西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)

西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)

BenFiddichの店名は店主の鹿山博康から由来【Ben】→【山】【Fiddich】→【鹿】
畑を持つ農家バーテンダーであり『Farm to glass』を提唱
日本在来種の自生する草根木皮をもカクテルに変える新しい可能性を模索
アブサン、薬草酒、古酒がゴロゴロ転がるBar

Bar BenFiddich店主の鹿山です。

2021年9月 BenFiddichは御時世柄休業中なので
せっかくの余りある時間を活用して
眺望の眼差しを向けてたマケドニア共和国へ
ジュニパーベリーの勉強をしに渡航


マケドニアバーテンダー協会会長
マケドニアジュニパーベリー精油会社社長の
案内のもと様々な良い体験をしてきたので
ジュニパーベリーについてここに記します。

首都スコピエ アレキサンダー大王の銅像↑





マケドニア共和国は2018年に国名を
隣国ギリシャの圧力で改めさせられ
【北マケドニア共和国】に改名させられる。
(ギリシャ北部も古来マケドニアの地域に当たる為全部名乗るな!という言い分)


とゆう事でマケドニア人は今の国名を
納得していなくうっかり『North Macedonia
と言うと是正される。
鹿山は2回マケドニアで注意された。



なのでここではマケドニア共和国と記載する



そんなマケドニアは世界中のジンの主原料の
ジュニパーベリーの供給国


その中でもブルガリアとの国境近くの
東部マケドニアのBerovoという地域が
最高のジュニパーベリーの主産地であると
言われている







それはなぜか?




[標高1000mの高さ]




マケドニアジュニパーベリー精油会社社長曰くこれが一番大事らしい。


マケドニア東部のBerovoの気候は
内陸性気候によって
夏は40度越え
冬はマイナス20度を下回る寒暖差。


この寒暖差がジュニパーベリーの味わいに
大きく変化をもたらすのかは定かではないが
通常の果樹より長く樹上で18ヶ月実っている
ジュニパーベリーの特性を考えたら
寒暖差の変化があった方が何かしらの
変化はもたらすだろう。




あと『土壌』




どんな土壌が良いのだろう?

マケドニアではこんな所に生えている。

写真の点在してる木々がほぼジュニパーベリーの

セイヨウネズ(Juniperus communis)となる


見ての通り日本と違いそれなりに
肥えてる大地とは思えない。


ちょっと掘れば
石ころや岩がゴロゴロ出てくる土地


そんな場所にたくさん自生している。











総じて日本のネズもそうだが
丘陵地帯や花崗岩地の岩がちなとこに
ネズの木は多く自生。

鹿山が思うに
日本のネズ(Juniperus rigida)も
セイヨウネズ(Juniperus communis)も
丘陵地帯や花崗岩地に好んでその土壌に生えてるわけではない。


ネズは日照を必要とする樹木。


たくさんの木々が生い茂る優良な地は
成長が遅いが故に他の樹木の成長スピードに負け日照を遮られてしまう。
良い土には生存過当競争が起きる。
ネズは負けてしまうのだ。


故に他の木々が育たない或いは育ちにくい
痩せた土壌でもネズは育つ適応能力がある。



その証拠に鹿山が実家の畑で育てている
セイヨウネズ(Juniperus communis)は
フカフカの肥えた土に植えると
グングン伸びる。
数年すれば日本やマケドニアで見る
丘陵地帯や岩がちな土地で見るネズより
大木になるだろう。





[ジュニパーベリーの収穫時期はいつ?]




マケドニアでは
8月中旬から11月の末まで収穫が行われる。
最もベストなシーズンは9月中旬〜9月下旬。

前年の4月頃に緑色の小さな実がつき
翌年の夏を越えたあたりに青紫色に熟す。
おおよそ樹上で18ヶ月。
ジュニパーベリーはゆっくりと実る。

マケドニアジュニパーベリー↓









因みにマケドニアには
二種類のジュニパーベリーがある。


ジンに使われるのは
Blue juniperberry(ブルージュニパーベリー)

別で
Red juniperberry(レッドジュニパーベリー)
が同じくらい山に自生している。





ジンやジュニパーベリーの精油に
使われるのは

Blue juniperberry(ブルージュニパーベリー)
のセイヨウネズ(Juniperus communis)


Red  juniperberry(レッドジュニパーベリー)は
エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)で
別の種族。味わいも酸味と粘土性があり
香りの清涼感は薄い

因みに日本のネズは(Juniperus rigida)
似ているが品種が違う。
別名temple juniper 寺ジュニパーとも言う。








[次に収穫はどのようにやるのだろう?]








今まで自分はコン棒で叩いて落としたり
チクチク我慢しながら素手でとっていたけど
マケドニア東部のBerovoの町の
ジュニパーベリー採取おじさんを
紹介してもらい
熟練の収穫方法を教えてもらった。


ジュニパーおじさんのテリトリー範囲を案内してもらった。




そう養蜂用手袋で
グリグリとジュニパーベリーを
こそげ落とすように採取。


このように緑の若いのと枝葉の混合は
ある程度してしまうのだが
後に手作業で仕分ける。






マケドニアで不思議なのが
ここまで良質で大量のジュニパーベリーが
採取できるのにジュニパーベリーを使った
飲料が存在しないということ。
マケドニア産ジンも存在しないのだ。
全てのジュニパーベリーが輸出用となり
世界中のクラフトジンの主原料として使用される。

その代わりマケドニアの田舎では
家庭蒸留が盛んで一家一台の蒸留機を所有。
季節の果樹の余剰分をアルコールにして
冬を越す伝統文化がある。
(ジュニパーベリーおじさん家の蒸留機↓)




飲ませてもらったのはジュニパーおじさん家に
生えてるプルーンで作った蒸留酒(ラキア)
ジャックダニエルの空き瓶に差し替え。
茶色くなっているのはその辺の木を入れて
熟成感というか世界観を演出したらしい。



はい。美味しかったです。





話は戻りジュニパーベリー





[収穫したその後はどうするのか?]





麻袋に入れ出荷待ち。



これはジュニパーベリーの精油会社の倉庫。



ここから日本やもちろん世界中、
イギリス、オーストラリア、アメリカにもサプライヤーが買い付けマケドニア産のジュニパーベリーが世界中に散らばり素敵なジンとなる。

伊勢丹や高島屋に行くと
マケドニア産ジュニパーベリーが小瓶で売られてるのが目に付くがこの国から、そしてこのようなところから出荷されている。


【ジュニパーベリー精油工場】↓





ジュニパーベリー精油会社の社長曰く
鮮度と油分を良質の状態で保てるのは
3ヶ月まで。

3ヶ月と言ったが新鮮であればあるほど良い。

それもそのはずでジュニパーベリーという
名前がある通り一応果実。
フレッシュで新鮮な状態のジュニパーベリー
は果実感がありジューシー。
ジンの味わいが果実で存在するって思ってくれると的確な感じだ。


しかし収穫から
3ヶ月以降はジュニパーベリーの油分が揮発してゆきジュニパーベリーの精油の回収率が下がる。


ジンではなく
ジュニパーベリーの精油の造り方の
メソッドとしては収穫して三ヶ月以内に
機械で破砕して水蒸気蒸留法でジュニパーベリーの油分である精油を回収する。






ジュニパーベリーの精油の用途は香水やシャンプーやトリートメントなどの原料用として出荷している。
又は安価なジンの原料にもなる。
高純度のアルコールに数滴垂らせばジンの味わいになるのだ。安いジンはこういったエッセンス法という造り方で世に出回っている。



ジュニパーベリーの精油を作る時は収穫から
三ヶ月以内に新鮮な内に破砕して蒸留。
ジンの場合は乾燥を使う。
ここで疑問が湧くと思う。




ジンを作る時ジュニパーベリーは
乾燥とフレッシュどちらが良いのか?




そもそも新鮮なものを使うのは難しい




マケドニアで収穫され
倉庫で管理され
そこからサプライヤーが買い付け
小売業者へ渡り
消費者(ジン製造者)


というルートが基本なので
8月中旬から収穫が始まり11月までの
収穫期間で上図の流通経路であれば
アジアであれば翌年に持ち越されるだろう。
故に到底フレッシュは無理だろう。


ジュニパーベリー購入者である
ジン製造者が自前でフレッシュのジュニパーベリーを収穫してすぐにジンを製造できたら面白いと思う。


なぜなら



フレッシュには乾燥ジュニパーベリーにはない果実感と清涼感が存在するから。




僕はそんなジンを飲んでみたい。




なので僕はBenFiddich畑(埼玉の実家の畑)で
ジュニパーベリーを育てている。


現在成木して大木になり
実が収穫できるのが7本
再来年から収穫できる中成木が80本
挿木でクローンを増やして
幼木なのがウン数十本(たくさん)

セイヨウネズが成木して実をつけるまで
長い時間を要するけれども、
こうやってゆっくりゆっくり成長を
見守り続けられる事が僕は愛おしい。


いつか自分好みの森を作りたい
ジュニパーベリー農家なんてゆう職業と言葉が
あったら素敵ですよね。




[まとめ]




ジンの主原料のジュニパーベリーを産する
マケドニア共和国へ行けて
どのような条件で自生し
どのような収穫方法をし
どのような保管方法をし
どのような人々が携わっているのか
Barで当たり前のように使っているジンの
背景を垣間見れる事ができた。



これからもバーテンダーとして
お客様に酒類の良さを伝えられるよう
精進してまいります。