発達障がい食環境支援士取得講座(略:食環境講座)が始まって4か月目に入りました。受講生さんの中には、食育関連、発達障がい関連の勉強をされていて、そこで学んだ情報と本講座の内容との食い違いに困惑される方がいらっしゃいます。

 

今回は、「赤ちゃんに果汁100%ジュースはいつからがよいのか?」というタイトルのベビーカレンダーのコラムについて、食育コーディネーターの資格を持つ受講生さんからの質問です。

 

ベビーカレンダーのコラムでは、保育士であり、離乳食インストラクターの中田馨さんという方が、「果汁100%ジュースを飲んでもいいのは3歳以降」と書かれています。その理由として、「甘すぎる」、「水分でカロリーをとらない」、「ジュースの味を知らなければ、赤ちゃんが欲しがることはない」などをあげています。

 

ここでみなさんに知ってほしいのは、このコラムは、著者の意見であって、科学的根拠がないことです。

 

現実問題として、3歳までジュースを全く飲ませない環境を維持するのは可能でしょうか?子供が辛い思いをしませんか?おばあちゃんやママ友たちとギクシャクしないでしょうか?

 

また、このコラムを信じて、ジュースだけ制限して、甘い味付けのおかず、菓子パン、甘いお菓子、デザートを与えていたら、なんの意味もありません。

 

ジュースを制限する科学的根拠は、砂糖の摂取量を制限することです。制限する量も年齢も、科学的な検証で明らかになっています(参考文献)。

 

食環境講座では、果汁だけでなく、砂糖の制限も必要であることを教えています。その根拠は、世界保健機関(WHO)やアメリカ小児科学会などの科学的に信用できる有識者が、科学的な検証や学術文献に基づいて決めたことで、決して1個人の私見ではありません。

 

具体的には、「2歳以下の乳児には、砂糖を含む飲料や食品を与えない、2歳以上でも1日に合計で25g以下」、「果汁100%ジュースを飲んでいいのは1歳から、ただし、1日に飲んでいい量は、1−3歳なら100ml以下、4−6歳では180ml以下、7−14歳でも240ml以下」です。

 

この程度なら実現可能だし、お誕生日会やお友達とのおやつタイムも、一人だけ仲間はずれになることはないでしょう。

 

砂糖と果汁の制限に関しては以前のブログに詳しく書きましたが、果汁だけでなく、甘い食べ物や飲み物を制限するようになったのは、多くの学術研究が、砂糖による健康被害を報告したからです。将来の生活習慣病を予防するだけでなく、子供の発達障がい及びうつ病予防という側面も持っています(自閉症スペクトラム障害と脳のインスリン抵抗性に関する参考文献)。

 

ネット情報、健康関連の書籍、食育関連の資格認定講座には、科学的根拠のない、あるいは完全に間違った情報が混じっています。もしあなたが気になる情報に、参考文献が提示されていなければ、あまり信じない方が良いかもしれません。