ファンタスティック デリバーのノベルのべる、続いて二本目は、
「ドッグシェア」
原作 瀬尾まいこ
(集英社文庫刊『おしまいのデート』所収 )
バツイチの女性と若い男子学生が、捨て犬を介して交流するお話。
演出は朝川流夢。
こちらも久保が演じたキャラをずらっと。
⑥仲人、通称・タキシード仮面
結婚式のシーンで、新郎役の首から下に、紙に張り付けたタキシードをぶら下げる男。
⑦黄色いイケメン
ごめんなさい、そういう演出なんです。
⑧蝉
3匹の蝉のうち、唯一木から落ち、死んだかと思ったら急に飛び立つ、いわゆるセミファイナル。
本当に死んでいる蝉は6本の足が閉じていて、生きているのは開いているんですよ、豆知識。
⑨遠吠えする犬
袖中で吠えるので、久保だと気付いた方は勝手に久保ファン認定。
⑩ビスコマン
おそらく長い演劇の歴史の中で、ビスコを演じた役者は私だけでしょう。
⑪月マン
久保のムーンウォークがいい具合に微妙な出来だったため、そこを買われて私の役に決まりました。
だから、いいんです、微妙で!
そういう仕様なんです!
そして、そのラストシーン、満月のためだけに照明を吊っていただきました。
贅沢!
その明かりが当たる場所に、ムーンウォークもどきをしながらピンポイントで月を掲げる。
袖中で演出・朝川が睨んでいる中、何とか外すことなく終えることができました。
⑫アルティメットフォーム
ビスコマンと月マンが融合したフォームです。
↑月マンの月と、ビスコマンのビスコマンポシェット
最初にビスコマンが登場したとき、胸に大きなMの文字。
疑問に思われた方もいらっしゃったようで。
ある日黒田くんが稽古場に着てきたセーターです。
ムーンのM!黄色いし!
とその場で衣装が決まりました。
それにしても、お芝居で月の役って、学芸会のド脇役のイメージしかありませんよね。
それがこの作品では思いの外重要な役になっていました。
ましてやいい雰囲気のラストシーンにまでムーンウォークもどきで登場し、あまつさえナレーター二人と一緒に礼をすることになるとは。
お客様の皆さんはどう思われたんでしょうか。
という訳で、全12キャラ、そりゃ忙しいはずですな。
久保がやった役以外にも、餃子マン、エビチリマン、胡麻団子マン、貼り紙マン、コーラマン、摩天楼マン…よその劇団ではなかなか観られない役の数々。
過去のノベルのべるでもそうでしたが、朝川演出は常に常識の枠をはみ出してきます。
敢えて言いましょう。
朝川流夢はいい意味で頭がおかしい。
誉め言葉です、くれぐれも誤解のなきよう。
ファンタスティックデリバーは10周年。
そのうち5回の客演で、様々な作品、様々な役、様々な人々と出会いました。
その中で紡がれた思い出のすべてが私の宝物です。
いずれまた、素敵なメンバーと素敵な舞台を作り上げていければいいなあ。
さて、息つく暇もなく、次のプロジェクトが間もなく始動します。
これが役者の幸せというものか!