山の上の怪 | 梨沙子は静かに愛でるもの

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~梨沙子という天使に出会えた幸せに日々感謝するブログ~

お盆なのでちょっと怖い話なんぞをひとつ。

今から15年前ぐらいだったでしょうか。
自分は研修でつくばまで行かなくちゃならなくなって
朝早くから車を走らせてつくばへ向かっていたんです。

つくばまでは車で大体2時間弱ぐらいなんですが
カーナビなんて持ってないですし
道も全然詳しくないので
自分はあらかじめネットで道順を調べておいて
要所要所の曲がらなきゃいけない地点だけプリントして
それを頼りに運転していました。

自分は周辺のお店等を頼りにして
ここは左だなここは右だなという風に運転していて
大体1時間ぐらい経った頃でしょうか。

地図では全然気付かなかったんですが
ネットで調べたルートというのがものすごい山道を登っていく最短ルートになっていて
道はどんどん狭くなり
周りは木々に囲まれて
終いには道路も舗装されてなくて車がやっと1台通れる位の山道を
引き返そうかどうかずっと悩みながら登って行きました。

すると急に見晴らしのいい山頂に出て
そこは平らになっており
その先にはながーい橋がかかっていて
そこには高速道路のインターチェンジのように
小さいボックスの建物の中に係りの人だと思われるおじさんが座っていました。

自分は「良かったー」と思ってちょっと離れた場所に車を停めて
プリントした地図を持ってそのおじさんがいる小屋の中に近付き
「あのーすいません、ここに行きたいんですけど道はここであってるんですかねー?
いやー道に迷っちゃってー」
と地図を差し出しながら
その小屋の中に一歩足を踏み入れた瞬間に
「入るなっ!」と急に怒鳴られて
「えっ?」と驚いて足を引っ込めたら
おじさんが地図を取って
「あー今ここだからブツブツ」って地図見ながらなんか言ってるんです。
それで自分はまた
「今、たぶんここらだと思うんですよねー」と言いながら
地図の部分を指差そうと
小屋の中に一歩足を踏み入れようとしたら
また「近づくなっ!」ってものすごい勢いで怒鳴られて

なんか自分も別にまったく強盗とかする気なんてないのにそんなに怒鳴られて機嫌が悪くなっちゃって
「あー分かりました。いいです。どうせここ下りてけばどっかに着くと思うのでとりあえず下りてみます。ありがとうございました」
って言って地図返してもらって
車に戻って山を下りて行って
しばらく運転していたら舗装された道路になってきて
そこから少し運転したらすぐに他の車も現れてつくばまで無事に着くことが出来ました。

この話、自分の中ではずっと不愛想なおっさんが
山の上の橋の見張りを1人でやってるから異常に警戒心が強くなってると思ってたんですけど
最近、ふと不思議に感じたのが
あんな舗装もされてない山の上のてっぺんの橋なんか誰が利用するのかという事なんですよね。
仮に橋があったとしてもそれなら山の道が舗装されてる筈ですよね。
あのおじさんの異常な怒鳴り方といい
もしかしたら、自分はあの時この世とあの世を結ぶ橋に辿り着いてしまったのではないかと少し思っています。