婦人科のホルモン治療についての講演会報告です。

東京大学大学院 産婦人科学講座 准教授である平池 修先生の講演の続きです。 月経困難症治療薬の黄体ホルモン製剤は卵巣の機能である排卵を抑制し、子宮内膜や子宮内膜症の細胞の増殖を抑えて疼痛の原因であるプロスタグランジン Pg の産生を抑制します。 即ち、第四世代の黄体ホルモン製剤であるジエノゲスト Dienogest (DNG) は視床下部・下垂体

 

に働いて LH サージを抑え、卵巣での卵胞発育を抑制して排卵を抑え、子宮内膜細胞の増殖を抑えて Pg の産生を抑制し、疼痛を軽減します。 一方、子宮内膜症性卵巣嚢胞の術後再発予防療法の比較をネットワークメタ解析で行うと、デザインは2つのランダム化比較試験と9つのコホート研究が選択され、2394 名の患者が対象で、6種類の術後療法 (待

 

機・LEP・DNG・LNG-IUS・GnRH アゴニスト及びそれらの組み合わせ) が比較対象で、主要評価項目は 24ヶ月後の子宮内膜症性卵巣嚢胞の再発 (1 cm 以上) でみた臨床的有効性です。 その結果、DNG が最も効果的だったのです(Chkj CC et al 2022)。 また、DNG と LEP を直接比較したデータでは DNG は慢性骨盤痛・性交痛・卵巣の内膜症性嚢胞・深部

 

子宮内膜症 DE の病変縮小に改善がみられ、LEP で改善が見られた項目は性交痛・鎮痛薬の使用量・QOL だったのです(Piacenti I et al 2021)。 更に、OC・LEP の骨に対する影響をどのように考えるべきかは OC・LEP ガイドライン (2020 年度版) によれば、1 成人女性の骨質や骨代謝マーカーに影響を与えない (C)、この続きは次回をお楽しみに!