婦人科のホルモン治療についての講演会報告です。
東京大学大学院 産婦人科学講座 准教授である平池 修先生の講演の最終回です。 子宮腺筋症は超音波検査でも診断が難しく、後壁子宮腺筋症と深部子宮内膜症 Deep Infiltrating Endometriosis (DIE) の目印に Question mark sign が注目され、仙骨子宮靭帯及び後腹膜の肥厚は子宮頸部後壁の高輝度領域として描出されます。 その時、カラードップラーを
使用すると肥厚部は血流が少ないため確認しやすくなります。 次に最後の症例です。 44歳、1妊1産で配偶者あり。 半年前まで不妊治療歴あり、月経は整。 主症状は月経痛と強度の性交痛。 32歳の時、子宮内膜症と診断され、卵巣嚢胞2cm。 不妊治療時以外は LEP を服用していて、現在は服用なし。 この症例では月経痛と強度の性交痛
を治療するためジエノゲスト Dienogest (DNG) 2 mg/day の投与が必要になります。 疼痛を有する子宮内膜症患者への治療アプローチとしてはホルモン療法 (OC/LEP・プロゲスチン製剤)、無効なら GnRH アゴニスト。 DNG 治療のやめ時をどう考えるかについては東京大学のデータで内服終了後、月経再開群 (n=17) と月経再開なし群 (n=22) との比較
で、エストラジオール E2<17 pg/mL または FSH 100 mIU/mL 以上なら月経は再開せず、E2 20 pg/mL 以上かつ FSH <80 mIU/mL なら月経は再開 (Uehara M. et al 2022)。 機能性及び器質性月経困難症治療の基本戦略は OC/LEP は副作用に注意して 45 才まで、プロゲスチン製剤 DNG 2 mg/day・1 mg/day (10 代と 50 才以降)、GnRH アナログは 6ヶ月以上の長期使用不可なので間歇投与。