55歳の誕生日を迎え、わたしの周りに奇跡的な巡り合わせが、わいている。
文字通り、わいているという勢いで起こるので、もう出かけないほうが心がバクバクしないで平和になるかもと思うぐらい。
まず最初の奇跡。
夫と乗っていた電車の中で、とある駅から友人夫妻のYさん&Sさんが乗ってきて目の前の席に座った。「え〜なんて偶然!」って4人で大笑いした。
いつもは彼らは電車の前の方に乗るし、わたし達は途中から分岐するもう一方の電車に乗るのに、ともかくこれに乗って分岐点まで行こう、とその電車に乗ったのだ。
この二つがいつもの行動パターンに基づくものなら、会わなかった。
そして次の奇跡。
その2週間後くらいにパリで、ストップオーバーして落ち合った友人Yとおかずクレープを食べ終わって会計を済ませていた頃に、開け放たれた窓の外の道から「まりさん?」と声が聞こえた。
なんとロンドン時代からのパリ在住の友人Cちゃんが、仕事を終えての帰り道だったのだ。確かにこの時期にパリ行くのよとは言っていたけど、今回はお仕事も忙しそうで会う予定にはしていなかった。それでもこの広いパリで、偶然に会えるなんて!わたしが見えにくい席に座っていれば、彼女から見えることはなかった。
そしてその次の奇跡。
このクレープ後の奇跡の後に、実はお気に入りのサングラスを紛失した。場所はおそらくオルセー美術館、Yが階上の展示を見てくると言いわたしは地上階のインフォメーション近くで座って、地図の確認やこの後のお店の見当などをつけていた。彼女が降りてきたので立ち上がって声をかけて一緒にその場を離れたのだが、手元にサングラスがないと気づいたのは、もう地下鉄の乗り場に降りていく途中だった。
失くしたものは自分に起こる悪いことの身代わり、と祖母に言われて育ったわたしは、自分にそう言い聞かせながらも、気に入っていた思い出たくさんのサングラスが失くなったことに、やっぱり心痛を覚えていた。
そして翌月別の友人IちゃんNちゃんとパリを訪れ、自由時間になった時にオルセー美術館へ行き、がっかりしないように美術館をしっかり堪能した後で、落とし物コーナーを訪れて尋ねてみた。日にちも時間も正確に、自分がそのサングラスをつけている写真も見せて説明した。すると電話でどこかへそのことを問い合わせたお姉さんが、ちょっと待っててと別の場所に5-10分ほど離れて戻ってきた。
なんとわたしのサングラスが、帰ってきたのである!
フランスの物品管理を侮っていました!ごめんなさい!そしてありがとう!
お姉さんは、「あなたはとてもラッキーだわ、もう失くしちゃダメよ。」とウインクした。
信じられないけど、本当に戻ってきた。
興奮を心にためていると、次の奇跡が近づいてきていた。
その前日に、前述のCちゃんとこれは前から約束してお茶に行った。先月は偶然凄かったね〜とか喋り、今一緒にパリへ来た友人達の話をして、写真を見せたりしていた。写真を2度見3度見していたCちゃん。そのCちゃんからメッセージが来て、Nちゃんってどこの出身?とのこと。もしかしたら知ってる人かもしれないと言うのだ。
Nちゃんに確認すると、なんと小学校も中学校も同じ名前、クラブ活動までビンゴであった。
これはご本人さんよ、ということで、結局数日後に落ち合うことになり、時を超えたミニ同窓会になった。
こんなことってあるんだね、と胸が熱かった。
生きてて嬉しかったことの上位に入ることの一つになった。
ここまでドミノ効果であるなんて、と最初のご夫妻に話すと、「宝くじを買った方がいい、きっと当たる」とかいうSさん。いや〜もう人生の運は、これで使い切ったような気がするよ、と買ってないが、もしかしてもう一個何かあれば、もう考えるより行動なのかもしれないなぁと思ったりする。