※この物語はスーパーフィクションです。
『そんな夢みたいな事言うのもいいかげん大人なんだからやめたら？』
毎日、この言葉を口癖のように私に言ってくるのはエリート上司エリカ
これは仕事後、いつも付き合わされる、おでん屋での風景だ
この日も一段とエリカの説教節は止まらなかった
『モデルになりたいって何よ。
その顔じゃせいぜい雑誌の広告ページにあるダイエットモデルじゃない？
もうちょっと現実を見た方がいいわ』
いつもよりも酒がすすみ、上司エリカの口調も今日は一段と激しい。
私は返す言葉もなく、ただ、ずっとやりたかったモデルをやりたいと
相談したのだが、明らかに相談する相手を間違えたようだ。
『あんね。アナタが超絶綺麗でスタイルもいいのだったら応援するかも知れないわ
でも…』
エリカは私を上から下まで、馬鹿にするような目で見てきた。
『あんた、この前も雑誌に応募してたらしいじゃない。
当然落ちたんでしょ？モデル舐めないほうがいいわ』
「…好きなんです。…やってみたいんです。」
『あんね。それだけでやっていけるんなら皆大成功するの。
世の中には不公平なものがあるのよ。』
「私、人前に出るのが怖くって…
でも本当は人前に出たいんだって気付いたんです」
『そう。勝手になさい。辞表用意しときなさいよ！』
そう言いながら、エリカは１万円をテーブルに激しく置いておでん屋を出て行った。
「現実を…見ろ。か。。。
おじさん。現実ってなんなんだろうね。」
おでん屋の大将は不思議な雰囲気をもったおじいさんだ。
実はこうして会話をするのは初めての機会
『ふむ。現実な。さっき出て行ったアンタの上司いるじゃろう？
彼女は実はずっとモデルをやっていたんじゃよ』
「エリカさんが！？」
『そうじゃ。よくここで愚痴っとったわい。
周りのライバル達が売れていくのを横目に彼女はストレスで
プクプク太っていったわい。わしのおでんのせいじゃないぞ』
「そんな話、聞いた事なかった。
それであんなに怒ったんだ。。。
でもそうなら、応援してくれてもよくない？」
『そうじゃな。本当は応援したいのかも知れんし、自分のような気持ちにさせたくないのかも知れん
ただ、彼女が言ってる事も一理あるんじゃぞ。
夢を追う事はすばらしい事じゃろう。諦めないという事も大切じゃろう。
しかし。あんたはそう言う事を履き違えておる』
「…どういう。ことですか？」
『夢を追う事、諦めないという事を、現状の引き延ばしの為に使っておる
今を引き延ばすのが諦めないという事ではないんじゃ。
現状を変えていく事。それが夢を追う事であり、諦めないという事なんじゃ』
ーー現状の引き延ばしの為に使うもんじゃない…
「でも…それを変えていこうとしてるから、こうして夢を打ち明けたし…
仕事だって辞めようと思った…」
『甘いのぅ。そうして背水の陣をしいてる自分に酔ってる所が危険だって
さっきの…エリカちゃんだっけか。それを判断したんじゃろうなぁ
少なくとも、見た目も中身も現状から変えていってみぃ。
口ばっかりいくら動かそうとも現実なんて変わらんわい。』
おじさんはがんもをひたすらつつきながら
優しい笑顔で力強い言葉を私にくれた
「おじさん…確かに、私は甘い。甘いからこそ辛かった。
だから変わりたい。変わろうと思う！」
『なら、進化する事じゃな。』
フラフラと虫が私とおじさんの間を飛び回る。
『ほら。今こうして話してる時も、虫に気を取られるじゃろう？
人は止まってるものに興味がわかないようになってるんじゃ。
そして小さくても、弱くても、変則的に動くものに興味がわくんじゃ』
「…んーーー。ちょっとわかんない。どういう事？」
『どれだけ偉くて凄い人でもな、止まった時点で誰も興味がわかなくなるんじゃ
それならば小さな力小さな体でも、進化していく人に興味がわくんじゃよ。
上がったり下がったりしてな。
そうやって変則的でも自分で進化していくものを応援したくなるんじゃ』
おじさんはがんもをつつき過ぎてがんもが崩れてしまった事に
泣きそうになりながら、進化の話をしてくれた。
「そうか…
少なくとも、今の会社の人達の興味を引くくらい進化してみよう！
おじさん！ありがとう！ごちそうさま！」
『そうかそうか。また話にくるんじゃぞ。じゃあな！』
「…いや。おつり。」
『…う。…うん。』
つづく
ステージ２へ＞＞
ーーー次回ステージ２ーーー
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『そんな夢みたいな事言うのもいいかげん大人なんだからやめたら？』
毎日、この言葉を口癖のように私に言ってくるのはエリート上司エリカ
これは仕事後、いつも付き合わされる、おでん屋での風景だ
この日も一段とエリカの説教節は止まらなかった
『モデルになりたいって何よ。
その顔じゃせいぜい雑誌の広告ページにあるダイエットモデルじゃない？
もうちょっと現実を見た方がいいわ』
いつもよりも酒がすすみ、上司エリカの口調も今日は一段と激しい。
私は返す言葉もなく、ただ、ずっとやりたかったモデルをやりたいと
相談したのだが、明らかに相談する相手を間違えたようだ。
『あんね。アナタが超絶綺麗でスタイルもいいのだったら応援するかも知れないわ
でも…』
エリカは私を上から下まで、馬鹿にするような目で見てきた。
『あんた、この前も雑誌に応募してたらしいじゃない。
当然落ちたんでしょ？モデル舐めないほうがいいわ』
「…好きなんです。…やってみたいんです。」
『あんね。それだけでやっていけるんなら皆大成功するの。
世の中には不公平なものがあるのよ。』
「私、人前に出るのが怖くって…
でも本当は人前に出たいんだって気付いたんです」
『そう。勝手になさい。辞表用意しときなさいよ！』
そう言いながら、エリカは１万円をテーブルに激しく置いておでん屋を出て行った。
「現実を…見ろ。か。。。
おじさん。現実ってなんなんだろうね。」
おでん屋の大将は不思議な雰囲気をもったおじいさんだ。
実はこうして会話をするのは初めての機会
『ふむ。現実な。さっき出て行ったアンタの上司いるじゃろう？
彼女は実はずっとモデルをやっていたんじゃよ』
「エリカさんが！？」
『そうじゃ。よくここで愚痴っとったわい。
周りのライバル達が売れていくのを横目に彼女はストレスで
プクプク太っていったわい。わしのおでんのせいじゃないぞ』
「そんな話、聞いた事なかった。
それであんなに怒ったんだ。。。
でもそうなら、応援してくれてもよくない？」
『そうじゃな。本当は応援したいのかも知れんし、自分のような気持ちにさせたくないのかも知れん
ただ、彼女が言ってる事も一理あるんじゃぞ。
夢を追う事はすばらしい事じゃろう。諦めないという事も大切じゃろう。
しかし。あんたはそう言う事を履き違えておる』
「…どういう。ことですか？」
『夢を追う事、諦めないという事を、現状の引き延ばしの為に使っておる
今を引き延ばすのが諦めないという事ではないんじゃ。
現状を変えていく事。それが夢を追う事であり、諦めないという事なんじゃ』
ーー現状の引き延ばしの為に使うもんじゃない…
「でも…それを変えていこうとしてるから、こうして夢を打ち明けたし…
仕事だって辞めようと思った…」
『甘いのぅ。そうして背水の陣をしいてる自分に酔ってる所が危険だって
さっきの…エリカちゃんだっけか。それを判断したんじゃろうなぁ
少なくとも、見た目も中身も現状から変えていってみぃ。
口ばっかりいくら動かそうとも現実なんて変わらんわい。』
おじさんはがんもをひたすらつつきながら
優しい笑顔で力強い言葉を私にくれた
「おじさん…確かに、私は甘い。甘いからこそ辛かった。
だから変わりたい。変わろうと思う！」
『なら、進化する事じゃな。』
フラフラと虫が私とおじさんの間を飛び回る。
『ほら。今こうして話してる時も、虫に気を取られるじゃろう？
人は止まってるものに興味がわかないようになってるんじゃ。
そして小さくても、弱くても、変則的に動くものに興味がわくんじゃ』
「…んーーー。ちょっとわかんない。どういう事？」
『どれだけ偉くて凄い人でもな、止まった時点で誰も興味がわかなくなるんじゃ
それならば小さな力小さな体でも、進化していく人に興味がわくんじゃよ。
上がったり下がったりしてな。
そうやって変則的でも自分で進化していくものを応援したくなるんじゃ』
おじさんはがんもをつつき過ぎてがんもが崩れてしまった事に
泣きそうになりながら、進化の話をしてくれた。
「そうか…
少なくとも、今の会社の人達の興味を引くくらい進化してみよう！
おじさん！ありがとう！ごちそうさま！」
『そうかそうか。また話にくるんじゃぞ。じゃあな！』
「…いや。おつり。」
『…う。…うん。』
つづく
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