自家製ルートビアの作り方。 | 西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)

西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)

BenFiddichの店名は店主の鹿山博康から由来【Ben】→【山】【Fiddich】→【鹿】
畑を持つ農家バーテンダーであり『Farm to glass』を提唱
日本在来種の自生する草根木皮をもカクテルに変える新しい可能性を模索
アブサン、薬草酒、古酒がゴロゴロ転がるBar

テーマ:
BenFiddich店主の鹿山です。




店主鹿山はルートビアが好きだ。

BenFiddichの自家製ルートビア。

瓶内二次発酵で自然の炭酸を作っている。↑




そもそもルートビアとはなにぞや?という方がいると思うので簡単に説明。



ルートビアはアメリカ生まれの伝統的な炭酸飲料であり国民的ドリンク。


A&Wのルートビアの缶。

米軍基地がたくさんある沖縄にはたくさんある↑



ルートビアを簡単に遡ると


【①】
元々は中世ヨーロッパにおいて修道士が草根木皮を用いた滋養強壮を目的とした飲料





【②】
18世紀〜19世紀にかけてそれらが一般大衆家庭にも普及。特権階級のみ扱えた生姜と砂糖の普及により大衆化。さらには砂糖により容易に醸せるようになる。これはいわゆるジンジャービアの起源。微アルコールを含み水の衛生状態が悪い当時は微アルが安全であり水代わり。


当時のイングランドではジンジャービアホールが出来上がるほどの熱。↑




【③】
【ヨーロッパからのアメリカ移民】
ヨーロッパから持ち込まれたジンジャービアの世界線がアメリカにも引き継がれそれはまだ物資が乏しくフロンティアだったアメリカ西部開拓史において現地で調達できる物


ルート(Root)=様々な根
ビア(Beer)=醸す


が誕生

アメリカ西部開拓時代




この生姜等だけではない根を中心として醸し、微アルコールにし、健康面の滋養強壮と微アルコールで水よりも安全な水代わりの飲用物としてアメリカ西武開拓史において広まった。
当時は様々な根の糖分を用い醸した。



その【根】の中心軸を司るのが
サルサパリラ(Sarsaparilla) 
サッサフラス(Sassafras)
である。


この二つの根があるからこその
バニラ香と杏仁香を掛け合わせたような深淵なる重奏的な味わいが産まれる。
(店主鹿山の個人感想)


こちらがサルサパリラ根。↑


インドにも自生しており2022年に鹿山はサルサパリラ根収穫体験をさせてもらった事がある。



薮の中の半日陰のようなとこにある。
ルートビアを司るメインボタニカルの収穫に立ち合わせてもらえた。



19世紀後期以降〜現代までに至るルートビアについてはコカコーラもそうであるように清涼炭酸飲料のガス充填装置や原液濃縮技術が進歩し、冒頭で述べたような古典的な作り方もうしない。



BenFiddichルートビアは
古の醸した(アルコール1%未満)のルートビアを造っている。



【材料】


『①根っこ系』
サルサパリラルート
サッサフラスルート
ジンジャールート
カラマスルート
アンジェリカルート

『②種子系』
ジュニパーベリー
クローブ
コリアンダーシード
カルダモン
メース

『③樹皮系』
シナモン

『④果実系』
レモンピール(フレッシュ)
オレンジピール(フレッシュ)
ライムピール(フレッシュ)

『その他』
シャンパンイースト菌
砂糖


【造り方】



①上記の素材でシャンパンイースト菌、柑橘ピールを以外を全て合わせ鍋に入れ火をかける
(砂糖を溶かすくらいの温度で50度以下)


②砂糖が溶けたら一晩寝かす。
(味を染み込ませる)




③翌日の濃縮液に柑橘のピールをゼストし新鮮な柑橘の香りを溶け込ませる。
※新鮮な柑橘の香りは熱に弱いのでスパイスなどの乾物とは別で施す。


④濃縮液に水を加え伸ばす。
按配はそのまま飲んでも美味しいと感じるくらいよりもちょっと甘めに仕上げる。
(後ほど発酵を施すので甘さが少しなくなるのとBenFiddichの場合はカクテルの素材にして何かしらと割るので濃厚目に施す必要がある)


⑤シャンパンイースト菌をぬるま湯で溶いてルートビア液に入れる。
按配はこれからブクブクするだろうな?くらいのいわゆる馴染み始めたら。
だいたい数時間


⑥瓶詰めを開始するので浸漬させてたらボタニカル類を濾す。↓




⑦小瓶に分ける。↓





⑧打栓機で蓋をする。
※1瓶に対して容量を半分にしてるのは吹き出る可能性があるので余白を残している




⑨瓶内熟成。
常温(室温)で24時間〜
ここでプクプクさせて自然の炭酸を作る。
気温や按配で大きく左右されるが様子を見ながら炭酸ができてきたら冷蔵庫へ入れる。
シャンパンイースト菌を使ってるので低温でも熟成は進む。冷蔵庫内の低温で日を長く置いたほうがきめ細かい泡になってピチピチして美味しいが冷蔵庫内で置き過ぎるとお酒になってしまうので駄目だと思う。

その為にはある程度綺麗な自然な炭酸ができたら
60度〜65度。瓶ごと鍋に入れて15分程度加熱してあげれば酵母は死ぬのでそれ以上は発酵しないし行き過ぎて吹きこぼれるような事はない。後は冷蔵庫内にずっと保存ができる。

BenFiddich瓶内二次発酵自然炭酸ルートビア





BenFiddichではこのルートビアをバーボンで割って提供する。


多くはヨーロッパ移民で構成されたアメリカ合衆国は新大陸に渡り

スコッチウィスキー→ バーボンウィスキー
ジンジャービア → ルートビア

に変化していった。
アメリカという国の文化の黎明期を支え現代でも受け継がれているこの二つが合わない訳がない。



バーボンとルートビア

プシュッと自然なきめ細かい炭酸



バーボンとルートビアのみ。これだけだ









しばらくルートビア作ってるので
BenFiddichルートビア飲みに来てください。

BenFiddich店主 鹿山博康