番外編  伊豆大瀬崎に特別天然記念物ビャクシンを訪ねて | 驚きの日々!祖師谷公園をめぐる四季

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森林インストラクター。ラジオ体操と太極拳で毎朝訪れる祖師谷公園には樹木や花、昆虫や鳥たちもたくさん。そんな公園の四季の変化をお届けしています。祖師谷公園散歩のお役に立てばうれしいです。なお写真のご利用はお控えください。

今朝は雨。ちょうどいいので、先週に観察会で訪れた伊豆の西海岸、大瀬崎の老樹をご紹介しましょう。

観察会にはまたとない快晴。たまプラーザから東名高速道路をひた走り、約2時間半で現地に到着。
こんなに大きな富士山が出迎えてくれました。富士山も南斜面はこんなに雪解けが進んで。


細長い半島が駿河湾に突き出していて、これが大瀬崎。濃い緑色にもこもこしているのが、ビャクシン。
又の名をイブキ。ヒノキの仲間です。公園や庭に植えられているカイヅカイブキはこの栽培品種ときくと馴染みが出てきました。


さっそく近くに行ってみると、見上げるほどの大木。10m以上あります。


このつぶつぶは若い実です。


「大瀬崎のビャクシン樹林は現在130本余りが自生し、群落を形成。直径1mを超える巨木、樹齢千年を超える老樹も多いことで知られ国の特別天然記念物に昭和7年に指定されました。
ビャクシンは耐陰性が弱く成長するのに強い日差しが必要で、そのため若木は2年ほどで枯れ、後継樹がなかなか育たないのが現状です。」との説明書きが。


では見ていきましょうと、半島の先端に向かう道を歩きました。
いきなりこの姿です。ほとんど寝ています。


この木はねじれるのも特徴ということです。


もうこうなると、何がどうなっているのか皆目わかりません。


たぶん潮風の影響も大きいのでしょう。自然が作るアートです。


根元を見るとこんな大きな石がゴロゴロしています。この木にはこの栄養の乏しい土壌が合っていて、今は他の木が林に入り込んできているので、やがて土壌が必要以上に豊かになると、ビャクシンはどんどん元気をなくしてしまうでしょう。とは解説のK先生の解説です。


老木に若い枝が出ています。
ビャクシンには葉のタイプが二つあって、先端が尖っているものと、そうでないもの。すなわち触って刺さるように痛いものと痛くないもの。
この新芽は先が尖っているのですが、その上のほうの古い葉の先は丸くなっていて痛くない。
これはどういうことかというと、
ビャクシンは恐竜時代からの植物で、当時地球の二酸化炭素の濃度は今よりも高く、植物の成長速度も早かった。恐竜に食べられないよう先を尖らせるのがビャクシンの生き残り作戦だったのが、やがて針葉樹から広葉樹の時代に移り、やわらかくて食べやすい食料ができてきたので恐竜は広葉樹を食べるようになり、ビャクシンは先を尖らせる必要がなくなったので、次第に先端が丸くなってきた。
時としてこのように先が尖った葉が現れるのはいわば「先祖返り」です。

なるほど先端を触ると痛かったのでした。


歩いていくとやがて神社の境内に入ります。ここからは神社の所有地で入場料が必要となります。


ほどなく現れるのが神池と呼ばれる周囲1kmほどの小さな池が。ここはすぐそばが海であるのにもかかわらず真水で、鯉が泳いでいます。なぜ真水なのか。どこからも水は流れ込んでいないのにいつもだいたい一定の水をたたえている。深さはどれくらいあるのか。
すべて謎だそうです。
そばの案内板には池の「たたり」があるとの恐ろしい説明があり、とても調査をする気にはなれないことが伝わってくるのでした。