勝又壽良の経済時評
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2018-12-12 05:00:00

中国、「華為」副会長逮捕でカナダ政府へ「モンスターペアレント」

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中国政府は、今回のファーウェイ副会長のカナダでの逮捕に強烈な反発をしている。この抗議発言が、暴力団まがいのもので驚くのだ。いくら感情的に昂ぶっているとしても、もう少し冷静に振る舞えないのだろうか。

 

ファーウェイ副会長は、10代の息子が米国ボストンの学校へ通っている。だが、2017年以来、米国へ渡航していないのだ。また、ファーウェイの最高幹部も、同様に米国行きを避けてきた。米国によるファーウェイの違法行為捜査を察知して、米国への渡航を回避したものと見られる。母親が、息子に会うべく米国へ渡らないのは不自然であろう。もっとも、バンクーバーに自宅を2軒持っているので、子どもを呼び寄せたと、いう理由は成り立つ。だが、まだ幼年である息子の生活環境が気にならないのか。普通の「母親像」とは異なるようである。

 

『日本経済新聞』(12月10日付)は、「拘束続ければ重大な結果、中国、カナダに抗議 
ファーウェイ問題 副会長の釈放要求」と題する記事を掲載した。

 

(1)「カナダが米国の要請に基づいて中国・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕したことをめぐり、中国がカナダ批判を強めている。中国外務省の楽玉成次官は8日、駐中国カナダ大使を呼んで孟氏の即時釈放を要求。正当な権利が守られなければ『重大な結果を生み、すべての責任はカナダが負わなければならない』と警告した。楽氏はブランスタド駐中国米大使も9日呼び出し、孟氏の逮捕をカナダに要請したことに『強烈な抗議』を申し入れた」

 

中国政府要人が、逮捕されたような大仰な振る舞いである。世界一の通信機メーカーの幹部といえども、孟晩舟氏は民間人である。ファーウェイが事実上、中国政府の別働隊として動いていたことを図らずも立証した騒ぎである。「重大な結果を生み、すべての責任はカナダが負わなければならない」と凄んでいる。いま少し、冷静な言動はできないのだろうか。

 

(2)「共産党機関紙の人民日報は9日付で、孟氏の罪が確定していないのにカナダ当局が『手錠をかけ、足かせをつけた』と指摘。『過ちを正し、中国国民の権利侵害を直ちに止めなければ、重い代償を払うことになる』と強調した。国営新華社通信も孟氏の扱いを『大きな侮辱であり人格無視だ』とした。『カナダの法律に違反していないのに、米国の一方的な主張を聞いて拘束したことは法にも理にも情にもかなわない。カナダ当局に口出しの権利はない』と主張した。新華社はトルドー首相が逮捕を事前に知っていたと認めた点も『中国側に知らせることなく、中国人の感情を傷つけた』と指摘、即時に釈放しなければ『深刻な結果をもたらし、カナダがその全ての責任を負うことになる』と断じた」

 

カナダ政府が、ファーウェイ副会長を逮捕したのは、米加両国による犯罪引き渡し条約に基づくもの。ただ、カナダで単純に逮捕して米国へ引き渡すものではない。カナダは、米国から提示された証拠に基づき、勾留の可否を判断する立場である。こういう法的な手続きを行なっているカナダに対して、威嚇・脅迫する「暴力団」のごとき言動は、厳に慎むべきだろう。中国という国家の未成熟さを痛切に感じさせられる。

 

中国は、ファーウェイ副会長の逮捕で沸騰している。カナダ政府への威嚇は、まさに「モンスターペアレント」そのものである。この言葉は、親が自分の子どもについて、学校や教育委員会へ執拗な苦情や要求を出すという意味の「和製英語」である。

 

中国では、この「モンスターペアレント」に似た行動が大きな問題になっている。子どもも親も、傍若無人の振る舞いをするのだ。中国政府も同じことをやっている。APEC(アジア太平洋経済協力会議)では、自国の主張を共同声明に入れさせるべくねばって、ついに声明が出せずに終わった。そして、今回のファーウェイ問題。モンスターペアレントよろしく、カナダ政府を威嚇している。

 

『サーチナ』(12月11日付け)は、「中国にはなぜ『モンスターペアレント』など周囲を顧みない人が多いのか」と題する記事を掲載した。

 

(3)「中国メディア『今日頭条』(12月4日付)は、中国の公共交通機関で見られる『一部の乗客の理解できない行動』について、『彼らの周囲を顧みない行動は一体何が原因なのか』と嘆く記事を掲載した。記事は、中国社会に大きな衝撃を与えた路線バスの転落事故に触れ、『走行中のバスが橋から川へ転落し、幼児を含む13人の死者が出たが、その原因が運転手と乗客の喧嘩であったことは社会に大きな衝撃を与えた』と指摘。その喧嘩も『乗客がバス停ではない場所での下車を要求し、それを運転手が拒否したこと』が原因であり、これによって運転手はハンドル操作を誤り、バスは川に転落したのだった」

中国社会は、政府を含めて「唯我独尊」的な振る舞いが極めて多く、顰蹙(ひんしゅく)を買っている。この原因は、欧米に共通の「市民社会」の経験がなく、自己と他人の認識が不明瞭であるからだ。人間の価値基準は、保有財産の多寡にあるという極端な慣行がある。中国がGDPで世界2位になって、途端に威張り散らし始めた裏には、こういう「財貨万能」という考えがある。だから、金持ちにはへつらい、貧しい人には横柄になるのだ。

 

欧米の市民社会では、個人の独立を認め合い、相互扶助精神が行き渡っている。これが、権力からの圧迫を跳ね返す原動力になった。過去と断絶する「真の革命」が実現した背景である。中国は、過去と断絶できず専制政治の殻が今もついている。個の認識=他者への尊敬の念がない。モンスターペアレントが発生する理由であろう。個人も政府も、相手を尊重する気持ちがないので、いつも軋轢を生んでいる。

 

(4)「続けて、『こうしたことは中国では決して珍しいことではない』と主張し、公共の乗り物で子どもや親が周囲を顧みずに迷惑をかける行動は普通に見られると紹介、乗務員が注意しても効果がなく、頭を抱えているのが現状だと指摘した。では、こうした『周囲を顧みない行動の原因』は一体何が原因なのだろうか。記事はまず、『私的な空間と公共の場の境界が付かなくなっている』人が多いこと、また、『自分が被るデメリットが不確かな場合や明確な罰則がない場合は聞く耳を持たない人が多い』と指摘。他にも、『体制の取り決めに従うことに慣れ、自分で判断して行動できない人が多い』という要因も挙げた」

このパラグラフでの指摘は、その通りである。

① 私的な空間と公共の場の境界が付かなくなっている人とは、自己と他者の境界線が不明確であることを指す。こういう振る舞いをすれば、相手がどう思うか。その配慮がないのだ。

② 自分が被るデメリットが不確かな場合や、明確な罰則がない場合は聞く耳を持たない人が多いとは、ルール(社会規範)を守ることが、お互いにメリットになるとの認識欠如である。行列を破って自分が利益を得たと思っても、相手が同じことやれば損害を被る。ルールは、社会全員が利益を平等に受けられる「知恵」である。

③ 体制の取り決めに従うことに慣れ、自分で判断して行動できない人が多いとは、中国に市民社会の歴史のないことの証明である。自分たちのことは、自分たちで決められない。これが、個人の自覚を奪っている。

 

中国は、政府も個人も民主主義の欠如がもたらす坩堝の中にいる。習近平氏は、「中華再興」でなく、中国人一人一人が自由に自らの人生を決められる。そういう社会をつくることが先決だろう。習氏は、中国最大の「モンスターペアレント」だ。

 

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2018-12-11 05:00:00

中国、「景気変調」11月卸売物価上昇率はほぼ「2年前の水準」

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物価は景気の体温計である。物価が上がるときは需要過多。下がるときは供給過多という単純なシグナルである。もっとも、商品投機が起るケースもあるから、ケースバイケースで判定するほかない。11月の卸売物価上昇率は、前年同月比2.7%上昇に止まった。これは、警戒信号である。

 

中国経済は、不動産バブルに伴う金融過程が崩壊に向かって動き出している。信用収縮がそれである。これが、商品相場にも反映しているはずで、在庫整理で投げ売りに出ている可能性も強い。肝心の経済情報が、中国政府によって遮断されているので詳細を掴みにくい。しかし、卸売物価を隠す訳にいかず、ここから中国経済の崩れつつある姿を見ることにしたい。

 

今年1月以来の卸売物価上昇率を見ておきたい。前年同月比である。

1月  4.3%

2月  3.7%

3月  3.1%

4月  3.4%

5月  3.4%

6月  4.7%

7月  4.6%

8月  4.1%

9月  3.6%

10月 3.3%

11月 2.7%

 

以上の推移を見れば、中国経済が減衰状況にあることは明らかだ。総悲観ムードに覆われている結果であろう。中国が、最大の輸出国の米国と貿易戦争に突入している影響は、計り知れないものがある。それは、心理的な影響を含めて、「絶望感」に襲われているはずだ。

 

太平洋戦争開戦時、日本の庶民は「勝てるだろうか」という大きな不安に襲われていた。日中戦争が泥沼化している中で、さらに世界最強の米国と戦争する。勝ち目があるはずはない。日本の株価は、この不安心理を反映して大きく下落した。中国は、すでに株価が下落し続けている。米中貿易戦争の敗北を予想しているのだ。その意味で、株価は正直である。

 

11月の卸売物価上昇率は、16年10月の1.2%以来の低水準である。この16年10月は、それ以前の水面下(前年比マイナス)からようやく、浮上し始めて2ヶ月目になる。このことから想像できるのは、卸売物価が再びマイナス圏へ落込む危険性である。

 

11月の輸出額は、前年同月比5.4%増で、市場予想の9.4%増を大きく下回った。2000億ドルの関税が、25%に引揚げられる前の駆け込み輸出を含んでいるにも関わらず、市場予想を大幅に下回った。これが、先行きに大きな懸念を抱かせている。ただ、11月の対米貿易黒字は過去最大の356億ドルになり記録を更新した。この黒字を過大評価してはならない。要するに、景気の体温計の卸売物価上昇率は低迷予想である。

 

『日本経済新聞 電子版』(12月9日付)は、「中国の卸売物価、11月2.7%上昇」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国国家統計局が9日発表した2018年11月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比2.7%上昇した。上昇幅は前月(3.3%)より0.6ポイント縮小し、16年10月以来2年1カ月ぶり低水準になった。前月比でも0.2%下落と7カ月ぶりに下落に転じた。国際的な商品相場の下落が波及したほか、販売不振の自動車なども下落した」

 

中国のPPIが、昨年はかなりに上昇を見た。投機資金が跋扈した結果であろう。今や、投機資金は影を潜めている。実需低下が、PPIを引下げてと見られる。

 

(2)「PPIを業種別にみると、石油・天然ガス採掘や石油加工で上昇幅が大きく鈍った。原油の国際相場の下落を映した。自動車、製紙や非鉄金属は前年比で下落した。個人消費の低迷が物価にも及び始めた公算がある。中国のPPIは過剰生産能力が原因で12~16年まで前年比で下落しつづけた。中国政府が16年初めから、鉄鋼や石炭を中心に生産設備を強制的に廃棄したことで16年9月に前年比で上昇に転じ、それ以降はプラスを維持している」

 
PPIの値下がりは、企業の売上に反映してくる。輸出需要の低下が、PPIを押し下げている面もあろう。したがって、米中貿易戦争の激化が、与えている影響は広範囲にわたっている。ファーウェイ副会長逮捕で、中国が激昂して対抗する余力はないと見るべきだろう。

 

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2018-12-10 05:00:00

底が抜けた韓国経済、文氏の支持率低下は「国民の悲鳴」

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今朝、「メルマガ12号」を下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

GDPで見た内需はマイナス

経済音痴の大統領府秘書官達

不況がもたらす支持率の低下

支持離れ「イ・ヨンジャ現象」

自営業者悲鳴上げるも見殺し

金正恩訪韓で支持率上げ狙う

 

韓国経済は奈落の底に向かっています。唯一、それを知らないのは文政権だけという悲劇が起っています。文政権と言っても、厳密に言えば韓国大統領府です。文在寅大統領の任命した秘書官の6割は、「86世代」と言われる特殊グループ出身です。1980年代に学生運動を行い、北朝鮮の「主体思想」(チュチェ思想)に染まった人達です。

 

文政権による北朝鮮への肩入れは、尋常ではありません。米国トランプ政権から、米韓の対北朝鮮への足並みを乱せば、核放棄が実現しないと警告を受けているほどです。文政権にとって、南北融和は千載一遇のチャンスと捉えています。文政権が変っても、その後の政権に北朝鮮との融和を継続させる。こういう狙いが明白です。文政権は、先の南北による「平壌宣言」を国会で批准させる動きを見せています。

 

一方、この「86世代」が目指す経済政策は、「反企業主義」と「所得主導成長論」という極めて硬直的な考え方です。チュチェ思想の信奉者ですから、市場経済による競争を否定します。労働者の天国を目指し、大幅な最低賃金引き上げを実行しています。それによって、国家としての経済循環の輪が崩れようと気にしません。その部分は、財政支出を拡大して補強する考え方です。チュチェ思想によれば、労働者は国家の「主人公」という位置づけです。この結果、国家経済のバランスが崩壊する点に関する配慮はありません。

 

文政権は、今年1月から最低賃金を16.4%引き上げました。さらに、労働時間の大幅短縮を行い週52時間(従来68時間)が上限に決めて7月から実施に移しています。もちろん、最低賃金引き上げや労働時間の短縮は、労働環境の整備であり歓迎すべきことです。問題は、肝心の企業がスムースに対応できるかいなかです。韓国では、罰則を伴い法的な強制力を持っています。企業が対応できなければ、罰則が科されます。こうなると、対応できない中小零細企業では、従業員を解雇する手しか残っていません。労働時間短縮は目下、罰則が猶予(6ヶ月)されています。その猶予も12月で切れますが、延長を議論しています。

 

GDPで見た内需はマイナス

文政権は、こうした最低賃金引き上げや労働時間短縮が、「労働者天国」に通じる道と信じています。現実は、全くの逆であり零細規模の労働者を「地獄」へ突き落とす結果となりました。それが失業率の上昇に現れています。この経済的な損失は、GDP統計にはっきりと表れています。

 

韓国銀行(中央銀行)が12月4日に発表した7~9月期の実質GDP成長率は、前期比0.6%(年率換算2.42%)成長です。だが、中味を見て愕然としたのです。7~9月期の純輸出(輸出-輸入)が、1.9%ポイントも寄与したのに、内需の成長率がなんとマイナス1.3ポイントで足を引っ張っているのです。内需とは、個人消費・設備投資・公共投資などです。要約すれば次のようになります。

 

7~9月期は、純輸出が韓国経済を押上げ、内需が逆に足を引っ張るという最悪事態に陥っているのです。その原因は、最低賃金の大幅引き上げによる失業率上昇だったのです。(つづく)

 

メルマガ8号 「日本に背を向ける韓国、来たるべき経済危機をどう克服するのか?」が、『マネーボイス』で紹介

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