― 整っていない ―

 

 

うまれてはじめて、携帯電話を手にしたとき、

 

どんな顔で、箱を開けましたか?

 

 

はじめて自分に電話番号がふられた日。

はじめて電源を入れたとき。

はじめてメールを送った日。

 

 

どんな顔で、その瞬間を生きただろう?

 

 

私がはじめて手にしたのはPHS。

Pメールという半角カタカナ20文字のメールしか送れない。

しかも、1通につき10円かかるという、

いまから考えると、超ハードモードの物体でした。

 

 

私たちの世代は、半角20文字で友情を深め、

半角20文字で恋をして、半角20文字で泣いた。

「一日10通まで。一日10通まで…」と念じながら

何通もやりとりをしてしまい、バイトに明け暮れる毎日。

 

 

しかも、電波が悪すぎて、

送ったはずのメールも送られていないことは日常茶飯事。

 

 

メールが届いてないかな?と

センター問い合わせをしては、一喜一憂して、

笑ったり、泣いたりしたものでした。

 

 

着信音はもちろん、自作。

目をこすりながら音符を一生懸命なぞり、

オリジナルの着信音をならして

それだけで嬉しくなったりもした。

 

 

ご祈祷でもするの?ってくらい

ストラップをじゃらじゃらつけて、

モノクロの世界しか映さないPHSを大事に持っていた。

 

 

PHSから携帯電話に代わり、

小さな小さなインターネットという未知の世界に触れ、

魔法の i らんどで、携帯小説を読み、続きを楽しみにする。

 

 

いまみたいにサクサク動くネットじゃなく、

画像一枚を見るにしても、驚くほど時間がかかるんだ。

それこそ、トイレに行っても大丈夫なくらい。

 

 

それでも、未知の世界がどんどん開かれるのを、

我慢強く、楽しみにしていました。

 

 

かわいいチェーンメールが送られてきて嬉しくなり、

メールで画像が送れるようになって嬉しくなり、

単音が3和音になって嬉しくなり、

モノクロの画面がカラーになって嬉しくなり、

携帯で写真が撮れるようになって嬉しくなり、

デコりまくって嬉しくなり、

赤外線で番号を交換して嬉しくなり、

携帯でTVが見れて嬉しくなり……。

 

 

電波が弱くて不便なのに、

料金が高くて不便なのに、

機種変をしたら電話番号全部手打ちで不便なのに、

読み込みに時間がかかって不便なのに、

いまだったらクレーム殺到なくらい不便なのに、

 

 

なのに、

 

 

なのに……

 

 

 

整ってない時間、

楽しかったよね!

 

 

 

整ってない状態って、最高に楽しいんだ。

私は整っていない状態が好き。

それをちょっとでも面白くしていくのが好き。

 

 

整ってないものを見ると、嬉しくなる。

「ここは面白くなるぞ」って。

 

 

整っていない島。

整っていない土地。

整っていない業界。

整っていない企画。

 

 

これが大好き。

これから、面白くなるもの。

 

 

RPGでも、パーティーも装備品も整ってないから面白い。

サッカーゲームでも、メンバーが整ってないから面白い。

(バーチャットとカストロ頼み!)

整ってないってことは、これから面白くなるってこと。

 

 

 

さて

 

 

才能がない、魅力がない、知識がない、

お金がない、時間がない、技術がない。

いろんな整ってないことがあるけれど……。

 

 

それが、いちばん

面白いところ。

 

 

整ってないことを、

思わず嘆いてしまうけれど、

できない理由にしてしまうけれど、

違うんだ。

 

 

それが、いちばん

面白いところ。

 

 

整ってないものを見つけたらさ、

 

 

嘆くものじゃないよ。

 

 

はじめて、携帯電話を手にしたときの顔を思い出すんだ。

 

 

箱をあけて、電源ボタンを押した時の顔を思い出すんだ。

 

 

整っていないことが面白いって、

私たちは知ってるんだから。

 

 

 

 

 

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