樹木医による点検木の診断 その1 | 驚きの日々!祖師谷公園をめぐる四季

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森林インストラクター。ラジオ体操と太極拳で毎朝訪れる祖師谷公園には樹木や花、昆虫や鳥たちもたくさん。そんな公園の四季の変化をお届けしています。祖師谷公園散歩のお役に立てばうれしいです。なお写真のご利用はお控えください。

昨日は祖師谷公園サービスセンターから

「樹木医の点検木の診断に立会いませんか」

とのお知らせが「樹木の会」にあり、

役員3名で初めて参加させていただきました。

 

「点検木」とは弱ったり倒木の恐れのある木をマークし、

東京都公園協会の樹木医さんが

年に4回、定期的に経過観察をしています。

 

地図に赤丸がしてあるのが今回対象となる点検木で

全部で11本です。

 

最初の木はサービスセンター前、エントランス広場のケヤキです。

ご覧のように地上部はほとんど枯れているように見えます。

 

この木はなぜ枯れてしまったのでしょう?

この場所は木の周囲がコンクリで囲われていて

根が充分に生育できなかった、

また土の状態もよくなかった可能性が高いのではないか

とのお話でした。

 

でも地上⒈〜2mのところからは葉が出ています。

木は根から水分を吸収し上に上げていくわけですが

上までは届ける力が木になくなっていて

下のほうにはまだ水分を届けることができるのです。

 

樹木医さんは木づちで幹を軽くたたき

その音で木の状態を知ることができます。

響く乾いた音だと

木の水分が少なく枯れている可能性が高い。

つまり太鼓と同じ原理で、中が空洞化してくるとよく響く。

なるほどです。

 

樹皮に亀裂も入っています。

これも木が相当にダメージを受けている証拠だそうです。

 

では根の部分はどういう兆候が現れているかというと

木が土に接する部分は広がっていくのが健全なのですが

垂直に土に入っています。

これも木が順調に生育できていない証拠とのこと。

 

結論としては回復の見込みはほとんどなく、

近い将来、伐採はやむを得ないでしょうとのことでした。

 

次はすぐ先のアンズです。

こちらは完全に枯れ木状態で、葉も一枚も出ていません。

 

枝にはキノコがこんなに出ています。

キノコが出るということは、

木の成分の分解が始まっているということです。

 

アンズが何本もある中、この木だけがなぜ枯れたのでしょう。

日当たりがよくなく、過密な植え方にも原因があるのでは

ないかとのことでしたが、

原因の究明は複合的なことが多く、難しいとのことでした。

 

次はどんぐりの森の一角にある

このニオイヒバです。

ひょろんとたよりなげに立っています。

 

葉が全部枯れているのは

上を周囲の木で覆われてしまっているからでしょう。

地上5mくらいは伸びたものの

周囲との光の奪い合いに負けて力尽きたと見えました。

 

続いてテニスコートのヒメリンゴ。

かなりの葉に茶色の斑点が出ています。

「さび病」といって菌による病気です。

 

隣にはカイヅカイブキがあり、

風通しを悪くしているのも一因かもしれません。

 

またテニスコートに沿って植えられているため

さらに風通しが悪くなっている。

 

根元を見ると、

驚いたことにこんなに空洞化しています。

春にはきれいな花をたくさん咲かせたのですが。

 

ここには4、5本のヒメリンゴが植えられていますが

こちらもかなり空洞化が進んでいます。

こうなると倒木の恐れもあるので

支柱をすることになりました。

 

病気といえば「消毒」という考えも浮かびますが

公園協会としては「消毒」は基本的にしない、

実のなる木であること、子供たちが毎日のように遊びに来る場所

であもあること、万が一口に入る危険性を避けてとのことでした。

 

ここまでで約30分。

長くなりましたので、続きは明日に。