サクラ 先祖は秋に咲いていた | 驚きの日々!祖師谷公園をめぐる四季

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森林インストラクター。ラジオ体操と太極拳で毎朝訪れる祖師谷公園には樹木や花、昆虫や鳥たちもたくさん。そんな公園の四季の変化をお届けしています。祖師谷公園散歩のお役に立てばうれしいです。なお写真のご利用はお控えください。

先日一羽だけ見たヒドリガモが、今朝は11羽の集団でいました。続々と北国から到着して、それとともに秋も深まっていくようです。
みんな同じ方向を向いているんです。


長旅、お疲れさまでした。



さて、先日、ジュウガツザクラを見つけましたが、秋に咲くサクラは、なぜに春ではなくて秋に咲くのでしょう。

秋から冬にかけて咲くサクラはほかにもあって、フユザクラ、コブクザクラ、シキザクラなどもジュウガツザクラ同様、春のお花見の時期ではなくてどれも秋に咲きます。

その理由を調べていたらなるほど、という説明に出会うことができました。
東京農業大学の遺伝子レベルでの研究を通しての結果です。

一言でその理由をいえば「先祖返り」です。

日本のサクラのルーツはネパール地方のヒマラヤザクラ。
その地ではサクラは秋に咲きます。
それがなぜ春に咲くようになったかというと、ネパールと日本の気候の違い。
ネパールは緯度は亜熱帯に属し、山岳地帯を除けば標高は1400〜2000m。一年を通して温度差は少なくとても穏やかな気候です。
これに対して日本は四季があり最低と最高気温の差は30℃以上あります。
つまりネパールと比べるととても厳しい気候なのです。

温暖な気候で育ったネパールのサクラは、中国から日本へと北上していく過程で、厳しい気候を乗り切る手立てとして、冬場に葉を落として活動を止める「休眠」を得たというわけです。

その証拠にネパールには秋咲きのヒマラヤザクラのほかに2種のサクラがあり、この二つとも春咲きなのです。この2種のサクラはヒマラヤザクラと違い、雪が降り気温も零下まで下がる標高3000m以上のところにあります。そう、この2種のサクラも厳しい環境で生き残るために休眠を獲得して日本のサクラと同様、春咲きのサクラに変身していったと考えられるのです。

そういえば、一昨年行ったヒマラヤトレッキングでサクラを見たことを思い出しました。
標高2000mほどのガンドラックという村でした。
時は3月19日。春です。
何本かあるうち、1本は花が終わりのころ、もう1本は実のサクランボがすでになっていました。

これは秋咲き、それとも春咲き、どちらなのでしょう。
高度からいうと秋咲きなのでしょうか?