疫病神(その7) | ちょんまげインプの部屋

ちょんまげインプの部屋

いらっしゃいませ、変態(いろんな意味で)の部屋へ。
これであなたも立派な変態。
今後ともどうぞよろしくっす。

(以前、ちょんまげのついたインプレッサに乗っていたのでこんなタイトルです)

先日の真夜中。



「××××・・・!」



例によって、アパートの2階のシングルマザーの部屋から、丸刈り彼氏の怒鳴り声が聞こえてきます。

さらになんかずっとガタガタゴトゴトうるさい。

幸いウチの娘が目を覚ますほどの騒音ではないものの、気になって寝られやしません。


しばらくそのままボーっとしていると・・・




「ズリズリズリ・・・ズズズ・・・」



なんだ、この音。



「ズズズズズズ・・・・・・」



アパートのうちの部屋のすぐ隣は階段になっているのですが、そこから音が聞こえてきます。

なにか重い物をひきずっているような・・・


フと思い出しました。

高校の頃に聞いた話。

夜中の校舎で、下半身のない血だらけのソレが、這いつくばって両肘でズリズリ迫ってくるという・・・

真夜中に校舎に入ることなどそうそうないという検証は置いておいても恐ろしい話でしたが・・・まさにそのような音なのです。


半ば怖いもの見たさもあり、意を決して布団から起き、真っ暗な中をそっと玄関まで行ってみます。

息を殺してしばらく待つと・・・



「ズリ・・・ズリ・・・ズリズリ・・・」



やはり何かがアパート2階の廊下を這い回っているような音です。



「ズ、ズ、ズ・・・ズズズ・・・」



階段を降りてくるような音もします。



ここでフと気づきました。

布団に入る頃までしていた丸刈り兄ちゃんの罵声は途絶え、そしてさっきまでギャン泣きしていた幼児の鳴き声がしなくなっているのです。



まさか・・・。

丸刈り兄ちゃんが勢い余って、幼児を殺してしまったのではないだろうか・・・。

そして我に返り、死体の置き場に困って、箱か何かに詰めてどこかに置いてこようとしているのでは・・・。

で、死体が思いのほか重いために、引きずっているということではないだろうか・・・




ドアの外に気配がするので、のぞき窓から外の様子を窺ってみると。


「・・・!」


やはり。

シングルマザーが、何か箱のようなものを引きずっているのです。

あの中に幼児の死体が・・・!

どこに捨てるつもりだ・・・!


「カチャ・・・」


後をつけて通報してやろうとドアを開けると・・・





・・・・・・。





例のシングルマザーが、フゥフゥ言いながら一人で家具を運んでいました。

ああ、廃品回収に出すのか、女子一人で大変だな・・・



・・・って丸刈り兄ちゃんは手伝わないんかいΣ(°Д°;)