禁制前のアブサンを開栓 CF Berger absinthe | 西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)

西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)

BenFiddichの店名は店主の鹿山博康から由来【Ben】→【山】【Fiddich】→【鹿】
畑を持つ農家バーテンダーであり『Farm to glass』を提唱
日本在来種の自生する草根木皮をもカクテルに変える新しい可能性を模索
アブサン、薬草酒、古酒がゴロゴロ転がるBar

BenFiddich店主の鹿山です。





この度BenFiddichは
早いもので7月1日で7周年を迎えました





とゆうことで鹿山の秘蔵アブサンである
100年以上昔のアブサンを開栓
いわゆる禁制前のアブサン

C.F Berger absinthe


このアブサンボトルの時系列は
1878年以前のボトルと推測できる



なぜ今回C.F Bergerのアブサンを
開けようと思ったのかは

先月アブサン業界を騒つかせるニュースが
舞い込んだ

なんとまぁ、C.F Bergerのアブサンが
フランスはマルセイユにて
大量に発見されたのだ
(アブサンコミュニティの写真を拝借)



この15本は世界中にいる
アブサンマニアのコミュニティによって
即完売



ちょうど鹿山は4年前に別ルートで
C.F Bergerのアブサンを持っていたので
この機会に開栓してみようと思った次第
(今回売りに出されたC.F Berger)↑↓
【写真は拝借】



鹿山が4年前に購入した
C.F Berger absinthe↓


違いは今回売りに出されていた
C.F Bergerのアブサンは
ラベル印字により読み解ける
1913年〜フランスにおいてアブサンが
禁制になった1915年の2年間と限定できる

鹿山が購入した
C.F Bergerのアブサンは1878年以前と推定


どこで違いがわかるのか?

MAISON A MARSEILLE
FONDEE EN 1878

C.F Bergerは1878年に
第二蒸留所として
フランスはマルセイユに蒸留所を建立し
増産体制に入っている。
それ以前(1878年)はアブサン発祥の地
スイスのヴァル.ド.トラヴェール渓谷の
クヴェ村で1830年から小さく作られていた

鹿山の所持するC.F Bergerは
マルセイユ表記がないので1878年以前と
読み解ける↓

140年以上経過した古いボトルということになる




このC.F Bergerの歴史について簡単に
触れておこう

先に書いたとおり、
C.F Bergerの名前の由来は
Christian-Frédéric
(クリスチャン.フレデリック)氏により
【C.F】
1830年にアブサン発祥の地
スイスはヴァル.ド.トラヴェール地方の
クヴェ村で建立




1830年蒸留所建立当時からC.F Bergerの蒸留所は
アフリカのアルジェリアに
積極的に輸出をしている
そう、あまり知られていないが
アブサンを世に知らしめたきっかけは
アフリカのアルジェリアがきっかけなのだ




1830年~1847年はフランスによる
オスマン帝国領アルジェリア侵略
後にフランスの植民地となる
駐フランス領事官に愚弄され、腹を立て、領事官の頬を扇で引っ叩き
それによりフランスが腹を立て
アルジェリア侵攻決意




この時に軍に支給されたのが
アブサンabsintheだ
アフリカでの生水は危なかったので
アブサンを水で希釈し
飲料水として飲まれていた
そして戦争が終わり帰還兵が国に戻った時に
それぞれの故郷で口伝して
アブサンを世に広める
きっかけとなったのだ




アブサンが世に広められるきっかけを
作ったのはアルジェリアの事変が起因し
アブサン普及に大いに貢献している
(フランス統治時代のアルジェリア)
C.F Bergerのアブサンがアルジェリアで
普及していたのがうかがえる。



C.F Bergerは国策である
戦争特需(アブサン支給)の恩恵を受け
飛躍的に会社は発展し
1878年にはマルセイユにも
第二蒸留所を建立するまでに至る




その後はアブサン好きなら周知の通り
1910年にスイスにおいてアブサン禁制
1915年にもフランスでアブサン禁制


ここに関しては書くと
長くなるので数年前にまとめた
この辺の時系列を数年前に書いたので
見て欲しい



C.F Bergerのアブサンは
時代の波に飲まれ消えてゆく




スイスのクヴェ村にあった
1830年建立の
第一蒸留所はスイスアブサン禁制によって
1910年には閉鎖


フランスマルセイユにあった
C.F Bergerの第2蒸留所は1980年代以降までは
パスティスやリキュールなど
複合製品蒸留所として存続
パスティス(アニス酒)として存続
度数は45度まで下がっている。




補足だがC.F Bergerは
1900年にアルゼンチンは
首都ブエノスアイレスにて
第3蒸留所を建設していた
アルゼンチンにも
アブサンは当時作られていたのだ
(とあるサイトから拝借)

誰かブエノスアイレスのアルゼンチン産の
アブサンの情報があったら
鹿山まで教えてくれ



もちろん、アブサン需要は
1910年代以降落ち込む
アルゼンチンはブエノスアイレスでは
イタリア系移民が多いこともあり
フェルネットブランカのような
苦味系リキュールを主体とし
C.F Bergerのブエノスアイレスの蒸留所は
1980年代近くまで存続する
BenFiddichにあるアルゼンチン産の
C.F Bergerの苦味系リキュール
1960年代流通であろう

BenFiddichでこれは今でも飲むことができる







とにもかくにもC.F Bergerのアブサンの素晴らしさを皆様に知ってもらいたいので
鹿山の知りうる 
C.F Bergerの事を書かせてもらった


BenFiddichでは
2020年7月をもって7周年
8年目に突入した。
周年の自分自身のお祝いも兼ねて
この1878年以前の
C.F Bergerのアブサンを
開栓



ニガヨモギはほどよくバランスがとれ、
アニス、フェンネルの含有量が多く
感じ取れる



古酒のアブサンは安いものではない


ただ、C.F Bergerのように
100年以上経過したアブサンのボトルが
この2020年の現代の世の中に
あるということ
歴史に想いを馳せて飲むことを
楽しめることができる人であれば
最高の嗜好品だ


今宵、西新宿
Bar BenFiddich
お待ちしております