦法の範疇ですが、後退によって敵を吸い寄せるには、敵に姿を見せながらであることが重要です。
一瞬でうまくサッと退いてしまうのが本来は理想ですが、敵もこちらの姿が見えなくなると「用心する」から。
それが、チラチラ姿が見えると、戦っている者の心理として、ついつい「アイツを倒したい」となり、無理に追ってくることが多いためです。
*遊兵を作らない/予備戦力を作る
これは矛盾することのようにも読めますが、そうではありません。
まず遊兵ですが、これはフィールドの中で無駄になる部隊のことを言います。
もちろん無駄なので、戦況に寄与することもなく、存在しなくていいことになります。
例えば、敵の侵攻ルートから外れているフィールドの隅をなんとなく占拠しているようなケース。
例えば↑の図で、黄色チームがオレンジ色の線まで前線を押し上げ、楔の先端から一気に赤チーム陣地を突くような状況で、赤チームの部隊が赤〇で囲ったX地帯に居座っているような状況です。
敵は、その味方をスルーすればいいだけ。
もちろんX地帯に拠る赤部隊が敵の戦線の横腹を突くとか、あるいは黄色本陣を突くとかいう案もなくはないのですが、位置からしてほぼ手遅れ。
指揮者としては、そういう無駄な戦力を作らないよう、活用すべきでしょう。
定例会などでも、無駄な場所にゲーム終了までずっと潜伏してるようなことのないようにしたいものですね。
いっぽう予備戦力ですが、これは重要な局面に投入できるよう、控置しておく戦力のこと。
予備戦力は、前線の状況を見て、戦局を一挙に打開する際に投入するといいでしょう。
結果的に予備戦力を投入しなくても勝利できてしまうこともあるかもしれませんが、それも戦術的には正解なので、よしとしておきましょう(予備戦力の人はつまらないですが)。
ちなみに、例えば 味方がフィールドの左翼・中央・右翼と進攻していった時・・・

このような状態で、例えば左翼隊から
「敵主力の猛攻を受け維持できない、増援を!」
と要請があったとしたら、指揮者としては予備戦力をどう差し向けるべきでしょうか。
これには正解はないと思います。
敵主力の攻撃が味方左翼側に指向されているとしたら、こちらの主力もぶつけてしまうというテもありますし、逆に敵が薄いと思われる右翼に予備隊を差し向け、一挙に敵陣を目指すというテもあります。
が、実際には左翼隊が、勢いのある小部隊の猛攻で「敵の主力?」と勘違いして報告してきたのかもしれません。
そういった錯誤は戦場にはつきものなので、それこそ指揮者の腕の見せ所でしょう。
*無線は「部隊」間で
最近は、サバゲで無線機(特定小型省電力のもの)を活用している人がとても多いです。
(ワシもたまーに使います)
サバゲでも活用できれば効率のいいゲームができますが、せっかくの無線機の特性を生かし切れていないのでは?と思えるようなケースもよく目にします。
ワシは、無線機はあくまで部隊(実際には分隊や班でしょうか)ごとの連絡に使用するほうがいい、と思っています。
個人同士で通信をし合うのも面白いものですが、どうしても“無駄話”が多くなってしまいます。
無駄話が多ければ、本来必要かつ緊急な通信が妨害されることになり、それでは無線の意味がありません。
また個人のレベルでも、どうしても耳が無線を気にするようになり、野戦では特に重要な「音」あるいは「気配(それも音でしょうか)」を聞き逃してしまうことにつながります。
ヘタをすると、すぐ前方の木の陰に敵がいるのに、後方の仲間に「敵ってどこにいるの?」と聞いてしまうような本末転倒の事態も生じてしまいます。
一緒に行動する分隊や班であれば、一般的には視界内で行動するはずなので、ぜひ口頭やハンドサインで連絡を取ってみましょう。
ハンドサインは簡単なものでも分隊で勝手に決めたものでもいいので、あると重宝します。
無線は、指揮者に状況を報告したり逆に指令を受けたり、あるいは部隊間での情報共有などに限定して使用するほうが有効活用できます。
その場合、部隊の長よりも、長を補佐する立場の人が無線手を担うほうがよいでしょう。
リーダーが無線をすると、どうしても無線のやりとりに気を取られやすくなり、目前の急な事態に対処できなくなるからです。
無線手を部隊の他の隊員に任せることで、長は落ち着いて状況判断をしやすくなります。
ただ、それは部隊ごとの行動ができるサバゲでの話。
ふつうの定例会では、他部隊との連携はおろか交信も取れないのが常です。
さらに広い/起伏のあるフィールドの場合、無線が届かないということも往々にしてあります。
であるならば仲間内だけで無線を装備して楽しめばいいのですが、その場合でも、
@隊員「発信は基本的にしない/受信のみ」
@隊長「的確に発信し指示」
というふうにルールを決めておけば、無線も邪魔にならず、有効に活用できるのではないでしょうか。
*戦術が生かせるゲームを
サバゲでは、これはなかなか難しい話ではあります。
普通の定例会ではチーム分け以上の部隊分けがなされることはありませんし、フィールド規模に比較しての参加人数も多すぎることや、逆に少なすぎることばかりです。
いっぽう貸切ゲームでも、ある程度の人数と参加者の理解がなければ、戦術を生かしたゲームはできません。
ただ、定例会でも自分の仲間が多ければ、ある程度は戦術を考えながらのゲームもできます。
もし1ゲームで片側30人程度のチーム分けがされるような日であれば、もし仲間が10人もいれば立派に1部隊が編制できますし、それで正面から行くにしても遊撃するにしても、重要な戦力となりえます。
そうなったら戦術的思考を駆使し、フィールドの要衝を意識しながらゲームをしてみてください。
もし仲間が5人であっても、一つの部隊として動くのであれば、大きな戦力となりえます。
他の友軍の動きを見つつ、誰も気にしていないような要衝があればそこを押さえたりすれば、チームの勝利に貢献することもできます。
特に、広いフィールドで行われる無制限復活制の「耐久ゲーム」では、この戦術的思考がけっこう生かせます。
単独だとそうもいきませんが、数人のチームで参加するのであれば、ぜひ戦術的に攻めたり後退してみてはいかがでしょう。
また、もし貸切ゲームを企画し、ある程度の人数を集められるのであれば、ぜひチーム分け以外に部隊分けをしてみてください。
「若葉会」
さんの貸切ゲームで行われる「分隊縛り」ゲームは、まさにこの“戦術”を駆使して行われる、身体も頭も使う「本当のサバイバルゲーム」であると言えます。
(自分的に衝撃を受けた分隊縛り耐久ゲームの様子→前編
/後編
)
こういった分隊メインのゲームがもっと普及すると、サバゲはさらに進化していくことでしょう。
あとは、こちらはかなりスキモノ?向けかもしれませんが、H-SDFさん主催の定例ゲーム。
ここでは、開始前にしっかり作戦会議が行われ、時間も長めなので否応なく戦術的に考えるゲームになります。
いかがでしたでしょうか。
「ただバリバリ撃つのもいいけどさ…」
と悩みだす頃の初級者の方々の参考になるように説明しました。
もちろんベテランゲーマーの方にはそれぞれ馴染みのフィールド特有の戦術があると思いますし、
「それ違うよ」
ということもあるかと思います。
でも、
「戦術的視点でサバゲはもっと面白くなる」
ことは間違いありません。
自由参加の定例会でも、戦術的に考えて動く人が増えるといいですね。
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