近年、発達障がいうつ病などの精神疾患が増え続けています。もちろん、社会的、生活環境的な要因が大きく影響していると考えられますが、意外にも、口腔ケアを怠っていると精神疾患を発症する可能性があるようです(前のブログ参照)。

 

腸内環境が脳の働きに直接影響を与えることは、科学的に明らかになって久しいです(脳腸相関)が、口腔内環境が(神経や血管から)直接、及び(脳腸相関を介して)間接的に関わっていることがわかってきました(参考文献1へのリンク)。

 

歯磨きだけでなく、デンタルフロスや舌みがきをしないと、口の中に普通なら繁殖しない菌が増え、常在菌のバランスが崩れてオーラルディスバイオシス(Oral Dysibiosis)」が起こります(参考文献2へのリンク)。

 

オーラルディスバイオシスとは、直訳すると口腔内毒素症です。良い微生物が作っているコミュニティーが悪玉菌によって侵食されて機能しなくなった状態です。

 

悪化すると脳を含む全身に影響を及ぼすオーラルディスバイオシスですが、まず最初に起こるのが虫歯です。逆に言うと、虫歯ができない習慣があれば、オーラルディスバイオシスは起こりません。

 

そこで今回は、虫歯予防に役立つ食品と、虫歯を作る食品を紹介します。

 

虫歯を予防するベストフード

食物繊維豊富な野菜スティック:大根、セロリ、人参などの野菜スティックは、噛むことで唾液の分泌を促進します。唾液には食後に酸性になりがちな口腔内を中性に保ち、唾液に含まれる酵素は、歯を守る役目があります。唾液がたくさん出ると、初期のむし歯なら、唾液に含まれるカルシウムやリンなどの歯の構成要素を取り込んで、再石灰化という現象で治ることがあります。さらに、豊富な食物繊維で歯と歯茎を掃除するので一石二鳥です。

 

乳製品:チーズ、ミルク、ヨーグルトなどの乳製品は唾液を出すのに役立ちます。しかも乳製品に含まれるカルシウムとリン酸塩が食事によって失われたミネラルを補填し、エナメル質を守るので、食事の最後にチーズを食べる習慣は理にかなっているのです。

 

お茶:緑茶や紅茶に含まれるポリフェノールは、プラークに潜む悪玉菌を攻撃して、歯と歯茎を守る作用があります。食後のお茶にはこんな効果があったのですね。

 

無糖のキシリトールガム:ガムは噛むことで唾液をたくさん出します。キシリトールも唾液分泌効果がある上に、虫歯の原因となるミュータンス菌の繁殖を抑える効果があるそうです。

 

虫歯を作るワーストフード

歯にくっつくお菓子:キャラメル、ヌガー、アメ、ガムなどは、歯にくっつきやすく、たっぷり含まれる砂糖が、歯の表面に住むミュータンス菌などの餌となって酸を作り歯を溶かし、虫歯を作ります。

 

スナック菓子・柔らかいパン:ポテトチップス、フワフワのパンなどは、甘くなくても、でんぷん質が多く、歯にくっつく上に、歯と歯の間に入り込むので、虫歯の大きな原因となります。ミュータンス菌にとって、砂糖もでんぷん質も同じ糖類ですから、甘いものを食べない人でも、おにぎりだけ、麺類だけの食事をしていると、ミュータンス菌が活性化してエナメル質を溶かし、虫歯の原因を作ります。

 

ジュース・炭酸飲料:100%果汁も、加糖した炭酸飲料も同様に虫歯の原因となります。と言うのは、どちらもミュータンス菌の餌となる糖分が多く、口の中を酸性にするからです。仕事や勉強をしながら、ダラダラと飲み続けると虫歯の脅威からは逃れられません

 

柑橘類:残念ながら、みかん類もレモンも、歯にとってはジュースと同様に働きます。しかし柑橘類はビタミン豊富な健康効果の高い食品なので、食後に口をすすぐ、食後にチーズを食べるなどの工夫をして食べてください。

 

まとめ

おやつに食べるスイーツやスナック菓子は、歯の間に入り込んで虫歯の原因になります。ほんの少しでも虫歯を作るワーストフードの後にはデンタルフロスを使い、口をすすぐ、無理なら無糖のガムを噛むなどで唾液を出して、口の中の環境を守りましょう。