政治家が信頼回復をあきらめなければ | 川松真一朗の「日に日に新たに!!」

川松真一朗の「日に日に新たに!!」

川松真一朗が日々思い感じた事を記していきます。主に日本政治、ラグビー、相撲。それ以外にも、書きたいことは何でも。東京都議会議員、都議会自民党報道室・事務総長。ジョージタウン大学日米リーダーシップブロクラム修了。

早いもので1月も半分を過ぎました。
中央政界は激震走る展開が連日続いてます。

各派閥解散の報が届き、政治の変化を感じています。


新年に立てた目標の解説記ブログを前回に続いて。
前回)自分が目指す政治家としての未来は?


今日は2つ目として、⑤信頼回復について。

厳しい自民党への風
今、1月になってから新年賀詞交換会などの場で、連日多くの皆様から現在の政治に対する不満、お叱りを頂いているのは事実です。いわゆる派閥の資金問題だけでなく、岸田政権の経済対策など日頃の政治不信などから複合的に厳しいお言葉が寄せられていると感じています。コロナ禍を乗り越えたものの、ウクライナ情勢など世界環境によるエネルギー高や物価高に苦しんでいるというトンネルが抜け出せない中で、突然「派閥の裏金問題」といったタイトルで連日報じられれば、誰もが政治不信になるのは当たり前だとも思います。

この間、橋下徹氏や泉房穂氏のように鋭く批判される方がいて、その言を聞いた人は更に怒りが増長されたり、ウンウンと頷くわけです。とりあえず、当該資金が「政治資金か否か」という議論、「収支報告に記載されているか否か」など様々な観点の議論が混ざり合って、批判されているのも事実で1つ1つの疑念を政治に携わる全ての人間が有権者に向かって発信していかなければならないのではないかと考えています。

そして、政治資金規正法というものへの理解も、国民全体のコンセンサスを得たものではないということもこの数ヶ月の動向を見ていて感じるものです。私は前回のブログでも書きましたが、日本大学法学部で岩井奉信ゼミに在籍していました。岩井教授は「族議員の研究」の著書があるなど「政策決定過程論」が主の専門ですが、メディア出演時は「政治資金」の専門家としてコメントされています。それ故、当然私も恩師の下では、大学卒業後もテレビ朝日の報道に携わる者として、時折、「政治資金」について研究を進めてきました。テレビのコメンテーターらも前提が分からず喋っているなと思うことがあります。その前提とは、当該法律は「規正法」であって「規制法」ではないという点です。

たしかに、各議員事務所等を運営する政治団体の収支報告ですから、企業の決算・税務報告と同様の性質、条件があってもよいのでしょうが、「規正法」の趣旨から「修正報告」が認められています。これが仮に「政治資金規制法」であるならば、より厳罰で、世間の皆様にも共感されやすい処分などがあるのかもしれません。現在、同時進行のような形で「公職選挙法」違反で江東区長選を巡る事件が表面化しています。こちらは明確に禁止事項・罰則事項が規制の中で定められていますから、金額の多寡を問わずに立件起訴へと突き進んでいるのだというのも分かります。

政治改革のラストチャンス
それならば、議員のみならずメディアやコメンテーターも含めて、「政治のあるべき姿」を今こそ批判だけでなく現実に即して、かつ将来発展性のある輪郭線を描く事が出来るラストチャンスなのではないかと考えています。

各評論家は「政治にはお金がかかる」という指摘について、「お金がかからに政治にすべきだ」と述べていました。ほとんどの議員は当てはまるのかなと感じています。ところが、この論理はある種の側面だけを見ていて、多角度的にモノを見えていないのではないかという感じでもあります。

 

「お金がかかるのは次の選挙のため」という人います。たしかに各級議員は選挙という洗礼を受けなければいけないために、これは自民党でも立憲民主党でも共産党でも否定する人はいないだろうと思います。ただ、地元を回る(飲み会綾や盆踊りをハシゴする)だけの議員と、明確に日々の課題を抽出しインプット、政策の進捗をアウトプットする事の繰り返しをする議員とは明確な差があります。

私が議員になった際に、既に現職都議の方や元都議の方が選挙区内に複数いたので、いわゆる地域回りはほぼ不可能でした。先人の縄張りが出来上がっているからこそ、顔を出そうにもお断りの連続でした。そりゃあ、どの地域にも代々応援してきた議員や政党があって、そう簡単には未知の新人に道を開けてくれません。小選挙区制度の下では、衆議院議員候補者は各党1人ですから、同じ党の地方議員が各地域への手引きをしてくれるので、そう難しい事ではありません。でも、私の場合は、初めての立候補が選挙2週間前のタイミングですから、既に自民党の区議達は現職議員の選挙対策組織に半年以上前から入っており、前述のような手引きはほぼゼロです。これは私が当選した後も一緒だったのです。

だとするならば、私が当時やるべきと判断したことは、1人1人丁寧に各人の課題、各業界の課題がある中で、先輩方の網から漏れているモノを後援会の皆さんや青年部のメンバーで拾い上げるということ。すると、意外と課題があるもので、今まで政治とは無縁だった団体や有権者から政策のヒントを頂く事になったのです。むしろ、どのジャンルにしろ、その時点で他の方が着手している課題は、新人の私が追いつくことは出来ませんから、「手垢のついていない」分野を掘り起こしました。そうすると、ただでさえ異質な新人都議・川松は、更に異質な政策課題を掲げ課題を乗り越える事に成功してきたのです。

1つ成功事例が出来ると口コミで、細々とではありますが色んな方を紹介して頂き数珠繋ぎで、私の縄張りが増えることになりました。それでも、2,3年で勝ち得る事は難しく「2期目になれば景色も変わるだろう。とにかく、僕は分かる人には伝わるはずだから、議員としてやるべき事をやり続けよう。」と政策発信に務めました。
 

小池都知事の東京大改革

そうやって、色々と積み重ねている作業の中で、私の将来展望プランが根底から崩れる事態が起こります。

それが2016年小池百合子知事誕生という非常事態を迎える事になりました。それは「東京の自民党は悪だ」という世間の認識にも繋がりました。あれから8年経った今でも、そのレッテルは剥がれていません。

私は当時、週刊誌やネットメディアでボロクソに言われながらも、都議会自民党の正当性を訴え続けました。間違いなく首都東京の政策は内田茂氏を中心にした、ある種リベラルで、ある種破壊的な政策決定が正しいと考えていましたから堂々とメディアに出ていったのです。首都東京のような大きな組織であればあるほど、誰かが腹を括る(裏を返せば泥を被る)場面がなければ政策は進められない事を政治浪人時代から目の当たりにしてきました。そして、私には「内田茂の足跡」と「内田茂の名を騙って事を進めてきた者達の足跡」の2つが存在する事も痛感していたので、尚更、黙ってやり過ごしたら一生後悔すると思ったのです。

小池旋風の勢いに押され離党した者、離党しないもの小池批判的な主張をしない者、表立ってではないものの小池批判をする者など様々な動きがありました。その中でも「豊洲市場移転問題」「五輪会場見直し問題」という2大テーマがあり、論理的根拠を有する自分たちの政策を信じ、発信し続けました。議員になってから、やってきた自分の政策、政治活動に対するスタンスから「捨てる神ばかりじゃない」と実感していたので、とりあえず主張をし続ければ、応援団は広がると考えたのですが、世論は思っていた以上に厳しく「東京の自民党への批判」が多すぎて、都民ファースト旋風を前に次点と103票差となる首の皮一枚だけで生き残った選挙結果でした。

政治の質を求めて
この選挙で60名いた自民党都議が23人に激減するという事態となりましたが、ここで生き残れた事の重みを感じて、更に邁進したのです。更に邁進は決して、ただ地域行事に顔を出すだけでなく、その地域の皆さんの声を聞いては、区政都政の連携の中で、地域課題を乗り越えるという思いから、地域を回るのは数ではなく、質だと決めました。

それ故「政治に金がかかる」と私が考えるのは結果として次の選挙の為かもしれませんが、やはり「政策課題を拾い上げ」「政策を進める」為にはスタッフ(人件費)が必要だと考えています。国会議員であれば公設秘書が3名いるところに、私設秘書が加わります。でも、私たち地方議員はスタッフを揃える場合は、最初から私設秘書を雇わなければいけません。事務連絡をさばくだけでも一苦労、1日にメールやらFAX、資料などが沢山届きます。これを捌くだけでも、相当な作業です。私個人は今も昔も、連日朝から夜までびっしり予定が入っており、そもそも事務所に寄る時間もほとんどないので、事務所宛の郵送物などは最初に触れることは厳しいのが現状です。

当然、同じ議員でもそういった連絡が少ない人、資料も少ない人もいると思います。私は様々な活動をしている事も含めて、その類いが極端に多いので、事務所スタッフは大変だろうと思い、バイトスタッフも含めて感謝しています。そこに、多くの皆さん方から、意見が届きますから、その対応もあるわけです。大体、政治家の事務所に電話かかってくる人は、本当に困っている人だけでなく、ただひたすらに時間をかけてクレームを投げかける方も多いですから、人手は1人でも多いのが本音です。私のもとではフルタイムは1名で、あとはアルバイト、ボランティアのスタッフで支えられていますが、それでも政務活動費ではまかないきれないので、政治資金パーティーを事務所として開催してきました。それでも必要最低限をモットーしており大稼ぎをしているわけでもありません。

でも、どこに行くのもお金がかかるし、ご案内頂いた会合に「会費が負担なので欠席します」と言える政治家もいないですから、現実的には真面目に取り組めば取り組むほど、政治活動に関わる経費が嵩んでしまうのは致し方ないと思っています。私もこのような現状を有権者の皆さんと話すと、やる事やっていて、ちゃんと説明できればいいんだと多くの方に言われます。政治家として動く時の政治資金ですから、私的な問題ではなく公人としての責務だと指摘され続ける日々です。

 

信頼回復の難しさ

つまるところ、信頼回復って、有権者1人1人の感情に委ねるところも多いですから、時に発信、時に行動など、その場面場面で

内容が変わってきますが「とにかくボタンの掛け違えがないよう」にすることだと考えています。友人同士でさえ、ちょっとした事で溝が出来て、中々修復出来なかったりしますから、政治家と有権者に一度できた溝は、元に戻すには相当な苦労が必要です。でも、この作業から逃げたら、政治不信は拭えません。私も自分の仕事の範囲で、責任と権限がある事については、きっちりとしていきたいと考えています。主張があれば、ばんばんしていかないといけない世の中です。

引き続き、皆様、ご指導宜しくお願い致します。