日本の農政全般を担っているのは農林水産省です。本省は千代田区霞が関にありますが、全国の道府県に農政局動物検疫所、植物検疫所があります。また、所管する機関に家畜改良センター動物衛生研究所があります。動物検疫所、植物検疫所は空港、港にあります。

 

農政局家畜改良センター動物衛生研究所の所在地を日本地図に書き込んでみました。

 

 

中国・四国地域では、中国四国農政局が岡山市にあります。鳥取県には、家畜改良センター鳥取牧場があります。

 

近畿地域では、近畿農政局が京都市にあります。兵庫県には家畜改良センター兵庫牧場があります。京都産業大学鳥インフルエンザ研究センターを中核として、鳥取大学との共同研究の実績があります。

 

つくば市にある動物衛生研究所には動物衛生高度研究施設があり、牛、豚などの大動物も扱える BSL3施設があります。また北海道と鹿児島県に支所があります。

http://www.naro.affrc.go.jp/niah/contents/koudo/outline/index.html

 

図の右下にある「公益財団法人実験動物中央研究所」は川崎市にあります。医学部では動物実験が必須ですが、実験動物飼育施設を管理運営しています。ライフサイエンス研究では必要不可欠です。

 

長期的に見れば、「空白地域」の四国という選択肢はあるのでしょう。一方で、日本の畜産振興を考えれば、乳牛の飼養頭数が日本一の北海道、肉用牛、豚、ブロイラーの飼養頭数が一番多い九州地域が外せません。また、ライフサイエンス研究では、関東地域と近畿地域が競っています

 

岡山理科大学獣医学部が後世の歴史で評価されるには、今から1、2年が重要です。教育ビジネスで獣医学部が作れるとは思えません。政治力と地元自治体の熱意で「ハコモノ」を作っても、人材は育てられません。

 

厳しい見方をしていますが、残念ながら岡山理科大学獣医学部のHPには「教員・研究紹介」がアップされていません(5月20日現在)。したがって、評価のしようがありません。このままでは、「絵のない額縁」状態です。

(4PM、追記)

麻布大学の平成28年度の決算資料では、人件費が約32億円、教育研究経費が約27億円の決算でした。その他、管理経費が約7億円で、約65億円の支出でした。収入は学生生徒等の納付金が約52億円で太宗を占めていました。

https://www.azabu-u.ac.jp/about/files/28_jigyoukatudou.pdf

麻布大学は2学部4学科で大学院があるので、1学部2学科の岡山理科大学獣医学部はより少なくても済むのでしょう。また、最初の1、2年は教員が揃いませんが、初年度でも数億円はかかるでしょう。私は個人的には、地域貢献のためにも附属動物病院を開設するのが良いと考えています。

私立大学獣医学部/獣医学科(9)(9月9日)

 

(21日)

畜産関係ではありませんが、動物衛生研究所と同じく農研機構に所属する西日本農業研究センターの本所は広島県福山市にあり、支所が香川県にあります。上の日本地図と合わせると、農林水産省は中国地域と四国地域を一つと考えているようです。

 

(前のブログ)

岡山理科大学と京都産業大学(3)(5月19日)

岡山理科大学と京都産業大学(2)(5月18日)

私立大学獣医学部/獣医学科(9)(9月9日)