婦人科のホルモン治療についての講演会報告です。

東京大学大学院 産婦人科学講座 准教授である平池 修先生の講演の続きです。 閉経後日本人女性 8 例に塗布製剤 ディビゲル 1 mg の 0.5 g・1.0 g・1.5 g を大腿部の約 20 cm 四方に単回塗布した薬剤のインタビューフォームでは 24 時間以内は血清中 E2 濃度が治療域に達することが分かったのです。 別の塗布製剤 ル・エストロジェルの反復投与試験

 

では平均血清中 E2 濃度 1.25 g で 26.3 pg/mL、1.8 g で 60.8 pg/mL だったのです。 更年期障害治療に必要な血中 E2 濃度は 40~80 pg/mL です。 ホルモン補充療法をする時は患者の平均 E2 濃度をモニタリングすることで治療効果を判定するのに役立ちます。 閉経後 E レベルが低下するのですが、閉経間際に急激に低下することが問題であるという

 

ユ・エストロゲネミア Euestrogenemia 仮説(Turner RJ 2012) についてお話ししましょう。 思春期から性成熟期にかけて E レベルが高まり、その後、更年期を経て閉経期になると E レベルは低下するのですが、治療によりその減少をなだらかにする (tapering) ことで女性の健康を維持できるという考え方です。 突然 E レベルが途絶するのは卵巣癌な

 

どによる両側の卵巣摘出 surgical castration や良性であっても卵巣実質を温存しない手術の場合です。 こうした場合もホルモン治療で女性ホルモンを補充して急激な E レベルの低下を無くすことが重要です。 次に、症例の紹介です。 月経痛 (VAS 値 7) と月経時以外の骨盤痛が主症状の 14 才の女性です。 この続きは次回をお楽しみに!