イチローが日米通算安打の新記録を打ち立てた。15日のゲームの第5打席で右翼線二塁打を放ち、4257本(日本1278本、米国2979本)とし、ピート・ローズの持つ大リーグ歴代最多4256安打を抜いた(写真)。


イチローの日米通算安打記録達成


「マイナーの安打数を加えれば俺が上」、「日本は低レベル」……
 ただ残念なこともある。いよいよ安打数を抜かれそうになった13日までに、ピート・ローズは、イチローの偉業を貶すようなコメントをしたようなのだ。
 いわく「プロでの通算安打というなら、俺がマイナーで打った427本を記録に加えるべきではないか」。さらに「イチローの高校時代のヒットまで合計しようとしているようだ。日本のプロ野球は、メジャーのレベルにない」、そして大リーグで全く活躍のないタフィー・ローズが日本で一時は王選手と並ぶ55本の日本記録を達成したことまで挙げている。
 元スポーツマンとして、この態度はちょっといただけない。


アベレージヒッターにはメジャーも関係ない
 確かに日本プロ野球は、大リーグに比べればレベルは低い。それが顕著なのは、パワーがものを言う本塁打である。しかしイチローのように単打中心のアベレージヒッターには、メジャーも日本も、ほとんど関係はない。
 日本での安打数が、「レベルの低い」日本で下駄を履かされた数字でないことは、イチローのメジャーでの実績で証明されている
 例えば、2004年の年間262本のシーズン最多安打を打った。誰でも知る、ジョージ・シスラーの記録を84年ぶり更新した新記録だが、日本のシーズン最多安打は、オリックス時代の1994年の210本だった。メジャーでこの数字をも伸ばしたのだから、「レベルが低い」は当たらない。ちなみに当時の日本は試合数は130試合で、メジャーよりも30試合以上も少ない。


メジャーの方が30試合も多い=メジャーこそ下駄
 さらに10年連続200安打以上(2001年~2010年)も達成している。ローズ言うところの「レベルの低い」国から来たアベレージヒッターは、メジャー超一流の成績を挙げ続けているのだ。
 メジャーでも、2度も首位打者になっている(2004年=.372、2001年=.350)。
 先にも述べたが、メジャーの方が30試合前後も多い。メジャーの方こそ、下駄を履かれされている。だから俊足のイチローが最初からメジャーで活躍していたら、もっと早く記録を達成していたろう。そして逆に、ローズが日本でプレーしていたら、3500本安打がやっとではなかったか。


こだわりの強いことは分かるが
 ちなみにローズの晩年は、みにくかった。
 84年、エクスポズに移籍して、史上2人目となる通算4000本安打を達成したが、85年に45歳で選手兼監督として古巣のレッズに復帰すると、自らの名前をオーダー表に書き続けて、安打を稼いだ。それでも寄る年波に勝てず、119試合出場、405打数107安打と、平凡な記録で終わった。
 それだけに生涯通算安打数にはひときわこだわりが強いのだろう。それは、よく理解できる。しかしだからと言って、イチローを批判するのはいかがなものか。
 なおイチローについては、09年6月3日付日記:「マリナーズのイチロー、連続試合安打記録のすごさとディマジオの奇跡:高橋慶彦」http://ameblo.jp/kawai-n1/entry-10273158876.html も参照されたい。


昨年の今日の日記:「バルト3国紀行21:ラトヴィア首都リガの旧市街へ;追記 トヨタ新型株、総会で可決」