市役所勤務の現役保育コンシェルジュ、ナナです。


少し間があいてしまいましたが、前回からの続きです。お待たせいたしました。

(もうお気付きの方も多いと思いますが、このブログの更新は金曜の夜か、土日または祝日となっています。よろしくお願いします)



今日は「幼児保育の無償化」のうち、幼稚園の預かり保育についてのお話がいよいよ大詰めです。

これまでのブログをまだお読みでない方は、こちらからどうぞお読み下さい。↓↓




さてさて。

今日は、こども家庭庁が作成した「制度早わかり表」の中のこの部分ですね。↓↓



幼稚園(私立も公立も。そして認定こども園の幼稚園区分利用の方も)の利用料は無償化の対象であることはもちろんですが、

預かり保育の利用料も無償化の対象である!

ということです。

(満3歳児クラス利用の場合は、市町によっては対象外であることを前回のブログで書きました)


ただし、ここに書いてあるように様々な制約や上限額が設けられています。


まず、最初の一文。

保育の必要性の認定を受けている場合

ということ。


「保育の必要性の認定」というのは、いわゆる「保育必要事由」があるということです。
「保育必要事由」とは、認可保育園の申込みをする時に必ず求められる「なぜ保育園が必要なのか」という理由ですね。
「子どもにお友達を作ってほしい」とか
「同年代の子ども達と遊んでほしい」とか
そういった理由だけでは保育園は利用できない訳で、「なぜお家で子どもをみることが出来ないのか」という理由です。
具体的には、就労、就学、疾病障がい、家族の介護看護などがあり、それを証明する書類の提出が保育園の申込みには必須となっています。
もちろん、幼稚園の入園に際しては「保育必要事由」は不要です。主婦でも主夫でもOKです。「同年代の子ども達と遊んでほしい」だけでOKです。

幼稚園の預かり保育において、この「保育必要事由」があれば、預かり保育料が無償化の対象になりますよ、というのがこの制度のポイントになります。
ただし、無償化といっても上限額があります。
そのことが、上の早わかり表の中に書いてあるように
月内の預かり保育利用日数に450円を乗じた額と、預かり保育の利用料を比較し、小さい方が月額1.13万円まで無償になります。
ということになります。

つまりは。
例えば、月20日(平日ほぼ毎日という感じでしょうか)預かり保育を利用したとしますと、
450円✕20日=9,000円←これが月内の預かり保育利用日数に450円を乗じた額ですね。

でも、実際には、園の預かり保育料が1日450円で済むとは限りません。預かり保育料の金額設定は園によって全く異ります。
「1日あたり500円」という園でしたら、月20日、預かり保育を利用したら
500円✕20日=10,000円←これが実際にかかる預かり保育の利用料です。

9,000円と10,000円。
小さい方は9,000円です。
小さい方が無償になりますということなので、9,000円が無償化制度でカバーできます。でも、差額の1,000円は保護者さんが払わなければいけません。

1日の預かり保育料が450円、またはそれ以下となっている園でしたら、保護者の負担はないのですがね。

保護者の負担が大きくなるケースもあります。
例えば「1時間300円」というような預かり保育料の金額設定をしている園ですと、1日2時間利用すると1日あたり600円がかかってきます。
そうなると、20日利用したら、
600円✕20日=12,000円←これが実際にかかる預かり保育の利用料です。

でも、450円✕預かり保育の利用日数である20日は9,000円です。

12,000円と9,000円。
小さい方は9,000円ですから、このケースですと無償化になるのは9000円のみで、差額3,000円が保護者負担になります。


無償化の上限額である「月1.13万円」より小さい額であっても、「1日450円」という上限がその前に適用されてしまうんですね。

月あたり26日利用の場合する場合を想定すると、利用日数に450円を乗じた金額は450円✕26日=11,700円となります。「月1.13万円」より大きくなってしまいます。
この無償化制度を目一杯使おうとしたら、利用は
月25日までで、預かり保育の利用料が1日あたり450円までという園なら、保護者負担はゼロで預かり保育が利用OK!
でも、そう上手くはいかないものでして。
多くの方は、無償化制度を使っても、預かり保育を日常的に利用すると、多かれ少なかれ自己負担分は出るようですね。


さてさて。

幼稚園の預かり保育の利用料にも対応した「幼児保育の無償化」。

実は大きな落とし穴があります。

以下は、こども家庭庁の制度早わかり表には書いていないことになります。


幼稚園や認定こども園幼稚園区分利用の場合は、小学校と同じく春休み、夏休み、冬休みという長期休みがあります。

これが、保育園とは決定的に違うところです。

保育園は長期休みは年末年始以外はありません。

幼稚園や認定こども園幼稚園区分には、小学校並みに「8月は丸々夏休み」というところもあります。

そうなると、仕事をしている方は「8月、どうしよう?」となります。実家などに頼れる人は良いのですが、8月の子どもの預け先に頭を悩ませる人は多いです。


ここで「夏休み中も預かり保育があるって聞いてます」と思われる方。


はい。確かに夏休み中も預かり保育を実施している園は多いです。

でもね。知っていますか?

夏休み中は、預ける時間すべてが「預かり保育」なのですよ!

普段のように1日1時間や2時間程度の「預かり保育」ではありません。通常の保育はお休みな訳ですからね、預ける時間=預かり保育の利用時間です。

つまり、預かり保育の利用料がかなりの高額になってきます。

1時間300円というような園ですと、朝9時から夕方5時まで預けると8時間利用で2400円になります。けれど、無償化の制度でカバーできるのは1日あたり450円だけです。給食費などは別にかかってきますから、1日あたり2000円ちょっとかかってきます。週5日勤務でしたら、1週間で1万円以上かかってくるってことです。


「今は幼稚園に行っていても預かり保育があるし、その預かり保育料も無償化の対象なんだって」

と軽〜く聞いていると、後になって驚く事になります。「実家のサポートがある」などの場合は、幼稚園(認定こども園の幼稚園区分利用も含みますよ)でも預かり保育を利用しながらお仕事を続けられると思いますが、そうでない場合は幼稚園だとなかなか厳しいこともあると思います。



はい。「幼稚園の預かり保育編」もいよいよ次回で最終回となります。

今日もややこしいお話を最後までお読みいただいて、ありがとうございました。