新設住宅着工のうち、持ち家や分譲住宅は20万~30万戸台にとどまる。
これに対して貸家着工件数は08年のリーマン・ショック後は30万戸前後で推移したものの、
13年に35万戸を回復し、16年には40万戸を突破。
この結果、新設着工の4割超を占めている
貸家着工増加の背景にあるのが15年の相続税の課税強化だ。
貸家を建てると土地の評価額が下がって相続税が減らせるため、
節税目的のアパート建設が相次いだ。
だが、新築アパートが急増したことで、古いアパートの空室率が首都圏近郊を中心に急増するなど、ひずみも生じている。
不動産調査会社のタス(東京都中央区)によると、
首都圏のアパートの空室率は15年夏ころから急上昇しており、
神奈川県や千葉県では木造などの空室率が35%を超えている。
同社の藤井和之主任研究員は「少ないパイをアパート大家が奪い合っている状態。
首都圏近郊で埋まっている物件は、駅近や新築などの条件の良いものが多い。
人口減が続く中、条件の悪い物件は徐々に不良債権化していくのではないか」
と分析している
一般に契約には空室発生の場合にデベロッパーがサポートする「空室補償」が
盛り込まれているが、その有効期間がきわめて短期に限られているようなケースがある
(塚崎公義 / 久留米大学商学部教授)
貸家はそれほどもうかる商売ではありません。
表面的な家賃収入と購入価格を比べるともうかりそうに見えますが、
税金をはじめ、結構な費用がかかります。
空き家になるたびに壁紙を張り替えて新しい入居者を探す必要があり、
手間もかかります
どうしても貸家を持ちたい場合には、プロに管理や運営を頼みましょう。
借家人を探してきたり、交渉したりするノウハウを持つプロに頼むことのメリットは、
プロに支払う手数料よりも大きいはずです。
プロに頼むならば、個別に依頼するよりも、
プロが運営しているREIT(リート)と呼ばれる不動産投資信託や
不動産企業の株式を購入する方がずっと効率的です。
個人が賃貸マンションを1戸買うよりも、REIT等が1棟買いをする方が、
安く買えるでしょうし、管理の手間もはるかに効率的なはずです。
REIT等を買うことは、老後の生活費を稼ぐための一つの選択肢ではありますが、
これから自宅を購入する予定の人は、いまひとつの利用方法も検討してみましょう。
たまたま自宅を購入したときが不動産バブルの時だったとしたら、
大損をしてしまいます。そうしたリスクを避けるために、
「毎年10分の1ずつ自宅を購入する」ことができればよいのですが、
それは無理でしょう。そこで、次善の策として、REIT等を毎年購入し、
ある程度の残高になったところで売却して自宅購入資金に充てるのです。
不動産価格が下がっている時には、REIT等も値下がりして損をしてしまいますが、
自宅が安く買えるのですから、がっかりする必要は全くありません。