カクレミノ 葉の「切れ込み」の理由はこれ? | 驚きの日々!祖師谷公園をめぐる四季

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森林インストラクター。ラジオ体操と太極拳で毎朝訪れる祖師谷公園には樹木や花、昆虫や鳥たちもたくさん。そんな公園の四季の変化をお届けしています。祖師谷公園散歩のお役に立てばうれしいです。なお写真のご利用はお控えください。

今朝は7時半の気温がもう30℃。

猛暑日間違いなしでしょう。

 

一昨日のカクレミノの問題、

みなさんは何か思い当たったでしょうか。

 

カクレミノには

切れ込みのある葉と、ない葉がありますが、

なぜでしょう?

 

観察すると、

 

1. 切れ込みのある葉は

大きくて、葉柄が長いものが多い。

 

2. 木の内側に入っている枝の葉は、

ほとんどが大きくて切れ込みがある葉でした。

 

ということは、

大きい葉に切れ込みが多い。

 

では葉が大きくなるのはなぜか?

 

葉は、

「光合成をして成長するエネルギーを得る」

というのが葉に課せられた使命です。

 

光合成をするには光を浴びる必要があります。

そして、葉の面積を広くすれば、

それだけエネルギーを多く得ることができます。

 

ということで、

一般的に成長過程にある若い木ほど葉は大きくなり、

成長のとまった古木ほど葉は小さくなります。

 

1本の木においても同様で、

光を得難い場所にある葉ほど、

葉の面積を大きくしたり、

他の葉と重ならないように葉柄を伸ばすなどして、

光合成をしてエネルギーを得ようとします。

 

では大きくなった葉はどうして切れ込みが入るか?

 

偉いな〜と思うのですが、

葉同士は

けっこう仲間のことを気にかけているのです。

大きくなってしまうと、自分の影でほかの葉が光を得ることが難しくなってはいけない。

だから切れ込みを入れることで、少しでも他の葉に光を届けられるよう、

気配りしているのです。

 

それから、葉が大きくなると、風当たりも強くなるし、雨などで傷つくこともありがちです。

切れ込みを入れておくことで、風雨をやり過ごすことができる。

 

どうでしょう?

 

あまり見当外れではいけないので、検索していたら、

 

岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科

旧植物生態研究室(波田研)のホームページに

こんな記載を見つけました。

 

高橋(1997)はカクレミノの葉の形態と照度の関係を研究し、広卵形の葉は葉の密度が大きい陽葉であり、相対照度が30%以下になると掌状に分かれた葉が多くなり、掌状の葉は葉の密度が小さく、光補償点の低い陰葉である結果を導き出している。

 

ということは、

「葉の切れ込み」の原因は若木だからできるわけではなく、

葉が置かれた状況に寄るところが大きく、

暗いところにある葉ほど切れ込みができやすい。

でした。

が、

葉の大きさとの関係には触れてませんでした。

 

そしてこのカクレミノ。

以前の写真を見ていたら、成長が早いので驚きました。

 

2015年12月

 

 

2017年11月

 

そして2020年8月現在です。

後ろや横にある木と重なってわかりにくいのですが、

5年前の2倍くらいの高さに成長しています。

 

より成長できるよう、葉を環境に適応させていくこの能力が

見事に発揮されての成長ぶり!でしょうか。